キャリアの選択基準に悩む女性へ。「自分の人生という映画をより面白く」する村田あつみ氏の思考
出張撮影サービス「Lovegraph」を率いてきた村田あつみ氏には、大きな決断を重ねるたびに立ち返ってきた、自分なりの判断基準がある。そんな村田氏の経営者としての価値観に大きな影響を与えたのが、ベンチャーキャピタル「STRIVE」で活動する投資家、根岸なつみ氏との出会いだった。全4回の第3回。
みんかぶマガジン連載「バリキャリ女性社長のワークライフ・ルール」
キャリアか家庭かで足踏みする女性へ。展開の面白さを軸にする生き方
リクルートを退職するかどうかで揺れていた頃、村田氏の判断基準は「今しかできないのはどちらか」だった。その基準は、その後の経験を重ねる中でさらに言語化が進み、「どちらの選択が自分の人生という映画をより面白くするか」という考え方へと発展していったという。
「自分がデザイナーであり、クリエイターであり、監督のような目線で仕事することが多いからだと思うんですが、自分の人生を1本の映画として見た時に、平凡なものにはしたくないんです。文系だったのにデザイナーになって、大企業に入ったのにすぐ辞めて。そういう展開の面白さを、いつも判断の軸にしている気がします」
安定よりも「面白い展開」を選ぶというこの基準は、キャリアの岐路に立つたびに村田氏の背中を押してきた。今、キャリアか家庭かで足踏みしている人にとっても、損得ではなく「どちらが自分の人生を面白くするか」で選ぶという視点は、一つのヒントになるかもしれない。
わずか1年で売上300%。伴走してくれた一人の投資家
「ラブグラフ時代にリード投資家として入ってくださった、STRIVEというベンチャーキャピタルの根岸奈津美さんという方がいらっしゃるんです。私にとって初めての女性の上司のような存在です。すごくパワフルで、すごく賢くて、仕事を前に進める力もある方でした」
出会った当時、村田氏たちラブグラフの創業メンバーはまだ20代前半〜半ば。「家族」を事業の軸に据えながらも、当の自分たちには家族を持つ実感すらない状態で、手探りでサービスを広げていた時期だった。
「根岸さんは、自分のキャリアのことよりも、ラブグラフがどう成長するかということを考えてくれる方でした。まだ自分は結婚もしておらず家族のことは何にも分からなかったんですけど、根岸さんが家族向けの市場調査なども含めてすごく牽引してくれて。根岸さんが伴走してくれた1年間で、売上が300%になったんです」
単なる資金調達にとどまらない伴走だった。ラブグラフは、全国に登録したカメラマンが依頼者のもとへ出向き、記念写真を撮影する出張撮影サービスとして事業を伸ばしてきた。そしてこの時期に、利用者数もカメラマンの登録数も短期間で大きく伸びたのだ。その急成長ぶりを村田氏は「あんなことが本当に起きるんだ」と、今でも鮮明に覚えているという。