「金利が下がれば株高」はもう通用しない?プロが注目するセクターと、セキュリティ株に飛びつかない理由
金利が下がれば、将来利益の価値が高まり、グロース株が買われる。投資の教科書では、そう説明されることが多い。ところが、実際の相場では金利低下と株安が同時に進む局面もある。
「金利が下がれば株が上がると思っていたけれど、今はその経済ではないと考え直しました」
fundnoteのファンドマネージャー・川合直也氏は、相場環境に合わせて金利の読み方を修正したという。その一方で、日本では利上げへの過度な警戒が和らぎつつあり、一部のセクターでは評価が見直される可能性があると指摘する。さらに、相次ぐサイバー攻撃を受けて関連株の一部に幅広く買いが集まる中でも、「セキュリティ」という名前だけでは買わない。
金利と新テーマから、次の投資機会をどう選別しているのかを聞いた。
(取材・文:ちょる子 取材日:2026年10月23日)
みんかぶプレミアム連載「fundnote 川合・神谷の目」
金利低下には「株高」と「リスクオフ」の二つの経路がある
ここ数年、市場では、金利低下がPER(株価収益率)の上昇を通じて株高につながる、いわゆる金融相場の関係が強く意識されてきた。しかし本来、投資家がリスクを避けて株を売り、安全資産とされる国債へ資金を移す場合も、債券価格の上昇を通じて金利は下がる。
同じ金利低下でも、景気や企業業績への期待から株が買われる局面と、恐怖から資金が債券へ逃げる局面では意味が逆になる。川合氏は、金利の数字だけを見て株価の方向を決めるのではなく、「なぜ金利が動いたのか」を見る必要があると話す。
半導体株が相場を主導して上がり、その結果として景気や資金需要への期待から金利が上がるなら、株高と金利上昇は両立する。一方で、原油安やインフレ鈍化を背景に金利が自然に低下するなら、それも株式には追い風になり得る。金利と株価を単純な逆相関で捉えないことが出発点だ。
利上げへの恐怖が薄れ、グロース株の「評価切り下げ」が終わる
日本市場について川合氏は、取材時点では長期金利の上昇が一服し、政策金利の到達点を巡る議論も以前より穏やかになっていると見ていた。追加利上げが際限なく続くという恐怖が薄れれば、金利上昇に弱いとされてきたグロース株のバリュエーションを、さらに切り下げ続ける必要も小さくなる。
グロース株の中には、かつてPER50倍前後まで買われ、その後15倍程度まで評価を落とした企業も多い。川合氏は、利上げの恐怖が薄まるこれから数年間の局面で、中長期的に業績を伸ばせる企業のPERは切り上がっていく可能性があると見る。
ただし、金利が止まっただけですべてのグロース株が上がるわけではない。逆風の中でも顧客を増やし、利益を伸ばせる企業なのか。金利低下による評価の回復と、事業そのものの成長を分けて確認しなければならない。