AIに悩み相談している人は必見! 精神科医が教える「なぜ」より「どうする」を聞くべき理由
仕事の悩みを、上司でも友人でもなくAIに打ち明ける。そんなビジネスパーソンが増えている。
会社から配られたAIを、仕事だけでなく心の相談相手として使う人も出てきた。ちょっとした愚痴の聞き役にしている人も少なくないだろう。一方で、AIとの対話をめぐっては依存のリスクも指摘され始めている。
悩みを打ち明ける相手として、AIとどう向き合えばいいのか。登録者70万人超のYouTubeチャンネルを持つ精神科医で、早稲田メンタルクリニック院長の益田裕介氏に聞いた。連載全3回の第2回。

AIへの悩み相談は、こうして行え
AIが特に力を発揮するのは、悩みの整理です。仕事、家庭、将来への不安。30代、40代の悩みは、いくつもの問題が絡み合っていることが多く、1つずつほどいていかないと、何から手をつければいいのかが分かりません。
こうした整理に役立つのが、MECEという考え方です。MECEとは、漏れなく、重複なく分けることを指します。実はビジネスパーソンでも、MECEで物事を整理するのが苦手な人は少なくありません。得意な人であっても、脳に負担がかかるので疲れてしまいます。
まして自分の悩みとなれば、感情が入り込むため、なおさら漏れが出やすくなります。そうした面倒な作業こそ、AIに任せればいいのです。手順は簡単です。まず、頭に浮かんだことを何でもAIにぶつけます。スマホの音声入力で、思いつくまま話すだけでも構いません。
たとえば、「評価面談で思うような評価がもらえなかった。部下は指示どおりに動かないし、家に帰っても妻との会話がかみ合わない。この先、今の会社にいていいのかも分からない」といった具合です。言葉を選んだり、順序立てたりする必要はありません。
次に、「この悩みをMECEで分類してください」と頼みます。するとAIは、「上司からの評価」「部下との関係」「家庭」「将来のキャリア」といった具合に、絡み合っていた悩みを切り分けてくれます。
さらに「それぞれについて、自分で変えられることと変えられないことに分けてください」と続ければ、どこから手をつければいいのかが見えてきます。一人で抱えているうちは大きな塊に見えていた悩みも、手のつけられる小さな問題の集まりだと分かるはずです。問題が小さく分かれれば、それぞれに対してできることも考えやすくなります。
ただし、注意したい点が2つあります。
1つは、AIの分類をうのみにしないことです。AIの答えは、質問の範囲で正しくまとめようとする分、教科書的になりがちです。自分の実感とずれていないか、確かめながら使ってください。迷ったときは、信頼できる人や専門家に相談するのもいいでしょう。私のクリニックにも、AIに相談したうえでカウンセリングに来る人がいますが、その多くは、AIの答えに漏れがないか、その内容で本当にいいのかを確かめて納得したいという人です。
もう1つは、整理すること自体を目的にしないことです。きれいに分類できると、それだけで満足してしまいがちですが、整理はあくまで、次にどう動くかを決めるための準備にすぎません。
具体的な問題を1つずつ解決していく
悩みを整理できたら、次はAIへの問いかけ方を変えていきます。大切なのは、抽象的な話を具体的な話へと誘導していくことです。人は悩むと、「なぜ部下は言うことを聞かないのか」「なぜ自分は評価されないのか」と、原因を問い続けがちです。
しかし、原因をいくら掘り下げても、次に何をすればいいかは見えてきません。「なぜ」を突き詰めるほど、話は哲学的になっていくばかりです。そこで、問いを「では、どうしたらいいのか」に切り替えます。「来週の面談で、部下に何から話せばいいか」「上司に評価の理由を確かめるには、どう切り出せばいいか」と、具体的な場面に落とし込んで聞くのです。このとき、AIに答えを丸ごと出してもらう必要はありません。自分が話した内容を整理し、足りない情報を補ってもらいながら、行動計画を一緒に組み立てていく。AIは、次の一手を決めるための話し合いの相手として使うのがいいと思います。
話し合ううちに、「部下の話を聞く時間を毎日5分つくる」といった、明日から試せる行動が見えてくるはずです。抽象的なことに悩み続けるより、具体的な問題を1つずつ解決していくほうが、確実に前に進めます。