増収増益なら、いい決算なのか? 東大卒・元証券マンの株のプロが明かす「いま注目する日本企業」

利益が増えた会社を、そのまま評価してよいのか。反対に、減益だった会社はどう見ればよいのか。決算の結果だけでは、企業の中で起きている変化までは分からない。
つばめ投資顧問代表の栫井駿介氏は、具体的な企業の何に注目し、どの数字から考えているのか。第2回では、関心を持つ日本企業の事業別の着眼点と、利益率や設備投資を読み解く方法を紹介する。
みんかぶマガジン特集「決算シーズンに考える、株と資産形成の最適解」
増益なら評価できて、減益なら駄目なのか
私は、増収増益だったという結果だけで、企業への見方を決めるわけではありません。利益が増えたなら、どの事業で伸びたのかを確かめますし、減ったときも、その理由によって受け止め方が変わります。
特に、複数の事業を持つ会社では、全体の数字だけでは各事業の状況は分かりません。自分が関心を持つ事業で、期待していた動きが出ているかを調べます。同じ会社の決算でも、どこに注目するかによって、資料の読みどころは変わってくるんです。
私がいま関心を持っている日本企業の一つも、複数の事業を展開しています。AIなどの技術を実際の事業に結びつけ、収益にしている点や、データセンターの建設に伴って需要が広がる事業に注目しています。
こうした動きを追うと、一社の決算が、ほかの企業や産業を調べるきっかけにもなります。ある会社で需要が増えていれば、近い事業を行う会社ではどうだろうかと考えられますよね。一社の数字から、関心が広がっていく面白さもあります。
会社の説明を、そのまま受け取らない理由
決算資料や決算説明資料には、業績が変化した理由を会社自身がどう捉えているかも書かれています。私もそこを読みますが、説明されている理由を、そのまま受け入れるとは限りません。
例えば、小売の会社が「夏が暑かったので売れませんでした」と説明していたとします。実際にはそれほど暑くなかったなら、その理由だけでは納得できませんよね。会社が挙げている要因と、実際に起きていたことが合っているかを考えます。
天候や経済環境の影響を避けられない場合もありますが、外部環境を理由にしていても、自社の戦略に問題があるかもしれません。説明を読むときは、その可能性も含めて見ています。
さらに、会社が問題にどう対応しようとしているかも確かめます。業績が悪化した理由だけでなく、何を課題と捉え、どんな手を打つつもりなのか。その対応に納得できるかまで考えると、数字だけでは分からない経営の姿勢も見えてきます。