天上の灯すべてを以て氷を照らせ、私たちを照らせ…羽生結弦が描く「弧」の文学性『羽生結弦をめぐるプロポ』

目次
羽生結弦をめぐるプロポ 第3回「弧」
「プロポ」とは『幸福論』で知られるフランスの作家アラン(1868-1951)の創り出した詩的文学の形式である。自由に、自然に、私の想うままに目を閉じて、私のままに書く。始まりから終わりまで水の流れのように「流れるままに」書く。
私は羽生結弦という存在を――まさしく自由に、自然に、想うままに、私のままに滑るプロ転向後の羽生結弦とアランの「プロポ」とを重ねていた。だからいつか、羽生結弦をめぐる「プロポ」を、私のままに書こうと思っていた。
理屈ではなく、あるがままに、恥ずかしいとか、どう思われるだろうかでなく、自分の心だけを見て、羽生結弦だけを見て、てらいなく綴る。
思うがままに、捉えたものを、そのままに。
羽生結弦のプロ転向から二年、私はその想いをプロポとして、綴ろう。
5.弧 ――羽生結弦の描く「弧」と文学性。
羽生結弦の描く「弧」には文学性がある。