AIバブルはまだ「6~7合目」――専門家が語る相場の現在地
NVIDIAをはじめとする半導体株や、大量のデータセンターを持つ米国の巨大IT企業の株価は歴史的な高値圏にあり、AI関連株の上昇が続いている。こうした状況を「AIバブル」と捉えている投資家や評論家は少なくないが、果たしてその実態はどうなのだろうか。7月15日に発売された『AIバブル後の投資戦略 「真の分散投資」を求めて』(ダイヤモンド社)の著者で、ブルーモ証券株式会社代表・中村仁氏に、現在の「AIバブル」の実態を多角的に聞いた。全4回の第1回。(聞き手・望月悠木)
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バブルは「6~7合目」
――現在のAI関連株の相場は、バブルと言える状態なのですか。
熱は高まりつつありますが、まだ完全なバブルとは言えない状態だと思っています。そもそも、「AI投資が過剰になっていないか?」という慎重な見方をする人も少なくありません。また、「AIに巨額投資をしている大手IT企業の株価が高すぎる」という指摘もあり、足元では半導体株にも値下がりが見られています。つまり、誰もが「もっと上がる」と楽観しているわけではありません。これは、「みんなが疑いなく強気になっている」というバブルの典型的な状態とは異なります。
――どのくらいの位置にあると見ていますか。
明言は難しいのですが、著名な投資家であるレイ・ダリオ氏が提唱している「バブルの度合いを10段階で測る目安」に当てはめると、今はまだ6合目から7合目程度だと考えています。「完全にバブルになりきった」とは言えない、いわば「バブルの手前」に近い状態です。
――大前提として、なぜ今のAIブームが起きたのですか。
明確な転換点は「ChatGPT」の登場です。2022年後半に登場して以降、潮目が一気に変わりました。それ以前は「機械学習(マシンラーニング)」「深層学習(ディープラーニング)」といった専門的な技術がそれぞれ個別に語られていました。
しかし、話しかけるように指示を出し、それに話し言葉で答えを返してくる生成AIが登場したことで、専門家だけでなく一般の人々もAIを身近に感じられるようになりました。それ以降、細かい技術の種類ごとに議論されることはほとんどなくなり、「AIを使って何ができるか」という切り口で語られるようになりました。
――10年ほど前から「AIに仕事を奪われる」というトピックスでAIが議論されていましたが、以前と今ではAIに対する見方は何が違いますか。
大きく違います。以前のAIは画像を見分けるといった、決まった作業だけをこなす技術で、応用が利く範囲はそれほど広くありませんでした。それがいつの間にか、1つのAIがいろいろな指示にまとめて対応できるようになった。これが生成AIの登場がもたらした本質的な変化です。できることの幅が広がったことで、実際に使われる場面も一気に増えました。以前の「AIに仕事が奪われる」という話が漠然とした将来の予測だったのに対し、今は具体的な仕事が実際に置き換わり始めている点が大きく異なります。