日経平均7万円から1万円下落の真因とは?機関投資家が斬る「半導体相場」と、新興市場を襲う“見えない危機”
2026年夏、日本の株式市場はかつてない激しい値動きに見舞われている。
6月末に7万2000円という歴史的な高値をつけた日経平均株価は、7月に入り一転して急落。一時6万2000円台まで突っ込むなど、わずか数週間で1万円(約10%)もの下落を記録した。
個人投資家の間でも「いったいどのような心持ちで相場に向き合えばいいのか」と悲鳴が上がる中、この乱高下の背景には何があるのか。
今回は、国内グロース・IPO株のスペシャリストに直撃インタビューを敢行。独自のファンダメンタルズ分析で市場のミスプライスを鋭く突くfundnote株式会社のファンドマネージャー・川合直也氏に、相場の深層を尋ねた。
機関投資家である川合氏はプロとして次世代の市場を牽引するメガテーマをどう捉えているのか。緻密なバリュエーション戦略の真髄を余すところなく語ってもらった。
(文:ちょる子、取材日:2026年7月23日)
みんかぶプレミアム連載「fundnote 川合・神谷の目」
狂騒の7月相場。「半導体指数」と化した日経平均
歴史的な下落を見せた7月相場について、川合氏は極めて冷静に現状を分析する。
「現在の日経平均は、事実上『半導体指数』と言っていい状態です。世界の半導体関連の動き、とりわけAIデータセンター向けの設備投資やインフラ構築の動向をそのままトレースしてしまっている。モメンタム(勢い)ですべての居どころが決まっており、日々のニュースに投資家の『気持ち』が激しく振り回されている、非常にストレスフルな環境です」
日経平均が半導体銘柄の寄与度に大きく依存していることは周知の事実だが、現在の相場はその傾向が極端に強まっている。半導体の未来に対する投資家のセンチメント(心理)が、そのまま指数を大きく上下させているのだ。
グロース市場は「別世界」。プロが実践するしたたかなリバランス戦略
一方で、川合氏の主戦場の一つでもあるグロース(新興)市場は、日経平均の乱高下とはまったく異なる動きを見せているという。
「日経平均と全く相関しない投資家層として、グロース市場が存在しています。日経平均という『あっちの島』で大火事が起きているのを横目に見ているような構図ですね。7月に関しても、グロース市場全体としてはプラスマイナスゼロ付近で、底堅く推移しています」
IPO(新規公開株)と半導体をはじめとする大型株の双方をポートフォリオに組み入れる「IPOクロスオーバーファンド」を運用する川合氏は、この市場の非対称性を利用して巧みにポジションを調整している。
「東京エレクトロンやマルマエといった流動性の高いAIモメンタム銘柄でリスクの上げ下げをコントロールしつつ、流動性は低いものの業績成長が見込めるIPO銘柄をじっくり持ちます。流動性の高い銘柄は市場参加者が多いためフェアバリュー(適正価格)に向かって動きやすいですが、流動性の低い銘柄は『誰かがその企業の価値に気づく』ことで徐々に水準を切り上げていく。日々の出来高や連続陽線などを観察しながら、フェアバリューに近づくまで半年から1年かけて持ち続けるスタンスです」
大型株の波乗りでリスクを調整し、新興株で企業価値の顕在化を待つ。これがファンドマネージャーの基本戦略だ。
しかし、グロース市場も決して安泰というわけではない。水面下では、かつて市場を席巻した「あの人気セクター」を根底から揺るがす、構造的な危機が進行しているという。