東大医学部生「やりたいことがない高校生ほど、東大を目指すのが合理的」なぜなのか…学歴の「賞味期限」と、企業が採用候補者に求めるもの
「学歴なんて社会に出たら関係ない、実力主義の時代だ」――そんな世間の綺麗事を軽やかに一蹴し、日本社会の根底に流れる「序列」のリアルを冷徹に見据える人物がいる。東京大学理科一類を卒業後、外資系企業でエンジニアとして働き、現在は再受験を経て東京大学医学部に在学中のインフルエンサー、Saki氏だ。
同氏は、理不尽な学歴社会をただ嘆くのではなく、そのルールをハックし、自分の人生を有利に進めるための「防具」として使い倒す戦略を提唱している。
本稿では、全3回にわたりSaki氏のキャリア論を再構成して徹底解説。第2回となる今回は、その防具を手に入れる際の「大学選び」の残酷な真実と、社会に出てからの学歴の「賞味期限」について明かす。
みんかぶプレミアム特集「学歴社会の功罪 AI時代に学歴は無意味なのか」第7回
18歳で「将来の夢」を決めるのはリスクが高すぎる
「高校生のうちに、将来やりたいことを明確に決めなさい」――学校の先生や大人たちはよくそう言いますが、僕はこれに対して非常に懐疑的です。
たしかに、大谷翔平選手のようなトップアスリートであれば、幼少期から一つの競技に絞って一途に頑張り続けることがキャリアにおいて重要になります。しかし、ビジネスや学問の世界は全く違います。
現在、世の中を動かしている著名な経営者やトップ研究者の人たちが、全員「18歳の時点で今の姿になることを完璧に決めていた」かというと、絶対にそんなことはありません。彼らでさえ、キャリアの途中で様々なピボット(方向転換)を経験しています。 社会に出たこともない18歳の高校生が、「自分は一生この道を歩む」と正確な意思決定をするなんて、そもそも難しいのです。それなのに、早い段階で専門分野を一つに絞り込んでしまうことは、自らの可能性を潰す致命的なリスクになり得ます。
選択肢を自ら狭める「地域枠」の落とし穴
だからこそ、僕が一番伝えたいのは「目先の入りやすさで、安易に選択肢を狭めるな」ということです。
例えば、医学部受験において近年増えている「地域枠」という制度があります。これは、学費の免除や優遇措置を受けられる代わりに、卒業後9年間はその指定された地域や診療科で働かなければならないという強烈な縛りが発生する入試方式です。 医師になりたいという確固たる覚悟と地域医療への熱意があるなら素晴らしい制度ですが、キャリア戦略という観点で見ると、これはリスクの高い選択です。なぜなら、20代から30代というビジネスパーソンとして最も成長し、様々な場所で挑戦できるはずの貴重な時間を、物理的にもキャリア的にも完全に縛り付けられてしまうからです。自ら選択肢を大幅に狭めてしまうことは、長期的なキャリアにおいて重い代償を払うことになります。