「高利回り5%=お得」はただのギャンブル・・・10億円投資家が警告する“高配当株の新常識”
資産10億円超のベテラン投資家・DAIBOUCHOU氏が今回、個人投資家に人気の「高配当株」と「株主優待」の最新事情に迫る。
金利上昇によって、「利回り3%なら高配当」という常識は変わりつつある。ただし、5%を超えれば安心というわけでもない。業績不振で株価が下がり、見かけの利回りだけが高くなっている銘柄もあるからだ。
では、高配当株のどこを見ればよいのか。一方、中小型株では、優待総額を株主全員で分ける「デジタルギフトの山分け優待」も広がり始めている。
数字の高さに惑わされず、高配当株と株主優待を選ぶための新しい基準を伺った。インタビュー連載全3回の第1回。
配当3%の株より、社債が選ばれる時代
ーー新NISAの普及もあり、個人投資家の間では高配当株が人気です。「まずは配当利回り3%を目指す」という初心者も少なくありません。この基準をどう考えていますか。
結論から言えば、「利回り3%なら高配当」というのは、過去の感覚になりつつあります。
これまでの日本は金利が異常なほど低く、預金や債券では十分な利回りを得られませんでした。そのため、多少の価格変動リスクを負ってでも、配当目的で株式を買う投資家が多かったのです。
しかし、現在は社債などでも2.5%程度の利回りを得られる「金利のある世界」に変わりました。値下がりする可能性のある株式を買って3%の配当を得るより、価格変動の比較的小さい債券を選びたいと考える人も増えます。
企業の株主還元も強化され、今では利回り4%程度の銘柄も珍しくありません。私の感覚では、5%を超えてようやく「高配当」と呼べるような環境に変わってきました。
ただし、「5%以上なら買い」という意味ではありません。金利が上がったことで、株式に求められる利回りの基準も上がったということです。
利回りだけが高く見えている企業も
ーー利回り5%を超える銘柄ばかりを探すのは危険ではないでしょうか。株価が下落した結果、見かけの利回りだけが高くなっているケースもあります。
まさにその通りです。表面的な利回りだけで飛びつくのは危険です。
配当利回りは、1株あたりの配当金を株価で割って計算します。業績不振で株価が大きく下がった結果、利回りだけが高く見えている企業もあります。
また、配当性向が100%を超え、利益以上のお金を株主に配っている企業にも注意が必要です。無理な配当を続けていれば、業績が少し悪化しただけで減配に追い込まれます。
見るべきなのは、会社自体が増益基調にあり、その増えた利益を株主へ還元しているかどうかです。利益やキャッシュフローが安定しているか、配当性向が高すぎないかも確認しなければなりません。
ファンダメンタルズを無視して高利回りだけを探すのは、投資ではなくギャンブルになってしまいます。
ーー高配当株は成熟企業が多く、値上がり益を期待しにくいとの指摘もあります。
利益が伸び、それに合わせて配当も増えている企業であれば、配当と値上がり益の両方を狙えます。
例えば、市場から配当利回り2%程度で評価されている企業があるとします。1株配当が100円なら、株価は5000円です。業績が伸びて配当が110円に増え、同じ2%の利回りで評価されれば、株価は5500円になります。
つまり、配当が1割増えれば、株価も1割上がる計算です。
ここでいう「2%」は、高配当株の基準ではありません。増配によって株価が上昇する仕組みを説明するための、その企業に対する市場の評価基準です。
高配当株を選ぶ際も、現在の利回りだけではなく、将来の利益と配当が伸びる余地を見る必要があります。