つみたてNISAはやめたほうがいいと言われる理由は?デメリットしかないという噂を徹底検証

みんかぶ編集室
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つみたてNISAはやめたほうがいいと言われる理由は?デメリットしかないという噂を徹底検証

資産形成を初めてみようと「つみたてNISA」のことをネットで調べていると、

  • つみたてNISA やめたほうがいい
  • つみたてNISA デメリットしかない
  • つみたてNISA 後悔

といった言葉が目に入り「本当に始めるべきなのか」迷っている方は少なくないと思います。では、つみたてNISAは本当にやめたほうがいい「ダメな投資方法」なのでしょうか。

今回は、つみたてNISAに関する「ネガティブな意見・噂」の真偽を検証します。

目次

つみたてNISAとは?まずは制度概要をおさらい

つみたてNISA制度の良し悪しを判断するためには「つみたてNISAがどんな制度なのか」を知らなければいけません。

まずは、つみたてNISAの制度概要を再確認しましょう。

つみたてNISAとは、少額から長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。2018年1月からスタートし、2023年6月末時点で「576万口座」開設されています。

つみたてNISAの制度の特徴は以下の表をご確認ください。

利用できる方

日本にお住まいの18歳以上の方(口座を開設する年の1月1日現在)

ただし、つみたてNISAと一般NISAはどちらか一方を選択して利用可能

非課税対象 一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益
口座開設可能数 1人1口座
非課税投資枠 新規投資額で毎年40万円が上限非課税投資枠は20年間で最大800万円)
非課税期間 最長20年間
投資可能期間 2018年~2023年
投資対象商品

長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託

○例えば公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすもの

販売手数料はゼロ(ノーロード

・信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定

・顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること

信託契約期間が無期限または20年以上であること

・分配頻度が毎月でないこと

・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと

(引用元:つみたてNISAの概要 : 金融庁

また、最低投資金額は「100円」から可能になっているため、投資=大金が必要というイメージも払拭されています。

この概要を見る限り、

  • 運用商品が「長期・分散投資」に適したものに限定されている
  • 最長20年間、非課税で運用ができる
  • 積立投資が前提になっているため大金を用意する必要なし

といったメリットの方が多いように感じられますよね。

関連記事:つみたてNISA(積立nisa)とは?始め方・やり方・メリットや注意点を解説!

さらに、2024年からはつみたてNISAよりも「非課税期間・投資可能上限」などがパワーアップした新NISA制度も開始されます。

関連記事:新NISA制度はいつから始まる?年間上限投資額や非課税期間など変更点をわかりやすく解説

それにもかかわらず「つみたてNISAはやめたほうがいい」「デメリットしかない」と言われてしまうのはなぜなのでしょうか。

つみたてNISAはやめたほうがいいと言われている本当の理由・デメリットとは?

つみたてNISAはやめたほうがいいと言われている本当の理由・デメリットとは?

つみたてNISAはやめたほうがいいと言われている理由は大きく分けて5つあります。

  1. 元本割れリスクがある=貯金のほうが安全というイメージが根強くあるから
  2. 短期的に資産を増やす目的には向いていないから
  3. 投資対象が制限されており「投資戦略」のバリエーションが少ないから
  4. 損益通算ができないから
  5. ロールオーバーができないから

1つ目の理由は「投資をしたことがない人」の意見、2つ目以降は「投資経験者」からの意見だと推測されます。

それでは、それぞれの理由と「本当にやめたほうがいい」と言えるのかを解説していきます。

元本割れリスクがある=貯金のほうが安全というイメージが根強くあるから

日本の国民性ともいえる「安全思考」こそ、つみたてNISAはやめたほうがいいと言われている大きな理由のひとつです。この安全思考の背景には「預金金利が高かったバブル期」も大きく関係しています。

バブル全盛期の日本の定期預金利率は「5~6%」もありました。つまり投資のような元本割れリスクを負わずとも貯金をするだけでお金が増えていたのです。

一方、つみたてNISAは、少額から始められるとはいえ「投資」であることに変わりなく、得する可能性もあれば損する可能性もあります。

また、人間は得した喜びよりも「損」に対しての後悔や恐怖の方が大きく感じてしまう生き物です。

こうした国民性、人間の特性が背景にあるため「つみたてNISAは元本割れリスクがあるからやめたほうがいい」と言われているのです。

【預貯金=安全・お金が減らないって本当?】

では、預貯金をしていれば本当にお金は減らないのでしょうか。答えは「額面上のお金は減らないが、実質的な価値は減る可能性がある」です。

インフレやデフレという言葉があるように、お金の価値は日々変動しています。為替でも1ドルあたり150円というように「ドルの価値と円の価値」が動いていることがわかると思います。

そして、預金のみの場合は「物価高」に弱くなるリスクがあります。物の値段があがれば「相対的にお金の価値」は下がりますからね。

ですから、預貯金=絶対安全という考えは誤りです。逆に「物価高」に備えるためには「つみたてNISA]」などを活用し「金融資産」を保有する必要があるといえます。

短期的に資産を増やす目的には向いていないから

短期的に資産を増やす目的には向いていない

つみたてNISAは「長期の資産形成」を前提にしています。逆をいえば「短期で大きな利益を狙うのには不向き」ということです。

その理由は2つあります。1つ目は「年間投資限度額が40万円と少額であること」、もうひとつは「投資対象が投資信託と一部ETFに限られていること」です。

つみたてNISAは年間に投資できる非課税枠が「40万円」と決められています。利回りが10%あったとしても「年4万円」しか増やすことができません。

また、投資対象は「長期分散投資に適した投資信託」に限定されています。つまり、短期で大きな値上がりが期待される「リスクの高い商品」は対象外になっているということです。

以上2つの理由から、つみたてNISAは「短期で大きく稼ぎたい人はやめておいたほうがよい」と言われています。

もし、短期売買で大きな利益を狙いたい場合は「個別株投資」や「FX」の方が適しています。

関連ページ:株式投資初心者入門

関連ページ:FX初心者入門

投資対象が制限されており「投資戦略」のバリエーションが少ないから

投資対象が制限されており「投資戦略」のバリエーションが少ない

2つ目の理由と被る部分もありますが、つみたてNISAでは「投資対象が厳選」されているがゆえに、バリエーションは少ないといえます。

つみたてNISAおすすめランキング – みんかぶ(投資信託) を確認していただければ分かる通り、多くの投資信託が「インデックスファンド」と呼ばれる、特定の株価指数に連動したものになっています。(1部アクティブファンドや新興国インデックスなど、比較的値動きの大きい投資信託もあります)

インデックスファンドは、投資先が分散されているため「大きく値上がりしづらいかわりに、値下がりもしづらい」という安定性に長けた投資信託です。

このインデックスファンドは、短期売買にはあまり向いておらず「長期積立投資」で効果を発揮しやすいのが特徴。

結果として、つみたてNISAは「長期積立」以外の投資戦略(デイトレや短期売買、レバレッジ商品)がしづらくなっています。

これは、投資初心者が「短期で大きな失敗をしないため」に設計されているつみたてNISAでは当然のことです。

ただ、さまざまな投資戦略を持って資産を増やしたい人にとっては少々不向きともいえますね。

損益通算ができないから

つみたてNISAは損益通算ができない制度です。

損益通算とは、ある年の利益から別の年の損失を相殺する制度です。損益通算を行うことで、その分だけ課税対象になる利益が減り、納める税金の額が小さくなります。

つみたてNISAでは、投資信託の分配金や売買益等は非課税となる一方で、これらの売買損失はないものとされます。

したがって、特定口座や一般口座で保有する他の上場株式等の配当金や売買益等との損益通算はできません。また、損失の繰越控除(3年間)もできません。
投資をすでに行っていて、損益通算のメリットを強く感じている人ほど、つみたてNISAはやめておいた方がいいという意見になるのは納得できますね。

つみたてNISAはロールオーバーができないから

つみたてNISAでは、非課税期間が終了した口座内の金融商品を、翌年の非課税投資枠に移管する「ロールオーバー」ができません。

ロールオーバーができると、非課税期間が終了する分の金融商品を「翌年の非課税枠」に移行することができ、一定期間非課税のまま運用が続けられます。

しかし、ロールオーバーができないと、非課税期間が終了した口座内の金融商品は、課税口座に移管されます(その時点での評価額で新規買い付けした場合と同様の扱い)。

課税口座に移管された後に生じた金融商品の売却益には、通常通り20.315%の税金がかかります。
ただし、新NISAではロールオーバーが不要(売却までずっと非課税)になっているため、つみたてNISAで非課税期間が終わる分を一括売却して、その分を新NISAで再投資する方法でカバーが可能になります。

関連記事:新NISA制度に改悪点はある?ロールオーバーが出来ないなど気になるデメリットの真相と対処法を合わせて解説

つみたてNISAはやめたほうがいい人の特徴は?

つみたてNISAはやめたほうがいい人の特徴は?

ここまで紹介した「つみたてNISAはやめたほうがいいと言われている理由」を加味すると以下の考えを持っている人はつみたてNISA以外の投資を選んだほうが「理想」とのギャップが少なく済むと考えられます。

  • 短期間で大きな利益を得たい人(デイトレードや信用取引などがおすすめ)
  • さまざまな投資商品を自分で選びながら投資をしたい人
  • 少額ではなくまとまった金額を一括で投資したいと考えている人
  • ロールオーバーができない点が気になる人

逆に、低リスクでコツコツ長期的に資産形成したいと考えている人は、つみたてNISAは自信を持っておすすめできる制度といえますね。

検証結果:つみたてNISAはやめたほうがいい・デメリットしかないという意見は言い過ぎ!

この記事の結論としては、つみたてNISAはやめたほうがいい・デメリットしかないという意見は「少々極端な表現」といえます。

たしかに、つみたてNISAに不向きな人はいますが、「貯金だけの生活から一歩踏み出そう!」と決心した投資初心者にとっては「ありがたい制度」であることに変わりありません。

そもそも、万人が100%満足できる資産形成の方法は存在しませんからね。とはいえ、せっかくつみたてNISAにチャレンジしたのに「失敗した、、、もう投資なんていやだ!」となってしまっては非常にもったいないです。

そこで次の章では「つみたてNISAで後悔しないためにしっておきたい運用のポイント」を簡単にまとめます。

つみたてNISAで後悔しないために知っておきたい「運用のポイント」を5つ紹介

つみたてNISAで後悔しないために知っておきたい「運用のポイント」を5つ紹介

つみたてNISAは、少額から長期で積み立てることで、資産形成を効率的に行うことができる制度です。しかし、運用を間違えると、せっかく積み立てた資産が減ってしまう可能性もあります。

そこで、つみたてNISAで後悔しないために、押さえておきたい運用のポイントを5つご紹介します。

つみたてNISAを始める目的・目標金額を明確にする

つみたてNISAを始める前に、まず「なぜつみたてNISAを始めるのか」という目的を明確にしましょう。目的が明確になっていないと、どの商品を選べばいいのか迷ったり、途中で挫折したりする可能性があります。

結婚や育児など「比較的近いライフイベント」のためなのか、老後資金の足しにするためなのかなど「目的」を明確にしましょう。
また、目標金額を決めておくことも大切です。目標金額を決めることで、どのくらいの期間で積み立てればいいのか、どのくらいの金額を毎月積み立てればいいのかが見えてきます。

運用する商品選びをテキトーに行わない

つみたてNISAでは、さまざまな商品から選ぶことができます。しかし、テキトーに選んでしまうと、リスクが高かったり、リターンが低かったりしてしまう可能性があります。

まずは、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが大切です。また、商品の過去のパフォーマンスや手数料などもしっかりと確認しておきましょう。

関連ページ:つみたてNISAおすすめランキング – みんかぶ(投資信託)

長い付き合いになる証券会社選びもしっかり行う

つみたてNISAは、長期で運用することを前提とした制度です。そのため、長い付き合いになる証券会社選びもしっかり行うことが大切です。
証券会社によって、手数料や取扱商品、サポート内容などが異なります。自分に合った証券会社を選びましょう。

関連ページ:NISA(ニーサ)口座がおすすめのネット証券会社比較&ランキング

利益がすぐにでないのは当たり前!長期投資であることを意識する

利益がすぐにでないのは当たり前!長期投資であることを意識する

つみたてNISAは、長期投資を前提とした制度です。そのため、すぐに利益が出ることを期待してはいけません。

株式市場は、常に変動しています。短期的な相場の動きに惑わされず、長期的に運用することを意識しましょう。

いつ売却するのか・いくらになったら売却するのかゴールを決めておく

つみたてNISAで積み立てた資産は、いつ売却するのか、いくらになったら売却するのかを決めておくことが大切です。

目標金額に到達したら売却する、退職までに必要な資金を用意したら売却するなど、ゴールを明確にしておきましょう。

まとめ

つみたてNISAは基本的に「長期の資産形成」においてはメリットの多い制度です。しかし、短期的な利益や、運用の「柔軟さ」という観点ではデメリットも存在します。

つみたてNISAをやったほうがよいのか、やめたほうが良いのかは「メリットとデメリットのどちらに魅力/説得力」を感じるかによりけりです。

この記事で解説した内容を読んで「自分がどう感じたか」。その考え・感情が前向きなものであれば、つみたてNISAは資産形成において「強い味方」になってくれるはずです。

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