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竹中平蔵「安倍元総理の逝去で、日本経済はこれから大変なことになる」

選挙を妨害するテロリズムはあってはならない

安倍晋三元総理のご冥福をお祈りします。

私のもとに海外からたくさんの弔問のメールが届いています。世界的にみて大きな存在であったことを示していますね。「どうしてこんなことが日本で起きたのか」。そんなことを海外の要人たちから質問されますが、私も同じことを思っています。

安倍元総理がいなくなり、これから日本経済には大変なことが起きると思っています。

まず、今回の事件についてです。私は強い憤りを感じております。

いうまでもなく、街頭での演説等々は政治家が直接国民と深く語り合える数少ない機会でです。選挙のときに街頭にたつのは民主主義の基礎です。なぜなら選挙こそが民主主義の基礎だからです。それを拳銃で妨害することはあってはならない。これは政治家を委縮させるような行為であり、選挙を脅かすことにもなってしまっている。そして国民に大きなショックを与えました。許されない行為です。

気さくだった安倍元総理。マクロ経済にも精通していた

私と安倍元総理といろいろな政策の議論をしだしたのは今から四半世紀も前の話です。1998年、日本は金融危機に見舞われていました。その時の国会は金融国会と呼ばれていましたが、その際、安倍元総理は「政策新人類」として名前をあげられました。不良債権をどう処理するか安倍元総理といろいろと議論しましたことを今でも思い出します。

その3年後、小泉内閣ができました。小泉内閣で私は経済財政政策担当大臣を拝命いたしましたが、安倍元総理は官房副長官として、総理の側近として、大変重要な役割を担いました。実は小泉内閣の時、5年5カ月毎週日曜の午後9時に集まって作戦会議を開いていました。その時の中心メンバーが安倍元総理(当時官房副長官)でした。小泉内閣が終わった時、この5年5カ月記者に見つからずに会議を開けたのは奇跡だったと笑い合ったのを思い出します。安倍元総理は本当に気さくで愉快な方でした。その気さくさは外交でも、中国・習近平氏と米国・トランプ氏が険悪なムードの時「まぁまぁ」と仲介に入るなど、大いに生かされていました。

さて、小泉内閣ではタクシーの規制緩和を行いました。その時批判する声も出ました。「緩和の結果として運転士の給料が上がらなくなった」という批判でした。その当時、安倍元総理(当時官房副長官)はある日、タクシーに乗られたそうです。すると、タクシーの運転手に「お、安倍ちゃんかい」と声をかけられた、とのこと。「規制緩和して台数が増えたので、実は自分の子供も運転手になることができた」と話されたそうです。つまり家計全体の収入が増えたと。たしかに運転手として給料は上がらなくなりましたが、参入障壁を壊した規制緩和によって全体のパイを増やすことができたのですね。

安倍元総理といえば、安全保障や憲法改正のイメージが強いですが、マクロ経済についても大変深い見識を持っていたのです。

安倍元総理と、財界のトップらと、私も交えてプライベートで食事することもありました。当時の総理だった安倍さんは、デフレを克服するまでは消費税を引き上げたくないという強い思いがありましたが、その時財界トップが3人がみなさん口をそろえて「財政再建のために増税しろ」「消費税を引き上げろ」と言いました。その時私だけが反対しました。そもそも経済人が「増税しろ」というのは驚きでした。むしろ「減税しろ」というのが普通なのではないかと思っていました。私はデフレが続いている間は増税のような措置はとるべきではないと主張しました。そのことを聞きながら、安倍さんは「自分もそう思う、頑張ってできるだけ増税をさけてデフレを克服しなくてはいけないんだ」とおっしゃっていた。安倍元総理はとても国民の生活のことを気にされているのだと思いました。

日本には、安倍元総理のように、保守派で改革できる人が必要だ

安倍元総理というのは実は自民党の中で保守の改革派の筆頭であったと思っています。日本において強く求められるのは、保守だけれども改革できる人です。大事なものを守らなければいけない、しかし守りぬくためには変えなくてはいけない。その保守改革派のシンボルが安倍元総理だったのです。

そのシンボルがいなくなるということは、日本の経済に大きな影響を与えることになります。

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