「儲かっている株から売る」とFIRE後に破綻する?資産3億円の投資家が徹底する“取り崩しの順番”

投資では、資産を「増やす」ことばかりが注目されがちだ。しかし、長い時間をかけて築いた資産を、できるだけ長持ちさせながら「どう使っていくか」も難しい。
資産形成中は、「老後までにいくら必要か」「FIREするには何円あればいいのか」といった目標額に目が向きやすい。ところが、実際に資産を使い始める段階では、相場の下落や税金、売却する資産や口座の順番まで考える必要がある。
なかでも避けたいのが、株価が大きく下落したタイミングで、生活費のために資産を売らざるを得なくなるケースだ。安値で多くの資産を手放せば、その後に相場が回復しても、十分な恩恵を受けにくくなる。
「せっかく新NISA口座で育てた資産は、原則として最後まで残しておくのがよいと考えています」
そう語るのは、米国株投資スクールFFCの代表講師を務める“ライオンじゅんさん”こと金盛潤一氏。自身も32歳でダブルFIREを達成し、現在は3億円規模の資産を運用している。
なぜ、新NISAは先に売らないほうがよいのか。特定口座では、どの資産から取り崩すべきなのか。そしてリタイア後の暴落に備え、株式の比率をいつから見直すべきなのか。
FIRE後の資産寿命を左右する取り崩し方と、税負担を抑えながら資産を守る出口戦略について、金盛氏に聞いた。インタビュー連載全2回の最終回。
FIRE直後の暴落が、“資産の寿命”を縮める
ーー老後やFIRE後の生活を考えると、資産を増やす以上に「どう取り崩すか」で悩む人が多いです。何から備えるべきでしょうか。
取り崩しを始める前に、まず意識しておきたいのが「収益順序のリスク(Sequence of Returns Risk)。これは、長期的な平均リターンが同じでも、利益や損失が発生する順番によって、最終的に残る資産額が変わるという考え方です。
株式市場は長期的には成長してきましたが、毎年安定して上昇するわけではありません。
例えば、仕事を辞めて資産収入を中心に生活し始めた直後に、大きな相場下落が起きたとします。株価が下がっている状態で生活費をつくるために株や投資信託を売ると、同じ金額を得るために、通常より多くの口数を手放すことになります。
その後に相場が回復しても、安値で売却した資産は運用に戻りません。運用に回せる元本が小さくなるため、回復相場の恩恵や、その後の複利効果も得にくくなります。
特に注意が必要なのが、FIREや退職後の数年間です。生活費を資産の売却だけに頼っていると、相場が悪い時期でも取り崩しを止められません。
このリスクに備えるには、株価が下がったときに無理に売却しなくても生活できる状態をつくっておくことが重要です。
具体的には、一定期間の生活費を現金で確保しておくこと。また、可能であれば完全に労働収入をゼロにせず、副業や小さな仕事から収入を得られる状態を残しておくことです。
相場が下がった年は、現金や労働収入、配当金などで生活し、株式の売却をできるだけ避ける。取り崩しを一時的に減らしたり、止めたりできる余地を持つことが、資産を長持ちさせるうえで大切です。