貯金40万円→累計利益13億円 38年間投資し続ける男が「利益の半分を使う」と決めた理由
投資を始めて38年。かぶ1000氏の累計投資利益は、配当を含めて約13億円にのぼる。
ところが、その長い投資人生で「一番の後悔」として挙げるのは、大損した銘柄ではない。むしろ、わずか半年ほどで7倍になり、大きな利益を得た株だという。
利益が出たのに、なぜ後悔するのか──その経験には、38年間株を続けてきたからこそ見えてきた個別株投資の難しさが凝縮されていた。そして、13億円という利益を築いた今、かぶ1000氏のお金に対する考え方も、かつてとは大きく変わっている。
最終回では、成功の裏に残った「後悔」と、その先でたどり着いた投資とお金との向き合い方に迫る。全3回の最終回。
みんかぶプレミアム連載「富裕層たちの黄金法則」
7倍で売ったユニクロ株が「最大の後悔」になった
自分にとって最初の大きな成功は、第2回でも触れたファーストリテイリング株です。購入後、原宿への旗艦店出店が発表されると株価が急騰し、わずか半年ほどで株価は7倍になりました。
ただ当時の私は、「フリースの人気は一過性のブームだろう」と考え、そこですべて売却してしまいました。その後、ユニクロは世界的なブランドへと成長し、何度も株式分割を交えながら株価は上昇を重ねています。もしそのまま持ち続けていたら、何十倍どころか何千倍近くなったのです。当時は、ユニクロがここまで大きな企業になるとはまったく想像できませんでした。これは今でも、私にとって一番大きな後悔です。
良品計画も長期で保有していましたが、他にもっと良いと思う銘柄が出てきたタイミングで売却しましたが、それなりの売却益を得たので決して悪い結果ではありません。ちなみに、私の母やかみさんはいまも良品計画を持ち続けていて、今では取得価格から8倍以上になっています。
こうした経験から感じるのは、どれだけ投資経験を積んでも、企業が10年後、20年後にどこまで成長するのかを正確に見通すことはできないということです。これは、バリュー株投資の弱点の一つでもあります。割安だと判断して買った株も、株価が上がって割安感が薄れると、どうしても売りたくなる。その結果、その後の大きな成長を取り逃がすことがよくあります。
「1万円入りの財布が5,000円」で売られている株を探す
私がよく使う考え方の1つが「ネットネット株」です。会社が持つ資産のうち、現金や受取手形、投資有価証券といった換金性の高い資産を重視し、そこから負債を差し引いた金額に対して、時価総額が低い会社に注目します。
たとえば、現金や有価証券が100億円あって、負債が50億円だとすると、差し引き50億円です。それなのに時価総額が25億円だったとしたら、会社が持つ資産価値に対して、市場では25億円しか評価されていないことになります。例えるなら、財布の中に現金1万円入っているのに、財布そのものが5,000円で売られているようなものです。
もう1つの指標が「PMV(プライベート・マーケット・バリュー)」です。簡単に言えば、自分がその会社を買収するとしたら、いくらの価値があるのかを見る考え方です。たとえば時価総額1億円の会社が、店舗を10軒持っているとします。単純計算では1店舗あたり1,000万円ですが、実際にその店舗を見に行って「これは最低でも3,000万円の価値がある」と感じたら、その会社は割安なのではないかと考えます。私がもしこの会社を買収するとしたら、妥当な値段なのかを現場で確かめる視点です。
もう1つ意識しているのが、PBR(株価純資産倍率)が低い銘柄です。PBRが低い会社は、市場からすでに低く評価されていることが多い。悪い意味でも良い意味でも、すでに評価が低いため、相場が下がったときにも下値が限られることがあります。クラスで言えば、成績上位の生徒は少しサボっただけで先生に叱られますが、下位のほうにいる生徒は、多少サボっても大きく評価が変わらない。そういう銘柄のほうが、評価が少し改善しただけで株価が大きく上昇することがあります。
結局のところ、私が大切にしているのは、こうした指標を手がかりにしながら、自分自身で企業の価値を確かめ、納得したうえで投資することです。
得た利益の半分は使う。万博に毎日通うためマンションまで買った理由
投資で得た利益をさらに増やそうとする人も多いですが、私は今、投資で得られた利益の半分は再投資せず使っていこうと決めています。これ以上お金を際限なく増やしても、自分にとっては単なるスコアゲームのようなもの。
それよりも、家族で旅行に行ったり、普通の人が買わないようなものを買ったりするほうに意味があると感じています。昨年開催された先日の大阪関西万博では、家族で毎日万博会場に通うために、会場近くのマンションを購入しました。お金はあくまで道具の一つです。すべて使い切ってしまうのも困りますが、必要以上にお金を貯め込んだり、生活を切り詰めたりする必要もないと思っています。
投資で得られた利益を積極的に使うことで、経済活動の一端を担うこともできます。金は天下の回り物ということわざがありますが、私自身もお金を貯め込むのではなく、お金の使い方も投資家としてマスターしていきたいと考えています。