ディーラーに頼んでも安心じゃない 整備会社選びで見るべき“目印”
中東情勢の悪化に伴い資材不足が起き、自動車業界は深刻な打撃を受けたが、現在資材不足は改善傾向を見せている。とはいえ、新型コロナウイルスや震災など、定期的に未曽有の危機は発生しており、今後も今回と同程度、あるいはそれ以上のダメージを受ける可能性は低くない。大阪府豊中市で自動車の修理・塗装や整備を手がける株式会社BICで代表取締役を務め、登録者16万人以上のYouTubeチャンネル「BICチャンネル(BEEFITCARS)」を運営し、日々自動車業界のリアルを発信している細田宗範氏に、生き残るためのポイントなどについて話を聞いた。(聞き手・望月悠木)
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変われない業界の体質
――今回の中東情勢の悪化を受け、自動車業界、ひいては自動車整備業界が今後生き残っていくために必要な「気付き」もあったのではないでしょうか。
近年の車には自動ブレーキや、周囲の障害物を感知するレーダー、周りを映す複数のカメラなど、無数のセンサーが搭載されています。修理の際にバンパーやミラーを外して、中に組み込まれたこうした部品を正しく元通りに取り付けなければ、事故につながりかねません。また、今は専用の機械につないで数値がきちんと合っているか確認する「エーミング」という作業が義務化されており、30年前には考えられないほど責任は重くなりました。
もはや「昔ながらの板金屋」では務まらず、車のお医者さんのように専門知識と責任を持って対応する存在にならなければいけない時代になっています。板金塗装は立場が弱く、値上げ交渉が難しい業種です。ただ、この専門性の高さを発信し続けることこそ、唯一といっていい値上げの方法であり、この業種が生き残っていくためにも、業界全体で共有すべき姿勢かなと思っています。
――業界全体で変わっていきそうな空気感はありますか。
多くの業者は地元の事業を親から受け継いだ2代目・3代目の経営者で、ベンチャー企業のような挑戦的な気風は乏しいのが実情です。表面的には「自分なりに一生懸命やっている」と語る経営者は多いのですが、実際に危機的状況に直面した時にこれまでの経営を見直し、転換できる人はごく一部。今回の中東情勢の悪化でも、材料が手に入らなくなったのをきっかけに、半世紀続けてきた修理・塗装業をあっさりと手放した同業者もいました。
――なかなか道のりは険しそうですね。
そうですね。外壁の塗装工事を手がける全国700社ほどが集まる団体「日本塗料工業会」が、中東情勢の悪化を受け、いち早くアンケート調査を行い、8割ほどの回答を翌日には集めて、団体幹部がそろって記者会見まで開き、窮状を訴えた対応には感心しました。
しかし、弊社が所属している、全国の修理・塗装業者が集まる組合「自動車車体整備協同組合」には、全国でおよそ3000社が加盟しているにもかかわらず、そうした発信力をまだ持てていません。
今回の資材不足について、建設業界や食品業界がメディアで頻繁に報じられている一方で、同じく窮地に追い込まれている自動車業界に関する報道はほとんどありません。こうした発信不足が、世間や政府から目を向けられにくい業界になっている要因かと思います。今回のことをきっかけに、組合の中で積極的に発信していく流れを作れないか働きかけていきたいです。