坪2億円超え、銀座の超高値が平成バブル時の「狂乱」と異なるワケ
人口減、高齢化。そんなマクロ経済の常識をあざ笑うかのように、2026年の公示地価は5年連続のプラスを記録した。だが、数字に騙されてはいけない。今、日本の土地で起きているのは、全体の底上げではなく、特定の地点にのみ富が凝縮される「極端な選別」だ。世界中の投資マネーを吸い寄せる東京・大阪、半導体工場を起爆剤に爆騰する千歳、そしてインバウンドに占領されるリゾート。一方で、その恩恵から完全に取り残され、静かに沈む郊外エリア。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏が、最新の統計データの「行間」を読み解き、格差が極まるマーケットの真実と、投資家が持つべき羅針盤を提示する。
みんかぶプレミアム連載「牧野知弘 不動産を斬る!」
目次
人口減少下で「5年連続プラス」。都心部を突き動かす投資マネーの熱狂
今年の公示地価が発表されました。全国の住宅地が対前年比で2.1%、商業地で4.3%と5年連続のプラスです。コロナ禍以降の地価上昇の傾向が続いていることが確認されます。人口が減少し、高齢化が進行する日本で全国の地価が平均値で上昇しているというのはなかなかすごいことです。
地域別にみると、東京都区部では住宅地が9.0%(前年7.9%)、商業地が13.8%(前年11.8%)の高い伸びを記録しました。同様に大阪市でも住宅地6.5%(前年5.8%)、商業地12.7%(11.6%)と上昇率が高まっています。東京、大阪の二大都市は国内外の投資マネーが大量に流入している証左とも言え、都区部のマンションが新築、中古とも1億円をはるかに超える価格になっていることも投資需要の高まりを背景とした地価上昇につながっているものと推察されます。
なぜ名古屋は「東京・大阪」になれないのか? 鉄道網とインバウンドが分ける地価の明暗
一方、今回の発表で特徴的だったのが名古屋市です。ここは投資マネーがあまり流入していない都市で住宅地3.1%、商業地4.5%とも前年の上昇率(住宅地3.6%、商業地5.0%)を下回る結果となっています。名古屋は東京や大阪に比べてインバウンド需要が低いことが原因のひとつ。そして鉄道網が発達しておらず自動車が移動の中心という特徴があります。一つの地域に人が集まりにくいことも投資マネーを誘引しにくい構造になっているものと考えられます。逆に考えると名古屋市の不動産マーケットが今の日本の不動産の実力値を示しているとも考えられます。
同様に地方四市(札幌、仙台、広島、福岡)も住宅地で3.5%、商業地で6.4%と上昇率の鈍化が鮮明になっています。ちなみに住宅地および商業地の全国最高値をチェックしてみましょう。毎年同じ顔触れですが、住宅地は東京港区赤坂1丁目で1㎡あたり711万円、坪換算で2350万円。前年比20.5%の高い伸びを示しました。商業地の常連が東京中央区銀座4丁目の山野楽器前、1㎡あたり6710万円、坪換算で2億2182万円。前年比で8.6%の値上がりとなりました。