なぜ、生成AI時代ほど『マリオ』『ポケモン』の価値が高まるのか・・・億り人ゲーム投資家が語る“勝ち組ゲーム会社”の条件
本稿で紹介している個別銘柄:カプコン(9697)、ソニーグループ(6758)、任天堂(7974)
世界のゲーム市場が拡大する一方で、海外では大手ゲーム会社による人員削減やスタジオ閉鎖、開発中止のニュースが珍しくなくなった。
ゲームの映像は美しくなり、作品の規模も大きくなっている。その裏で、1本のタイトルを完成させるまでに必要な費用と時間は膨らみ続けている。
ゲーム産業は、成長の限界を迎えつつあるのだろうか。
元手300万円からゲーム株投資で資産1億円を築いた専業投資家のゆず氏は、日本のゲーム企業について「まだ強みがある」と見る。
海外勢との違いはどこにあるのか。生成AIの普及で、開発費高騰の問題は解消されるのか。今後5〜10年のゲーム業界で勝ち残る企業に必要な条件を伺った。インタビュー連載全2回の最終回。
海外でリストラ相次ぐ一方、日本の大手はなぜ好調か
ーー欧米の「AAAスタジオ」を中心に人員削減や開発中止が相次ぐ一方、カプコンなど日本の大手ゲーム会社には好調な企業もあります。この違いをどう見ていますか。
いくつか理由はありますが、大きいのはIPと開発ノウハウだと思います。日本のゲーム会社には、長い年月をかけて育ててきたシリーズが数多くあります。
カプコン(9697)であれば、『バイオハザード』『モンスターハンター』『ストリートファイター』などがありますよね。
こうしたシリーズは、すでに世界観やゲームの基本的な仕組みができています。何作も開発してきた経験も、社内に蓄積されています。
毎回すべてをゼロから考える場合と、「このシリーズなら、こう作る」という土台がある場合とでは、開発の進めやすさが大きく違います。
ーーナンバリングやリメイクが多いのは、マンネリとも言われませんか。
ユーザーから見れば、そう感じることもあると思います。「また続編か」「新しいゲームを作ってほしい」と思う人もいるでしょう。
ですが、投資家として会社を見る場合は少し違った見方もできます。
強いシリーズを持っていれば、これまで培ってきた技術やノウハウを生かして次の作品を作れます。新規タイトルを毎回ゼロから立ち上げるより、開発の見通しも立てやすいですよね。
新しいIPを生み出すことはもちろん大切です。それと同時に、既存シリーズを持っていること自体が、経営を安定させる要素にもなっていると思います。
「大作を作れば勝てる」が通用しなくなった
ーー海外企業も有名シリーズを持っています。それでも苦戦する理由は何ですか。
開発費が大きくなりすぎていることは、かなり影響していると思います。海外では、「AAAタイトル」と呼ばれる非常に大規模なゲームを作るケースが多いですよね。
映像にこだわり、広大なオープンワールドを作り、何十時間も遊べる作品にする。それだけ必要なスタッフは増えますし、開発期間も長くなります。
さらに、米国など海外の一部地域では、日本より人件費が高いケースもあります。
何年もかけて数百人単位で開発を続け、その間ずっと高い人件費を払い続ける。完成したゲームが大ヒットすればよいですが、途中で採算が合わないと判断されれば、開発中止やスタジオ閉鎖につながることもあります。
ーークオリティを高めるほど、企業にとってリスクになるわけですか。
そうですね。ゲームは、開発費を増やした分だけ売れるわけではありません。100億円をかけたゲームが、50億円で作ったゲームの2倍売れる保証はありませんよね。
開発期間が長くなるほど、その間にユーザーの好みや市場環境が変わる可能性も高まります。そう考えると、すでに強いIPがあり、シリーズの作り方を熟知している企業は有利です。
ゲームのおもしろさはもちろん重要です。ただ、投資では「いくら使い、どのくらいの期間で作り、最終的にどれだけ回収できるのか」まで見たほうがよいと思います。