資産3000万円を超えたら「株を減らせ」10億円投資家が徹底する“減らさない投資”
本稿で紹介している個別銘柄:三井不動産(8801)、三菱地所(8802)、投資法人(8951)、純金上場信託(1540)
「資産が増えてきたら、株だけにこだわる必要はないと思います」
そう語るのは、バブル崩壊で大きな損失を経験し、そこから割安株と配当を軸に10億円超の資産を築いた株億太郎氏だ。
現物株を中心に運用してきた本人が、現在は株式以外の資産にも目を向けている。上昇相場では資金の大半を株式に投じたほうが効率的にも映るが、なぜあえて株式の比率を下げるのか。
そこで今回は、資産3000万円を一つの目安に、REITや金ETF、現金をどのように組み合わせるのか。資産を増やすだけではなく、「減らさない」ための考え方について、株億太郎氏に話を伺った。インタビュー連載全3回の第1回。
増やした資産をいかに傷つけずに守るか
ーーこれまで株式中心だったのに、なぜREITや金を組み入れるのですか。
私は国内株を中心に運用してきましたが、一つの目安として考えるなら、株式8割、REIT1割、金ETF1割ほどでしょう。市況によっては、株式以外の比率をさらに高めることも考えられます。
これからは、増やした資産をいかに傷つけずに守るかも重要です。そのために、値動きの異なる資産を組み合わせてヘッジする。目立たない作業ですが、資産が増えるほど大切になると考えています。
ーー資産額にかかわらず、同じように分散すればよいのでしょうか。
資産規模によって考え方は変わります。100万円の資金を細かく分散しても、効果は限定的です。一方、3000万〜4000万円ほどのリスク資産があるなら、一つの値動きにすべてを委ねる必要はありません。
100万円と1000万円、1億円では、取るべき戦略も異なります。ある程度まとまった資産を持つようになれば、増やすことだけでなく、「どう守るか」まで考えたほうがよいと思います。
ーーとはいえ、資産3000万円は個人投資家には高いハードルではありませんか。
総資産で3000万円を持つ方はいると思いますが、リスク資産だけで3000万〜4000万円となれば、決して多くはないでしょう。
住宅ローンや教育費もありますし、光熱費を含めて生活コストも上昇しています。
そのなかで投資へ回せる余裕資金を確保するのは簡単ではありません。だからこそ、資産額に応じて無理のない配分を考える必要があります。
なぜ金利上昇で、REITがイチ押しなのか
ーー不動産株に弱気なのに、REITは買いなのでしょうか。
湾岸エリアのマンションでは、坪単価が1000万円近く、66平方メートルで2億円ほどになる物件もあります。この価格水準を金利上昇のなかで維持するのは簡単ではありません。
そのため、三井不動産(8801)や三菱地所(8802)のような不動産株については、今後弱含む可能性があると見ています。ゼネコンも借入や調達の金額が大きい分、金利上昇の影響を受けやすいでしょう。
一方、REITはすでに大きく売られているものがあります。
REITには、株式のPBRに近い考え方としてNAV(エヌエーブイ)を見る方法があります。保有する不動産の純資産価値に対して、投資口価格がどの程度の水準にあるかを見るものです。
商業地の地価がこの3〜4年で大きく上昇している一方で、REITは割安な水準まで売られているものもあります。
金利が高くなっても、賃料を引き上げられる余地がありますから、私はREITに注目しています。今後の選択肢として、有力だと考えています。
ーー「安くなっているから買う」という考え方でしょうか。
基本は、安く買って高く売ることです。これは投資に限らず、商売の原則でもあります。
私は空売りをせず、現物を中心に投資しています。
そのため、十分に価格が下がり、資産価値との比較で割安になっているものを探す。REITについても、その考え方は変わりません。
ーーとはいえ、REITにも固有のリスクがあります。
もちろんです。地震、地政学リスク、テロ、異常気象などが起これば、REITにも大きな影響が及びます。
そうしたリスクが顕在化しないことを前提にするなら、私は大型REITを分散投資の一部として組み入れる方法を考えます。
例えば、日本ビルファンド投資法人(8951)のような規模の大きいREITです。ただ、現時点では私自身はREITを保有していません。今後の投資先として注目している段階です。