年金は払うのに、投資はしない日本人の大矛盾…ヘソクリ女王はタンスに金を隠さない「投信は福袋だ!」

 貯金ゼロ、世帯月収23万円から1億円以上を貯めたファイナンシャルプランナー(FP)の山口京子さん。3つのへそくりを同時に貯める「新へそくり三分法」を編み出し貯金を成功させ、同時に世界中の株に投資ができる投資信託(ファンド)を買い続け、お金を増やしたそう。今すぐ誰でもできる、貯金と投資を始められる秘訣を伺った。(第3回/全3回)

※本記事は、山口京子著『貯金ゼロから始める「新へそくり生活」のススメ』(プレジデント社)より抜粋・再編集したものです。

第1回:ヘソクリ女王が風呂水の再利用をしないワケ…年収200万台から1億円貯めた方法
第2回:“1億貯め家族”が食費は絶対に節約しない理由…手取り20万円でもストレスフリーの「へそくり三分法」

いつ始めるつもり? お金のプロが指摘する、あなたが投資をしない5つの問題点

 投資に必要なことはとてもシンプルです。成長するものにお金を預けること。これだけです。

 もう少し収入が多ければとか、数字に強かったらと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、才能のあるなしや収入の多い少ないと、投資デビューには全く関係はありません。厳しいトレーニングもいりません。

 投資をするとお金が増えそうだということはわかったけれど、あなたがそれでも気が進まないと感じる理由があるとすれば、こんなところではないでしょうか。

①値動きがあるところが怖い

②値下がりはイヤ

③何を買ったらいいのかわからない

④働かずしてもうけるなんてバチが当たりそう

⑤忙しいから毎日パソコンを見ていられない

 みなさんが投資に前向きになれない理由は、この5つのうちのどれか、もしくはすべてに当てはまります。

 スーパーでお買い物をします。お肉やお魚の値段は毎日同じでしょうか? 家電量販店で、電化製品の値段はいつも同じでしょうか? エアコンの値段は、いつも10万円と決まっているわけではありません。スマホの本体やプランの料金も、ずっと同じではありませんよね。新しいプランが出ることもありますし、買おうと思っているスマホ本体の値段が安くなることもあります。

 わたしたちは毎日、値動きするものを買っています。切手や100円ショップのように、日常のお買い物に際して、いつも同じ料金でなければ困るとも感じていないのではないでしょうか。投資の対象となる金融商品だけが値動きするのではなく、わたしたちの身の回りの物の多くは日々値動きしています。

 それにもかかわらず、なぜか金融商品の値下がりだけは歓迎できない体質になっています。欲しかったパンプスが半額になっていたら、バーゲン会場で引っ張り合いになるかもしれないのに……。

投資の向き・不向きは「自給自足生活」を選ぶか、「世界経済の成長」を信じるかでわかる

 新へそくり三分法では、世界中の株への投資をお勧めしています。

 ここであなたに質問です。あなたが生きている間に、日本も含め世界中の会社が倒産して、新幹線が無くなって名古屋への里帰りは馬か駕籠(かご)に、電話も郵便局も無くなって、通信手段は狼煙(のろし)か伝書鳩に、東京の高層ビルが無くなって、田んぼや畑だらけになる、という時代に逆戻りすると思いますか?

 それとも、この安心、安全、便利な生活は続き、さらに便利な世の中になるでしょうか?

 世界経済の成長を信じられない方は、投資をすべきではありません。世界経済が縮小し、やがて破綻するということは、株価はじりじりと下がり続け、資産は目減りしてしまうからです。

 そのように考える方は、家庭菜園を始め、自給自足の生活への備えをした方がリスクヘッジになるでしょう。

 わたしたちのへそくりを世界中に送り出すことが、めぐりめぐって、雇用を生んだり、新しい製品やサービスを生み出すことになるのです。

 もし、へそくりをタンスの中に隠したままだったらどうでしょうか?

 安心、安全、便利な世の中をつくるどころか、お金は眠ったままで、誰もうれしくありません。箱入り娘のへそくりちゃんをタンスの引き出しから送り出し、世界中を旅させるべきなのです。

 そもそも成長していない日本の円だけの資産では、競馬でいうなら1点買い。リスクを取り過ぎていると思いませんか?

「投資信託」は金融商品の福袋。私たちの年金も保険も、日本銀行もコレを買っている!

 そして最後の5つ目の理由、とても忙しく、株価のチェックもできないので投資は難しい方の場合です。確かに株の銘柄選びや買うタイミングを慎重に見計らっていると、どんどん時間だけが過ぎていきます。

 そこで、わたしがお勧めするのは1社の株を買うのではなく、 100円から世界中の株に投資できる投資信託です。投資信託は、投資家から集めたお金を、運用会社がまとめて運用する金融商品で、いわば金融商品の福袋みたいなもの。

 福袋は、紳士服、婦人服、子ども服、化粧品など、中に入っている商品の分類が書いてあって、中身はお店の人にお任せです。

 同じように、投資信託も、日本株、外国株、日本の債券、外国の債券、不動産、コモディティー(商品)などと目論見書(もくろみしょ)と呼ばれる商品の説明書に投資対象が書いてあって、中身はファンドマネージャーにお任せです。

 「運用会社なんて、聞いたこともない会社にお金を預けるなんて恐ろしい」と思うかもしれません。

 でも、わたしたちの年金も、保険も、なんと日本銀行も、運用会社にお金を預けています。わたしたちが預けているお金の大半は、すでに運用会社によって運用されています。まあ、びっくり! 世の中は、運用会社なくして成り立たないといってもいいくらいです。縁の下の力持ちのような存在ですが、主にプロ向けの金融会社で派手な宣伝もしないので、あまり知られていないだけなのです。

 ですから、安心してください。あなたのへそくりは、あやしい人にだまされて、連れていかれるようなことはありません。

お金が貯められない、使いすぎる人のための「新へそくり」ノウハウ、教えます

 3つのへそくりを同時に貯める、それが「新へそくり三分法」の特色です。 

 お給料や売り上げが振り込まれる銀行口座から、「生活費として使うお金」を普通預金口座に、「5年以内に使うお金」を定期預金口座に、「将来のためのお金」を投資信託のつみたて口座に、毎月1回振り分け、それぞれ貯めていきます。

 「新へそくり三分法」を成功させる秘訣は、とにかく早く始めること、たとえ少額でも貯金と投資を同時にスタートすること、遅いペースでも、途中でお休みしても、やめずに継続することの3つです。

 さらに、へそくりを増やすスピードを加速させたいと思ったら、へそくる金額を少しずつ増やすことをお勧めします。

 例えば、毎月2万円でへそくりを始めてしばらくすると、そのお金は初めからなかったものとして、残りのお金でやりくりできるようになります。

 3カ月も過ぎると、そもそもへそくりしていることさえ忘れてしまうので、へそくりの金額を1割増やして、2万2000円にしてみるのです。

 えーっ? まだ「へそくり人」生活にはあまり慣れていないので、さすがにそれは無理じゃないかしら、と思われるかもしれません。でも大丈夫です。これは、総務省の家計調査や、21年間FPとして多くのご家庭の家計相談にあずかってきたわたしの経験に基づいた事実です。3カ月ごとに2000円ずつへそくる金額を増やし、1年3カ月かけて3万円に増やしても、日々の生活に全く支障をきたすことなくやりくりできるはずです。

何が起きても “見ないで隠す” お約束。たったそれだけで、へそくり金は増える

 貯金ゼロからつみたて投資を始めるお客様には、最初はへそくる金額の10%、つまりへそくりが2万円なら2000円程度での投資デビューをお勧めしています。まずは、普通預金口座に生活費の2カ月から半年分を貯めることを最優先にして、「へそくり人」となるための基礎体力をつけていただくことが大切だからです。

へそくりを増やすには、早くつみたて投資を始め、時間を味方にして、できるだけ長い期間投資をするのが正解です。

 そうはいっても、長い人生何があるかわかりません。毎月3万円つみたて投資を続けていこうと思っていても、始めてから何年後かに、何か事情が変わって、3万円を捻出できなくなる事態が起きないとも限りません。

 そんな時はあきらめずに、10年間つみたてた元本360万円を、へそくりのお約束にのっとって、20年間、そのまま見ないで隠しておいてください。5%で運用できた場合、へそくりは、30年後に1261万円になります。

●へそくりは早く仕込めば、途中で休んでも大丈夫!

 使ってしまえば、あっという間になくなりますが、3.5倍に増える可能性があるとわかっていれば、立派なへそくり人として20年間隠しておけるでしょう。

 一方、やらなきゃな〜と思いつつ、へそくりを仕込むのが10年遅くなったとしましょう。毎月3万円を20年間つみたてると、元本は720万円です。そして、同じく5%で運用できたとすると、20年後のへそくりは、1233万円になります。たった10年始めるのが遅かっただけで、倍の元本をつみたてても、10年早く始めた人には負けてしまうのです。

 10年頑張ってつみたて投資をし、その後20年間放っておくのと、20年頑張ってつみたて投資をするのとでは、10年頑張った後放置する方がずっと楽にできるはずです。とにかくへそくりの仕込みは、早ければ早いほどいいのです。

 この先、いつ、どんなことが起こるかわかりません。できる時に、できる分だけ毎月へそくって、状況が変わって難しくなったら、無理せずお休みしましょう。

山口京子著『貯金ゼロから始める「新へそくり生活」のススメ』(プレジデント社)
この記事の著者
山口京子

ファイナンシャル・プランナー。1966年、名古屋市生まれ。金城学院大学在学中より、テレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。卒業後はフリーアナウンサ ーとなる。2000年にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。ワンストップサービスを目指し、証券外務員、各種保険募集人、宅地建物取引士等資格を取得して完全顧客主義のアドバイスを提供。家計管理、貯蓄・資産運用のプロフェッショナルとしてテレビ・ラジオ出演、セミナー講師、執筆活動と幅広く活躍中。

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