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防衛株の主役はもう大手重工ではない・・・著名投資家があえて“地味な中小型株”を買い増す理由

(c) AdobeStock

本稿で紹介している個別銘柄:豊和工業(6203)、旭精機工業(6111)、シーユーシー(9158)、エムスリー(2413)、サイゼリヤ(7581)、あみやき亭(2753)

 米国のトランプ政権の動向や日中情勢の緊迫化により、株式市場は先行きの見えない展開が続いている。インフレと地政学リスクが重なるなか、「いつ買い、いつ売るべきか」と悩んでいる個人投資家も少なくないはずだ。

 混迷を極めるマーケットにおいて、個人投資家はいかに立ち回るべきか。今回は、投資歴30年のベテラン投資家・なごちょう氏(@Nagoya_Tyouki)に、具体的な狙い目セクター、そして投資家が絶対に避けるべきポイントまで、その投資戦略の全貌を伺った。インタビュー連載全2回の最終回。

目次

「ご祝儀相場」は一巡したと見るべき

ーー台湾情勢やウクライナ問題で防衛関連株に資金が集まる一方、三菱重工などはすでに歴史的高値です。今から買ってもチャンスはあるのか、それとも高値掴みになってしまうのでしょうか。

 おっしゃる通り、戦闘機や戦車などの「正面装備」を手掛ける大手重工メーカーに関しては、バリュエーション(株価評価)がかなり切り上がっており、今からエントリーして大きな旨味を得るのは難しい局面に入っています。ご祝儀相場は一巡したと見るべきでしょう。

 しかし、視点を少しずらせばチャンスは残っています。私が注目しているのは「継戦能力の充実」というテーマです。

ーー「継戦能力」ですか。あまり聞きなじみのない言葉ですが、具体的にはどのような分野を指すのでしょうか。

 簡単に言えば、「戦い続けるための基礎体力」です。ウクライナ紛争の教訓は、最新鋭の兵器があっても、それを稼働させるための「弾薬」や「部品」、そして「補給路」がなければ国を守れないという事実でした。

 日本の防衛予算が増額されるとして、次に焦点が当たるのは、派手な装備品の新規購入よりも、枯渇が懸念される弾薬備蓄の積み増しや、稼働率維持のためのメンテナンス分野になるはずです。

ーーなるほど。予算の“質”が変わる局面を先回りするわけですね。

 その通りです。そうなれば、恩恵が波及するのは大手ではなく、弾薬や小銃、精密加工を手掛ける中小型株です。

 具体的には、豊和工業(6203)旭精機工業(6111)といった銘柄です。これらは防衛関連の「本命」からは外れた渋い銘柄と見られがちですが、実需に基づいた業績寄与が期待できる上、大手重工に比べてまだ割安感が放置されています。

医療・介護セクターは、「不採算」こそが最大の買い材料

ーーなごちょうさんは、内需のなかでも医療・介護株に注目していると伺いました。報酬改定のたびに利益が出にくいと言われ、敬遠されがちなセクターですが、それでも注目すべき理由は何でしょうか。

 たしかにこれまでは厳しい環境でした。しかし、だからこそ「政策変更によるインパクト」が最も大きくなるタイミングが近づいていると考えています。

 現状、物価高騰と人手不足で、地方の病院や介護施設は経営の限界を迎えています。これ以上締め付ければ、日本の医療・介護インフラそのものが崩壊しかねません。

 政府もこの状況を看過できず、次回の報酬改定では前倒しでの実施や、実質的な報酬引き上げに動く可能性が高いと見ています。

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