なぜあの人は実力以上の成功を収めるのか?チャンスが集まる人が持つ「信頼ストック」とは

同じ実力を持っていても、次々と仕事や人脈に恵まれる人と、なかなかチャンスをつかめない人がいる。非認知能力トレーナーの白石慶次氏は、その差を生むのが「信頼ストック」だと話す。自分の実力だけでは辿りつけない場所へ連れていってくれる、「人に助けてもらう力」の育て方を、白石氏が紹介する。
※本稿は白石慶次著『「好かれる人」のこれだけ いつも選ばれる人に変わる非認知能力のトリセツ』(すばる舎)から抜粋、再構成したものです。全3回中の2回目。
実力以上の成功をもたらしてくれる「信頼ストック」
リアクションで相手をいい気持ちにしたり、ほめるのではなく認めたり、相手が聞きたい話を選んで話したりするような「与える力」を伸ばす習慣は、目の前にいる人に届ける小さな行為です。
こうした小さな与える行為が積み重なることで、私たちは“ある巨大な資産”を静かに積み上げることができます。「信頼ストック」です。
これは言い換えれば、「誰かに助けてもらう力」のこと。この力は、あなたに“実力以上の成功”をもたらしてくれます。
人生がうまくいっている人は例外なくこう言います。「いや〜、たまたまですよ」「本当に人に恵まれていて……」……などなど。でもこれは、謙遜ではありません。成果を上げている人がこぼすこうした何気ない言葉は、すべて「信頼ストック」が機能していることを示しています。
なぜなら、成功している人の背後には必ず、
・チャンスをつないでくれた人
・自分では気づけない情報を教えてくれた人
・窮地のときに手を差し伸べてくれた人
・思いがけない形で守ってくれた人
こうした、“周りの人の無数の支え”が存在しているからです。
成功者の「人に恵まれていて」という言葉は、「自分には、人に助けてもらえるだけの信頼のストックがあった」という告白でもあるのです。
後輩にもらった、返し切れない恩
入社早々に社長にクビを言い渡され、「俺、この仕事に向いてないんですかね?」と私に相談してきた後輩がいました。その後輩はその後、私の人生を大きく変える大恩人になりました。
私が27歳のとき、彼はある講座に参加し、私にも「白石さんも、行ったほうがいい」と勧めてきました。しかし、当時の私は恐怖を感じました。その講座では、自分と向き合うような課題が出されるらしいのですが、私は単純に自分と向き合うのが怖かったのです。
本当の自分を見つめ直したりしたら、それまでに積み上げてきたものが全部崩れてしまうような気がしました。私は9ヶ月ものあいだ、後輩の誘いから逃げ回りました。
その間も、彼はひたすらに私の話を聞いてくれ、私がどれだけ言い訳をしても否定をしませんでした。どれだけ遠回りをしても、私を見捨てなかったのです。
何度も何度も、私の可能性を諦めずに背中を押し続けてくれました。そんな彼に、私はひどいことも言いました。
「そんなにすごい講座なら、その成果でお前が仕事で結果を出せよ。それなら行ってやるよ」
いま思い返してみても、本当にひどい言葉です。それでも彼は怒らず、悲しそうな顔もしませんでした。ただ静かに「それでも、白石さんにはこの講座に行ってほしいんです」と言い続けてくれました。
ある日、彼はこう言いました。
「白石さんは、この会社で腐っているような人間じゃない。もっとふさわしい場所がある。それを確認しに行ってください」
その言葉は、私の胸に深く刺さりました。自分でも薄々わかっていたからです。自分は、いまの仕事を辞めて新しい挑戦をしたがっていると。
でも、いろいろなリスクが怖くて、自分の気持ちが見えない振りをしていました。そんな私の本音を、彼は静かに代弁してくれたのです。
おかげで、私はやっと動き出すことができました。後輩が勧めてくれた講座に参加し、結果としてそこからは短い時間で、講座で学んだ内容を活かして起業をすることになったのです。
彼がもし私のことを諦めていたら、いまの私は存在しません。この本も、この仕事も、いまの人生も、すべて彼がいなければ始まっていませんでした。これが「信頼ストック」の力です。彼は私に、チャンスを提供し続けてくれました。
相手のことを否定せずに聞き、どんなときでも味方であり続けてくれました。見返りなど何も求めず、ただ私の可能性を信じてくれたのです。
だからこそいま、私は彼のためならなんでもしたいと思っています。
実際に彼の「あり方」はいまでも私の手本です。誰かが迷っているとき、諦めずに寄り添い続ける。その姿勢を、私は彼から学びました。
彼はいま、保険代理店の代表として独立しています。だから私は、彼から保険を買いまくっています。少しでも恩返しがしたいからです。
でも正直、一生かかっても返し切れない恩だと思っています。そして今度は、私が誰かにとってのそんな存在になりたいと思っています。
直接的な支援よりも間接的な支援が有効
一般的な話に戻しましょう。「助けてもらう」とは、具体的にはどういうことでしょうか?
大きく分けて2つの型があります。ひとつ目は「直接的な支援」です。何かを始めるときに、一緒に手を動かしてくれる。資料づくりを手伝ってくれる。急ぎの仕事を一部肩代わりしてくれる。あるいは、困ったときに現場に駆けつけてくれる。そういった、目に見える形で助けてくれる支援です。
2つ目は「間接的な支援」です。あなたの知らない情報を教えてくれる。必要な人との橋渡しをしてくれる。あなたの知らないところでよい噂を流してくれる。チャンスが来たとき、あなたの名を出してくれる。このように、目に見えない形で助けてくれる支援もあります。
この2つのうち、後者の“間接的支援”のほうが人の人生には大きく影響します。なぜなら、人生を変えるのはいつだって、「自分だけでは辿りつけないはずの場所へとつないでくれる人」だからです。
あなたがどれだけ優秀でも、知らない情報は手に入りません。あなたがどれだけ努力しても、出会えない人には出会えません。
でも「信頼ストック」があれば、誰かがその扉を開けてくれます。
その信頼ストックは、あなたが普段から習慣として行ってきた「与える行為」の積み重ねなのです。小さな「ありがとう」や「嬉しい」といったポジティブな感情の集合が、あなたに対する「信頼」へと変化したものです。
ただし、信頼ストックとは、見返りを得るために親切を貯金することではありません。「いつか返してもらおう」と思った瞬間、与える行為は取引に変わります。結果として返ってくることはあっても、それを目的にしないことが大切です。
こうした信頼は、数字にすることはできませんし、資格で明示することもできません。しかしながら、その影響力は絶大です。まさに非認知能力です。
たとえば同じスキルを持っている人が2人いたとしたら、誰もが「信頼できるほう」と仕事をしたいと思います。信頼ストックがある人は、こう言われるでしょう。
「あの人なら大丈夫」
「この案件、あなたにお願いしたい」
「一応、〇〇さんにも声をかけておこうと思って」
これらはすべて、あなたがこれまで人に“与えてきた証”です。
結果として、「信頼ストック」はあなたの実力や成果を超えて作用します。人は、“好かれる人”にはお礼としてチャンスを渡したくなるものだからです。
自分の力だけで成功することは不可能
与える行為の積み重ねが、時間をかけて大きな信頼ストックになり、ある日突然、こうしたことが起こります。
・思いもよらない仕事の声がかかる・自分よりかなり格上の人を紹介される
・努力以上の成果が出る
・応援者が増えていく
これらはすべて、信頼ストックが引き起こす“跳ね返り現象”です。どんなに個人的な能力が優れていたとしても、誰にも支援されず、自分の力だけで成功することは不可能です。
また、ピンチのときには助けてくれる人がいる、とわかっているだけでも安心して挑戦できます。つまり、信頼ストックはあなたの人生に安定感をもたらしてくれます。
「助けてもらう力」は人生最強の能力です。だからこそ、与える行為を消耗とか損などと考えるべきではありません。自分や他者に与える習慣こそが、未来のあなたを助けてくれる“投資”になるでしょう。
これだけ
与える行為を続けていると、相手が受け取ったポジティブな感情がいつしか信頼に変わり、積み重なっていく。その信頼ストックが、いつかあなたの人生を好転させるチャンスやきっかけを持ってくる。
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