防衛産業への参入は企業の「悪」なのか? 楽天・GMOの事例から考える軍事と民生の境界線
楽天グループがドイツの防衛系スタートアップ「ヘルシング」と提携したことが物議を醸した。また、9月には、GMOインターネットグループのイベントに出演予定だったEXILEのHIRO氏が、同イベントに米防衛ソフトウェア大手パランティアのCEOが登場することを受け、ファンから抗議が相次ぎ、参加を見合わせる事態が起きた。
企業が防衛産業に関与することに否定的な空気がある一方で、民生と軍事の両方に使える「デュアルユース」という考え方もある。こうした「アレルギー」と私たちはどう向き合えばよいのか。防衛省防衛研究所主任研究官の小野圭司氏に話を聞いた。(聞き手・望月悠木)全4回の第4回。
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「アレルギー」は弱まっている
――楽天やGMOのような企業が関わる開発は、最初から軍事を意識して進めているのですか。
それは考えにくいです。日本の場合、防衛が市場に占める比率が小さいので、「防衛だけで」という会社はなかなかありません。民生分野の事業も手がけながら、防衛分野にも取り組む形になります。海外を見ても、防衛だけを手がける会社は少ない。
軍事分野での活用で知られる米企業・パランティアも、イギリスでコロナ禍にワクチンの適正配布をAIで支援するなど、民生分野で実績を積んでいました。そうして民生分野で実績のある技術を軍事に持ち込み、そこで積んだ経験を再び民生分野にフィードバックする。デュアルユースというよりも、そうした循環による発展を目指しているのだと思います。
――政府が掲げる17分野に防衛産業が含まれていましたが、同じような方向性なのでしょうか。
はい。防衛で培ったノウハウを民生部門にフィードバックするのは、ビジネスを進めるうえで自然な考え方です。高市政権が掲げる17分野に防衛産業が含まれた理由の一つとして、単に防衛分野にとどまらず、防衛で培った技術やノウハウを民生分野に還元することも期待されているのだと思います。
――防衛産業に企業が関わることへの「アレルギー」は、以前よりも強まっていますか。
個人的な感覚ですが、昔ほどではなく、弱まっていると思います。一番大きいのは、日本周辺の緊張が高まっていることです。「日本自身もある程度準備しなければいけない」と、社会的に認識されるようになりました。身の回りの技術が軍事研究から生まれてきたことへの理解も、一因かもしれません。そのため、企業としても「なぜ防衛産業に関与するのか」を説明しやすい環境になっているのではないでしょうか。