離婚に2年…長引く戦いを「お金をもらいながら」進める方法。養育費リスクと、収入ゼロの妻が誤解している最大の権利
養育費が支払われなくなってから相談に来る女性がいる。しかしその段階では、取れる手段がすでに限られていることがある。調停や裁判を見てきた弁護士だからこそ、最初の取り決めの「形」がいかに重要かを知っている。ミカタ弁護士法人大阪事務所・代表弁護士の三津谷周平氏に、養育費から親権、弁護士費用まで、離婚後の生活を左右する取り決めのリアルを聞いた。
みんかぶマガジン連載「絶対に損はしたくない!泥沼離婚のマネー戦略」
目次
2年以上かかることもある。それでも「経済的に持ちこたえる」構造の作り方
Q. 相手が離婚を拒否した場合、どのように進めればいいですか?
「まずは別居することが考えられます。別居の実績が積み重なることで、裁判での婚姻関係の破綻の認定につながりやすくなります。別居しない場合は、弁護士を入れて交渉する、第三者を巻き込むといった方法を考えることになります。調停は6か月から1年程度が目安ですが、完全にケースバイケースで、裁判まで行くとさらに6か月前後がプラスされます。これまでの案件で最も長かったのは、裁判まで進んでトータル2年以上かかったケースでした。それだけの期間、経済的に持ちこたえられる状態を作っておくことが重要です」
Q. 手続きが長引いた場合、生活費はどう確保すればいいですか?
「調停をするような段階では、婚姻費用の請求を同時に行っているケースが多いです。別居後も婚姻関係が続いている間は婚姻費用をもらい続けられるので、相手から生活費をもらいながら手続きを進める構造が作れます。弁護士を頼んだ場合の費用については、弁護士によって異なりますが、一般的には依頼時の着手金と解決後の成功報酬の組み合わせです。期日ごとに日当が発生するケースでは長引くほど積み上がっていくので、最初に費用の構造を確認しておくことが大事です」
長引いた場合でも、婚姻関係が続く間は婚姻費用を請求できるため、消えるお金と入るお金の両方を設計しておくことが現実的な備えになる。
数年後に止まってから気づく、養育費「口約束」の代償
Q. 口約束で養育費を決めた場合、不払いになったらどうなりますか?
「口約束には法的な強制力がないので、相手が払わないと言えばそれで終わりになってしまいます。差し押さえをしたいと思っても、口頭の約束だけではできない。そうなると、また一から交渉し直しになるんですが、相手が応じなければ養育費の支払いを求める調停を改めて申し立てることになります。時間も費用もかかるし、その間も養育費はもらえていない状態が続く。よくある相談が、金額だけ決めて書面にしていなかった場合、数年後に支払いが止まった、というケースです。最初にきちんと書面に残しておくだけで、これを防げる可能性が高まります」
Q. 離婚時に決めた養育費の金額は、後から増やせますか?
「事情の変更があり、相手が合意してくれれば変更できます。応じてもらえなければ、養育費の増額調停を家庭裁判所に申し立てることになります。ただ、最初の取り決めの段階で将来の変化を見越した文言を入れておくことも可能です。
例えば私立への進学など特別な出費が生じた場合は、その時点で改めて協議して費用負担を決めましょうという一文を入れておくことがよくあります。今の金額を書面に残すのは当然として、将来起こりうる状況も盛り込んでおくことを勧めています。そうしておくことで、想定外の出費が生じたときに交渉の入口が作りやすくなります」
養育費を書面として有効に残すには「調停」を行うか「公正証書」の作成が必要だ。書面があるかどうかが、不払い時に法的手段を使えるかどうかを決める。現時点の金額だけにとどまらず、物価上昇や進学といった将来の特別支出まで視野に入れて作ることで、長期的な交渉余地が生まれる。