なぜ東大・一橋・早慶卒はコンサル業界に殺到するのか…他方、開成・渋幕卒には地方国立医学部が大人気な理由
受験界隈では「東大・医学部合格者数」が今なお評価の指標とされがちだ。しかし教育投資の真の価値は大学名ではなく、その先にある就職や生涯年収、働き方まで含めた「予後」で決まる。大企業の終身雇用が揺らぐ現代、名門中高一貫校出身のエリート層は「学歴そのもの」ではなく「学歴をいかに高い専門性と市場価値に換金するか」を冷徹に計算している。彼らが辿り着いた「高収入・高再現性・高景気耐性」を兼ね備えた進路とは何か。受験評論家・じゅそうけん氏が、令和における“予後最良”のキャリア戦略を分析する。
みんかぶプレミアム特集「学歴社会の功罪 AI時代に学歴は無意味なのか」第1回。
官僚や大企業の終身雇用はもはや過去 20〜30代の若手エリートが「一本道の成功モデル」を捨てる背景
受験界隈では相変わらず「東大◯人」「医学部◯人」が学校評価の中心である。しかし、教育投資を考える上で本当に重要なのは大学受験の結果ではない。本当に大事なのは、その先にある就職やキャリア、そして生涯年収や働き方まで含めた「予後」である。
近年の名門中高一貫校出身者、とりわけ20代から30代前半の若手エリートたちの進路を観察していると、かつてのような「とりあえず東大法学部に行って官僚」や「大企業正社員で定年まで逃げ切る」といった一本道の成功モデルは急速に影を潜めている。一方で、彼らが現実的かつ合理的な判断を重ねた結果、多くが集まっている進路が存在する。それは端的に言えば、「高い専門性と市場価値を確保しながら、景気変動によるリスクを最小化するルート」である。
かつての名門校生は東大を頂点とする学歴競争の勝者になること自体が目的化していた。しかし現在の若手世代は違う。彼らはインターネットによって社会人の実態を知っている。東大や早慶を卒業したとしても、必ずしも豊かな人生が保証されるわけではないことも理解している。そこで今回は、いまの若手世代の予後最良ルートについて考察していく。
東大、一橋、早慶生がコンサルに殺到 「受験脳の大量情報処理」と実務の極めて高い親和性
大手企業に就職しても終身雇用は保証されない。年功序列も弱体化している。外資系企業は高年収だが競争も激しい。起業には夢があるが失敗リスクも大きい。だからこそ彼らは、「学歴そのもの」ではなく「学歴をどう換金するか」を重視するようになった。
その文脈でまず外せないのがコンサル業界である。難関中高一貫校から東大、一橋、早慶へ進学した学生の間では、コンサルはもはや特別な就職先ではない。外資戦略コンサルや総合コンサル、大手シンクタンクは最も人気の高い選択肢の一つとなっている。
理由は単純だ。給与水準が高く、転職市場での評価も高いからである。また、コンサル業務は受験との親和性が極めて高い。短期間で大量の情報を処理し、論理的に整理して解を導く能力は、まさに難関大受験で鍛えられる能力そのものである。そのため開成や桜蔭、渋幕、聖光学院、麻布といった名門校出身者が自然に流入してくる。
近年は「金融専門職」も人気が高い。ここでいう金融専門職とは支店営業から始まるメガバンクではない。投資銀行、PEファンド、アセットマネジメント、クオンツ、アクチュアリーなどの高度専門職を指す。これらの職種は、依然として国内トップクラスの報酬水準を誇る。20代後半で年収2000万円程度まで到達するケースも珍しくない。
もちろん激務ではある。しかし名門中高一貫校出身者の多くは、もともと競争環境に慣れている。中学受験、大学受験と勝ち抜いてきた彼らにとって、高難度の業務や長時間労働それ自体は大きな障壁ではない。その結果、東大経済、一橋、慶應経済・商、早稲田政経などから金融専門職へ進む流れが一つの王道になっている。