ヘソクリ女王が風呂水の再利用をしないワケ…年収200万台から1億円貯めた方法

 新婚当初、世帯年収200万円台から得意の家計管理と貯蓄の知識を生かして庭付き一戸建てを購入し、2年で完済できるお金を貯めた。さまざまな資産運用法を試したファイナンシャルプランナー(FP)の山口京子さんは、自動的にお金が貯まり、増えていく仕組みを「へそくり」と呼ぶ。誰にでも簡単にできる令和時代の「新へそくり生活」について伺った。(第1回/全3回)

※本記事は、山口京子著『貯金ゼロから始める「新へそくり生活」のススメ』(プレジデント社)より抜粋・再編集したものです。

第2回:“1億貯め家族”が食費は絶対に節約しない理由…手取り20万円でもストレスフリーの「へそくり三分法」
第3回:年金は払うのに、投資はしない日本人の大矛盾…ヘソクリ女王はタンスに金を隠さない「投信は福袋だ!」

「貯金がない」と夫から言われたら…世帯収入23万円だったFPが26年間で身につけたお金の必勝法

 わたしは断言します。節約に精を出すより、お金のことを一生懸命勉強するより、「まずは、へそくりから始めなさい」と。

 もちろん、「昭和のへそくり法」ではありません。

 スマホやネットをフル活用することで、「いったん、へそくりを始めると、自動的にお金が貯まり、増えていく仕組み」をつくることができるのです。

 この夢のような仕組みのことを、わたしはへそくりと呼んで、日々、伝道活動に励んでいます。

 申し遅れました。ファイナンシャルプランナーの山口京子と申します。

 小さいころからお金が大好きで、2000年にフリーアナウンサーからファイナンシャルプランナーになりました。一方、旦那さんはというと、ライブハウスで歌う金髪のミュージシャンで、人一倍、お金に無頓着な男性でした。毎月の定期収入のない、ハイリスクなフリーランスカップルです。

 結婚当初、世帯収入は1カ月20万円台でした。

 ある日、お金のことを計算してみようと、2人で紙に書き出してみました。

 天井から壁紙がベロ〜ンと垂れ下がる高円寺の築古マンションの家賃は13万円。水道光熱費、食費、健康保険料、国民年金保険料を引くと、残りは……。2人で顔を見合わせて、「すっくないね〜」と大笑いし、私「ねえ、定期預金ってないの?」

 沈黙がどれくらい続いたでしょう。不安で押しつぶされそうになりながら、わたしは一大決心をします。「大丈夫。わたしは血の一滴まで貯め体質がしみ込んでいる名古屋人。うまくやりくりして、どんどんへそくったるわ〜。エイエイオー!」

 あれから26年。金髪は白髪になり、ミュージシャンは還暦を迎えました。そして、わたしたちの稼ぎが見事なくらい不安定で低収入だったおかげで、わたしは「へそくり」というワザを完ぺきに身につけることができたのです。

 この間に、マイホームを買ってローンを完済し、高齢出産で産んだ息子は、ご飯をいっぱい食べて大きく成長しました。

借金整理、マイナスからのスタートでもお金は貯まる! 「老後が楽しみ」になる超シンプルへそくり術

 そして、ある日のこと、「あなたたちのへそくり、2100万円を超えましたよ」というお手紙が届きました。

 そうです。いつか来る老後のために、自分たちで年金の上乗せを仕込んでいたのです。そのほかにも仕込んでおいたへそくりがあるので、おかげさまで今のところ、人生の三大支出である教育費、マイホーム、老後のお金の心配はしていません。

 わたしのアドバイスを聞いて、しっかりとお金を貯めて、増やし、ニコニコ安心して暮らしている方々は後を絶ちません。最初は借金を整理し、マイナスからのスタートでも、今では高級住宅街に住み、「老後が楽しみ」というカップルがいます。

 フリーランスで確定申告もしていないくらいお金のことが苦手だったのに、2年後にマイホームを買って、結婚された方もいます。

 わたしが彼らにしてきたアドバイスはきわめてシンプルです。

 それは、自分がもっているすべてのお金を、「今使うお金」と「将来使うお金」に分けておくということ。ただ、それだけです。具体的にいうと次のようになります。

 給与や売り上げが振り込まれる銀行口座から、「今使うお金」(生活費や税金)を「普通預金」に、「5年以内に使うお金」(教育資金やマイホームの頭金等)を「定期預金」に、そして、「将来のためのお金」(老後に必要となるお金)を「つみたて投資用の投資信託」に、毎月1回自動で振り分けていくのです。そして、普段は、普通預金口座の残高だけ見て、他は見ないようにして暮らします。

 これをわたしは、「新へそくり三分法」と呼んでいます。

 「投資なんて恐ろしいこと、考えられません」という声が今にも聞こえてきそうですが、わたしは声を大にしていいたいと思います。

「投資をしない限り、へそくりはけっして増えません」

 もちろん、「定期預金」にお金を積み上げていくことで貯めることはできます。でも、それでは老後に間に合いません。へそくりを貯めるだけでなく、増やしていくことが、これからの時代は必要なのです。

 もっというと、収入や蓄えが少ない方ほど、一刻も早く、投資をスタートさせることが大事になります。

 なぜなら、へそくりを増やすにはそれなりに時間がかかるからです。

だからあなたのお金は貯まらない。100円投資をバカにする人の残念な言い訳

 この「新へそくり三分法」を成功させる秘訣は、次の3つです。

①今すぐ始める

②貯金とつみたて投資を同時にスタートする

③どんな遅いペースでもやめない

 へそくりを成功させるためには、「長期にわたる投資信託のつみたて投資がベスト」というのが、わたし自身の体験と、ファイナンシャルプランナーとしての経験から得た、わたしの結論です。

 どんなにズボラで面倒くさがり屋の人でもできる、きわめてかんたんな方法であるというのは、わたしがこれまでアドバイスしてきたお客様が身をもって証明してくれています。

 多くの人は、「100円投資したところで何も変わらない」と考えます。だから、何もしないのだ、と。

 あえて、厳しいことをいわせてください。

 だから、何も変わらなかったのです。

 でも、あなたは違うはずです。ここまで読んでくださったということは、「へそくり、してみようかな」と思い始めているにちがいありません。

 投資は、「怖い」「ギャンブル」「元本割れ」というイメージを持つ方が多いのですが、日本中どこに住んでいてもできる、「絶対にドキドキしない誰でもできる投資法」をお伝えします。

 お金に無頓着だった人ほど、実は目からウロコを落とし、この「新へそくり三分法」にはまってしまうことを、わたしはこれまでの経験から知っています。

 へそくりが増えていくと、楽しくて楽しくてしかたがなくなるのです。

 そして、わたしのように、「お金が大好き」になり、お金からも好かれるようになります。つまり、お金と相思相愛の仲になれるというわけです。

お風呂の残り湯を洗濯機に、化粧品を手作り……今スグやめるべき、意味不明な ​”昭和” 節約テク

 多くの方々は、へそくりをするなら、まず節約をすることを思い浮かべるでしょう。節約ブームは、日本中の日常生活に溶け込み、「もったいない」と「節約」は日本人の「常識」になりました。

 わたしも新婚のころ、少しでも節約できるように、主婦向け雑誌や節約本を図書館で読み、片っ端から実践しました。

 ところが、預金残高は思ったようには増えませんでした。かなり頑張って、無駄のない暮らしをしているにもかかわらずです。それどころか、中には失敗して逆に損してしまったものもあります。

 なんとなく、地球にやさしい暮らしをしているとお金が貯まるイメージがありますが、貯まるものと貯まらないものがあります。だから、「頑張ってるんですけど、お金が貯まらないんです、もう疲れました」という、節約疲れの症状が出ているお客様が後を絶ちません。

「お風呂の残り湯を庭の植木にまくの疲れました」

 →2リットルバケツなら0.4円です。往復して4円。水道水でいいのでは?

「お風呂の残り湯を洗濯機に移すの疲れました」

 →1000円台からポンプ売ってますよ。

「お風呂の残り湯をトイレに移すの疲れました」

 →詰まると工事に余計お金がかかりますよ。

「化粧品を手作りするの疲れました」

 →お値打ちなオーガニックコスメありますよ。

「余ったおかずをリメイクするの疲れました」

 →作り置きなら冷凍を。家族が食べ切れる量を作った方がお得です。

「フリマアプリで値切るの疲れました」

 →値切らなくていいお値打ち通販、バザー、リサイクルショップも試してみて。

 まだまだありますが、節約疲れの方は、「支出の削減」の方にその努力を向けましょう。

 預金残高を増やすための正しい順番は、節約して残ったお金をへそくるのではなく、先にへそくりをして残ったお金でやりくりする、つまり、節約ではなく、へそくりが先が正解なのです。

山口京子著『貯金ゼロから始める「新へそくり生活」のススメ』(プレジデント社)
この記事の著者
山口京子

ファイナンシャル・プランナー。1966年、名古屋市生まれ。金城学院大学在学中より、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。卒業後はフリーアナウンサ ーとなる。2000年にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。ワンストップサービスを目指し、証券外務員、各種保険募集人、宅地建物取引士等資格を取得して完全顧客主義のアドバイスを提供。家計管理、貯蓄・資産運用のプロフェッショナルとしてテレビ・ラジオ出演、セミナー講師、執筆活動と幅広く活躍中。

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