「NISA枠を余らせる=損」は大間違い。著名トレーダーが警告する“NISA貧乏”の異常性
新NISAの普及で、株で資産運用を始める人は大きく増えた。一方で、「せっかくの非課税枠だから使い切らないともったいない」と考え、生活費を削ってまで積立を続ける「NISA貧乏」に陥る人もいる。
しかし、投資家・トレーダーの窪田剛氏は「新NISAはあくまで投資のための器。無理に枠を使い切る必要はありません」と話す。
大切なのは、制度に合わせて投資額を決めることではなく、自分の生活や資産状況に合わせて「どこまでリスクを取るのか」「どれくらいのリターンを目指すのか」を考えることだ。
今回も窪田氏に、NISAに振り回されず、自分に合った投資のゴールを決めるための考え方を伺った。インタビュー連載全3回の第2回。
NISAはその利益を非課税にするための器
ーー新NISAが始まってしばらく経ちますが、「非課税枠の1800万円を埋めなければ」と焦る人が相変わらず多い印象です。
制度の拡充をきっかけに投資へ関心を持つこと自体は、決して悪いことではありません。ただ、「NISAの枠があるから何かの株を買う」といった発想は、本来の順番が逆になっています。
自分がすべき投資やトレードがまず先にあって、NISAはその利益を非課税にするための器に過ぎません。
ーー枠を余らせるのはもったいないと、無理をして相場へ資金を回す人も少なくないようです。
NISAの枠内ですべてを完結させる必要はどこにもありません。自分の資産状況に合致をするなら一部だけを使ってもいいですし、特定口座で売買をしても何の問題もないはずです。
「国が用意をした枠だから使わなければ損をする」と、目的と手段が完全に入れ替わってしまっている人が非常に多いと感じますね。
ーー本来のゴールである「資産を増やす」よりも、「非課税枠を使い切る」ことが目的になっているわけですね。
おっしゃる通りです。株式投資は本来、人生を豊かにするための手段のはずです。
投資貧乏なんて言葉はあまり聞きませんが、「NISA貧乏」と呼ばれて日々の生活に苦しむ人はよく目にします。
非課税の枠に引っ張られて、自分自身の生活や資金計画を見失ってしまうのは、まさに本末転倒な状態と言えます。
ーー非課税のメリットに目を奪われるあまり、何を買うべきかという本質的な分析がおろそかになっている人も見受けられます。
器の大きさを気にする前に、その器に入れる中身を吟味するべきです。個別株を買うのであれば、その企業の業績を調べ、株価が適正かどうかを判断する工程が欠かせません。
制度のお得さだけにつられて「とりあえず何か買っておこう」と資金を投じるのは、投資ではなく思考停止に過ぎないのです。