含み益を「自分のお金」だと思うな! 資産10億円投資家が実践する「7割売却・3割保有」の出口戦略
資産10億円超の投資家・DAIBOUCHOU氏が今回テーマとするのは、投資家が最も頭を悩ませる「買い時と売り時」だ。
高値から半値になった株を見て、「そろそろ割安だ」と買い向かう。好決算で株価が上がれば、「まだ伸びるはず」と持ち続ける。しかし、こうした判断には、過去に見た株価や含み益に引きずられる心理が入り込みやすい。
DAIBOUCHOU氏が実践しているのは、テーマ株の保有期間を半年程度で区切り、上昇時には「7割を売り、3割を残す」という出口戦略だ。
大底や天井を当てずに利益を手元へ残し、次の投資のチャンスに備えるにはどうすればよいのか。激動相場を生き残るための売買ルールを伺った。インタビュー連載全3回の第2回。
10万円から5万円でも「半値買い」は危険な理由
ーー乱高下する相場では、高値から大きく下落した銘柄も目立ちます。「最高値から半値になったのだから、そろそろ安い」と考えて買う投資家もいます。
直近の高値を基準にして「安くなった」と判断するのは危険です。過去に見た数字に判断が引っ張られる現象を、行動経済学ではアンカリング効果と呼びます。
例えば、ある半導体関連企業の株価が、もともと5万円だったとします。当時は市場でも「5万円はかなり高い」と評価されていました。
ところが、AI特需への期待から株価が10万円まで上昇すると、投資家の感覚が変わります。その後、株価が5万円まで下がれば、以前は割高とされていた同じ5万円でも、「最高値から半値になったので安い」と感じてしまうのです。
ーー大きく下がった株を買うのは、逆張り投資の基本ともいわれます。バーゲンセールとは考えられないのでしょうか。
株価が下がったという理由だけでは、割安になったとはいえません。
企業の利益や成長性が変わっていないのであれば、5万円でも割高かもしれません。反対に、利益が大きく伸びていれば、以前より高い株価でも割安な場合があります。
問題なのは、直前に見た「10万円」という数字に引っ張られ、現在の企業価値を確認しないまま買うことです。
この錯覚に陥ると、株価が下がるたびに「さらに安くなった」とナンピンを続け、損失を膨らませてしまいます。
過去の最高値や自分の買値はいったん忘れ、現在の利益水準やPERなどから、今の株価を改めて評価する必要があります。
テーマ株の賞味期限は「次の決算まで」
ーーAIデータセンターを支える電力・設備株や、工作機械などに注目していると思いますが、こうした成長テーマは長期保有したほうがよいのでしょうか。
テーマ株を、将来性があるという理由だけで持ち続けるのはおすすめしません。
有望なテーマほどニュースやSNSで注目されやすく、実際の利益が伸びる前から株価が上昇します。話題になった時点で、数年先の成長まで織り込んでいることもあります。
そこで私は、「次の決算まで」を一つの期限として考えています。期間にすれば、長くても半年程度です。
今後半年の受注や利益に勢いがあるのか。次の決算でも市場の期待を上回れるのか。そこを確認し、勢いが鈍化したと感じたら、次の銘柄へ資金を移します。
ーー半年で手放すと、その後の大きな上昇を逃す可能性もあります。
もちろん、決算を重ねるたびに利益が伸びているのであれば、保有を続けても構いません。ただし、「テーマが続くこと」と「株価が上がり続けること」は別です。
AIやロボットの市場が長期的に成長しても、個別企業の株価は、それより早く天井をつけることがあります。市場の期待が高すぎれば、好決算でも「期待ほどではない」と判断され、売られることもあります。
大切なのは、テーマの将来性を信じ続けることではなく、業績の勢いと株価の反応を確認することです。
半年先の数字を正確に読み切ることはできません。だからこそ、時間軸を区切り、次の決算ごとに保有理由を見直す必要があります。