「プロップ合格者の半分は“運”」1000人超のトレーダーを見たプロが語る、稼げる人・消える人
「自己資金が少なくても、大きな資金でトレードできる」――。そんな魅力から、日本でも存在感を増しているのがプロップファームだ。一定の試験を突破すれば、数千万円規模の口座で取引し、利益の一部を報酬として受け取れる。
FX歴約8年で1000人を超えるトレーダーを指導し、約470人の「プロトレーダー」を輩出してきたよすが氏は、「プロップの試験は運でも合格できる」と指摘する。
しかし、「試験に合格すること」と「トレーダーとして稼ぎ続けること」はまったく別物だという。
では、合格後に出金までたどり着ける人と、口座を失う人を分けるものは何なのか。プロップトレードで生き残るための資金管理と、合格後に待ち受ける「欲」の正体を聞いた。全3回の第1回。
みんかぶプレミアム特集「デイトレで稼ぐ人、退場する人――プロップトレード最前線」
プロトレーダーになっても稼げるとは限らない
私はこれまで1000人を超えるトレーダーを見てきました。2000人には届かないくらいですね。その中で、私たちのコミュニティの基準で「プロトレーダー」と呼んでいる人は、現在約470人います。
ここでいうプロトレーダーには明確な基準があります。1つは、「Fintokei」や「Fundora」などのプロップファームの試験に合格すること。2つ目は、自分のリアル口座で2カ月以上連続して、ドローダウン率※を10%以内に抑えながら、月8%以上の利益を達成することです。
最近は、後者よりもプロップファームの試験に合格してプロトレーダーになる方が圧倒的に多くなっています。
ただ、これはあくまで最初のランクにすぎません。そこから上に複数のランクがあり、上位になれば「専業トレーダーとして十分に食べていける」という水準になってきます。
一方で、実際には一番下のランクで止まっている人が最も多い。つまり、プロップファームの試験に一度合格したからといって、その後も継続的に利益を出せるとは限らないんです。
私が把握しているFintokeiの数字では、プラン受験者に対する合格率は10%程度。その合格者のうち、初回出金までたどり着くのは約50%です。
単純計算すると、受験者全体のうち初回出金まで到達できるのは5%程度ということになります。
※ドローダウン率:資産が一定期間の最高値からどれだけ下落したかを示す割合。
「プロップ合格者の半分は“運”」と語る理由
私は、プロップファームの試験に合格した人の中には、「運」で突破した人もかなりいると考えています。感覚的には半分くらいですね。
プロップファームの試験には通常いくつかのステップがありますが、より短いステップで合格できるプランもあります。また、一度不合格になったら終わりではなく、何度も挑戦することが可能です。
もちろん、1回の受験を完全に運だけで突破するのは難しいでしょう。しかし、何度も挑戦していれば、たまたま相場と自分のトレードが噛み合い、一度だけ合格することはあり得ます。
問題は、その後です。
運よく試験を突破してプロ口座を手に入れたとしても、同じように利益を出し続けられるとは限りません。むしろ、そこで実力の差が表れてくると私は考えています。
私がこれまで見てきた限り、合格後も利益を残し、実際に出金までたどり着けるのは、自分なりのトレードスタイルを確立している人です。それに加えて、資金管理を徹底し、感情に流されず自分自身をコントロールできていることも欠かせません。
運で試験を突破した人は、その先でつまずきやすい。
つまり、「プロップファームの試験に合格した」という事実だけでは、その人が継続的に稼げるトレーダーかどうかは判断できないということです。
合格後に待っている「もっと稼げる」という誘惑
むしろ難しいのは、合格した後かもしれません。
試験に合格してプロ口座を手にすると、今度は「実際にいくら出金できるか」が見えてきます。利益が数字として積み上がっていくので、当然欲も出てくるんですよね。
例えば、すでに十分な利益が出ていたとします。本来なら、その時点で取引をやめて、出金できるタイミングまで口座を触らないという選択もできる。
しかし、実際にそれをできる人は多くないと思います。
「もう少し取れるんじゃないか」
「あと1回勝てば、出金額をもっと増やせる」
そんな気持ちが出てきてしまう。
すると、それまで守れていたルールから少しずつ外れます。いつもなら入らないポイントでエントリーしたり、利益を増やそうとして無理なトレードをしたりする。
せっかく利益が出ていても、失格して口座を失ってしまったら意味がありません。だから私は、合格後こそ欲を抑えることが重要だと考えています。