「株価2倍の夢より1日30億の流動性」著名トレーダーが実践する“勝てるチャート”

株式投資の世界では、「企業分析こそ王道」という考え方がいまも強い。決算書を読み込み、成長性を見立て、割安な銘柄を拾う。もちろん、それで勝てる人もいる。
ただ、その“王道”に真面目に取り組むほど、こんな壁にぶつかることはないだろうか。
「業績はいいのに株価が上がらない」 「好業績のニュースで買ったのに、気づけば高値掴みだった」——そうした迷いに対して、「見るべきは企業の中身ではなく、チャートと流動性です」と語るのが、投資家・トレーダーの窪田剛氏だ。
彼が重視するのは、決算のよし悪しではなく、資金が集まる“現場の熱”を映す指標「売買代金」。なかでも“1日30億円”を一つの線引きにしている。
なぜ窪田氏は、チャートと売買代金に絞り込んだ投資手法に至ったのか。
今回は、マイルールで相場を勝ち抜く窪田氏に、再現性の高い実践的思考法を聞いた。インタビュー連載全2回の第1回。
目次
挫折からたどり着いた「チャート重視」の境地
ーー窪田さんは現在、テクニカル分析を軸にしたトレードで知られていますが、最初から今のスタイルだったのでしょうか。
いえ、最初はまったくの手探りでした。株を始めたのは大学生の頃で、講義の空き時間にデイトレードをするような、いわゆる「学生トレーダー」からのスタートでした。
当時は「投資といえば企業分析」と考え、ファンダメンタルズ分析も一通り勉強しました。財務諸表を読んで、割安な銘柄を探して…と、いわゆる王道の手法を試していました。
でも、これが私には全然うまくいかなくて。
「業績はよいはずなのに、なんで株価は下がるんだ?」というジレンマに何度も直面しました。
そこで考え方を切り替えて、企業の“中身”を分析するのではなく、目の前の値動き、つまりチャート分析に特化するようになったんです。
ーーなるほど。そこから期間も短くなっていったんですね。
そうですね。最初は3カ月から半年くらい持っていましたが、徐々に短くなり、今は2〜3週間程度保有するスイングトレードがメインです。
ファンダメンタルズなどの不確定要素を排除して、チャートという事実だけを見て判断する。今のスタイルに行き着いてから、ようやく安定して利益が出せるようになりました。
「売買代金30億円」以下の銘柄は触らない
ーー窪田さんのトレードルールで非常に特徴的だと感じるのが、流動性へのこだわりです。具体的にどのような基準を持っているのでしょうか。
私が一番重視しているのは「売買代金」です。具体的には、1日の売買代金が「30億円以上」ある銘柄しか基本的には触りません。
多くの個人投資家の方は、値動きの軽さを求めて小型株や新興市場の銘柄を好む傾向がありますよね。ですが、私は逆です。流動性が低い銘柄はリスクが高すぎると考えているからです。
ーー一般的には「小型株の方が株価が倍になりやすい」といった夢があるように思えますが、なぜそこまで避けるのですか。
いちばんの理由は「逃げたい時に逃げられないから」です。
流動性が低いと、自分の注文自体が株価に影響を与えてしまったり、売りたい価格で売れなかったりします。
例えば、「ここを割ったら損切りしよう」と決めていても、板(注文数)が薄いと、売った瞬間に株価が大きく動いてしまい、想定以上に安く約定してしまうことがある。これでは資金管理ができません。
対して、売買代金が大きい大型株であれば、自分の注文が相場を動かすことはほとんどありません。
「1000円で買いたい」「1000円で売りたい」と思った時に、その価格でスムーズに売買できる。この“再現性”が何より重要なんです。
ーー「いつでも思い通りに売買できる」という環境を確保することが、リスク管理になるわけですね。
おっしゃる通りです。それに、流動性が高い銘柄にはもう一つメリットがあります。それは「チャートパターンが機能しやすい」ことです。参加者が少ない銘柄は、特定の誰かの買いや売りでチャートがいびつになりがちです。
一方で、多くの人が参加している銘柄は「群集心理」が素直に反映されます。
「ここを超えたら上がる」「ここを割ったら下がる」という教科書的なセオリーが、大型株のほうが通用しやすいんですよ。