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私立小学費1200万は「浪費」か「投資」か?Fラン出身の親が慶應幼稚舎などの“メガ銘柄”に賭ける真の理由

 出生数が過去最低を更新する一方、首都圏の小学校受験市場は空前の「熱狂」に包まれている。1200万円規模の資金が動くこの市場は、もはや教育ではなく、限られたパイを奪い合う「金融ゲーム」の様相だ。連載「億り人投資家ママ ちょる子の小学校受験戦記」第4回となる今回は、学歴コンプレックスを抱えながらも、あえてこの修羅場への参戦を決意した親の視点を追う。冷徹なキャッシュフロー計算と現場視察で「異様な光景」を突きつけられ、迷いの果てに行き着いた、1200万円を投じてでも手に入れるべき「真のROI」の正体とは。

目次

出生数最低でも市場は「熱狂」。祖父母の資金をも飲み込み「プレミアム教育」という限定枠に資金が集中する怪現象

 日本の出生数が過去最低を更新し続ける一方で、「子ども一人当たりにかけられる教育費」はむしろ増加傾向にある。祖父母からの資金援助も含め、限られた人数の子どもに対して教育資金が「集中投資」される構造ができあがっているのだ。

 実際、都内の私立小学校に6年間通わせるとなれば、学費だけでも総額1000万円前後。そこにお付き合いや習い事などの付帯費用を合わせれば、1500万円規模になることも珍しくない。 それほどの巨額のコストがかかるにも関わらず、首都圏の私立小受験の志願者数は高水準を維持し、慶應や早稲田といった“メガ銘柄”は倍率10倍を軽く超える。

 不景気や物価高をものともせず、「プレミアムな教育環境」という限られたパイを巡って、親たちの莫大な資金と情熱が濁流のように流れ込み続けているのだ。

23区・小学校の「リアルな学費」比較。1200万を「慶應」へ投じるか、S&P500で資産を作るか

「やります。この子の強みに賭けます」

 幼児教室の面談室で涙を拭い、そう高らかに宣言したあの日。我が家の「小学校受験プロジェクト」は、これ以上ないほどの熱量とともに幕を開けた。

 しかし、「買い注文」を入れた興奮から一夜明けると、投資家としての冷徹なもう一人の私が、頭の中でけたたましく警報を鳴らし始めた。

 待て。その学校の、本当のコストを把握しているのか? と。

 覚悟を決める前に、投資家としてどうしても避けて通れないプロセスがある。それは「財務の適正評価」、つまり学費のリアルな比較検討だ。 小学校受験の準備費用(幼児教室代など)で数百万円が吹き飛ぶことはすでに覚悟したが、それはあくまでイニシャルコスト。真の財務インパクトは、入学後のランニングコストにある。

 東京23区で小学校に通う場合、進路によって我が家のキャッシュフローはどれほど変わるのか。改めて計算してみた。

① 公立小学校の場合(コスト:約200万〜300万円/6年間)

 授業料と教科書代は無償だが、完全無料というわけではない。給食費、教材費、修学旅行の積立金などで年間約10万円。加えて、共働き家庭に必須の民間学童保育(アフタースクール)や、高学年からの塾代などを加味すると、6年間でざっと200万〜300万円程度の支出が見込まれる。

② 国立小学校の場合(コスト:約300万〜400万円/6年間)

 筑波大学附属小学校や学芸大附属小学校など。授業料は公立同様に無償だが、後援会費や独自の教材費、寄付金などがかかる。また、電車通学となるため交通費も発生する。私立に比べれば圧倒的にローコスト(超優良バリュー銘柄)だが、最大のリスクは前回も触れた通り、複数回の「抽選」という名の絶対的な運(システマティック・リスク)に左右される点だ。

③ 私立小学校の場合(コスト:約600万〜1,200万円以上/6年間)

 そして本丸の私立小学校。学校によって幅はあるが、初年度納入金(入学金+授業料等)で約100万〜160万円、次年度以降も年間80万〜130万円程度がかかる。
例えば、目標に掲げた「慶應義塾幼稚舎」の場合、卒業までに授業料等の学校納入金だけでも1000万円規模になる。ここに指定の制服代、給食費、お付き合いの費用、習い事代が加わる。そのまま大学まで進学することを考えれば、数千万円規模の特大プロジェクトとなる。

 この莫大なキャッシュアウトを前にしたとき、私は夜な夜な自問自答するようになった。

「1200万円あれば、たとえばS&P500などのインデックスファンドで複利運用して、娘が成人する頃には大きな資産として渡してあげられるのではないか?」

「この莫大な投資は、本当に正しいのだろうか?」

「娘の可能性を広げるためと言いながら、本当は『慶應ブランド』に目が眩んだ私のエゴではないのか?」

 答えの出ない問いが、暗闇の中で何度もぐるぐると巡る。 しかし、立ち止まっている暇はない。お受験市場の時計の針は、容赦なく進んでいくのだ。

仕事の会議中にリロード連打。お受験界の「ブルームバーグ端末」と、親の機動力が試される「5つの視察ルート」

 年が明けた1月末から、2月。この時期から、各校の合同説明会や見学会が本格的にスタートする。ここから先は、親の「情報収集能力」と「機動力」がダイレクトに勝敗を分けるフェーズだ。 お受験界には、投資の世界における「ブルームバーグ端末」のような必須ツールが存在する。それが『さくらカレンダー』という、小学校受験の日程管理に特化したアプリだ。さらに、ポータルサイト「お受験インデックス」をブラウザのブックマークの最上段に固定し、毎日のように更新情報をチェックする。

 そして何より重要な情報源が、毎週通う幼児教室の「壁」だ。 お教室の壁には、都内・神奈川のありとあらゆる小学校のスケジュールがびっしりと貼られている。私はそれを見るや否や、片っ端から自分のスマートフォンのカレンダーに入力し、申し込みのクリック戦争に身を投じていった。

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この記事の著者
ちょる子

投資歴14年。平成生まれの兼業投資家。2児の母として育児をしながら億り人を達成し、現在の総資産額は2億円。『日経WOMAN』『ダイヤモンドZAI』、『日経マネー』、『日経電子版』、『日経モーニングプラス』など数多くのメディアに出演。(X:https://x.com/kabu_st0ck)

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