五洋建設、北海電工、協立電機…日経平均最高値更新で著名投資家が注目する「熱い銘柄」公開

本稿で紹介している個別銘柄:北海電工(1832)、L is B(145A)、五洋建設(1893)、AREホールディングス(5857)、協立電機(6874)
「業績は絶好調なのに、なぜ株価が上がらないのか」——いま日本のIT・SIer銘柄の多くが、そんな罠にはまっています。
今回、話を伺うのは、困難な相場での投資思考法を説いた新刊『理論株価×生成AI投資入門』を出版した長期投資家・はっしゃんさん。
銀行株が20年低迷したように、IT株も長期停滞のリスクがあるとはっしゃんさんは警鐘を鳴らします。いま本当に仕込むべき銘柄はどこか。はっしゃんさんの注目銘柄を伺いました。
みんかぶプレミアム特集「物価高?景気悪化?それでも勝ち残る投資術」第1回。
目次
野村総研もバリュートラップ注意報
ーーいまの相場で将来AIで成功する企業を探すには、AI分野に精通した方でないと干し草の山から針を探すような作業に感じます。
おっしゃる通りで、実はAIの中でも議事録の自動作成を手がけていたオルツという会社で循環取引による粉飾決算事件が発覚し、あっという間に破綻するという不祥事もありました。

一口にAI関連といっても、AI業界は、激しい競争状態にあり、規模が大きく、要素技術やインフラ設備(データセンター等)で先行する米国テック大手が圧倒的な優位にあります。「Saasの死」というのは、まさにこれを表した言葉です。
さすがに、粉飾決算は例外になるでしょうが、AI関連というだけで、すべて信用できるものではないからこそ、理論株価が右肩上がりになっているかなど、ファンダメンタルズ的に地に足がついているかが重要です。ただ、いまはそういう一見、右肩上がりの好業績銘柄でさえ株価が下がっています。「Saasの死」に該当するのは、AIに逆風と見なされている銘柄群です。
逆風銘柄群の行方、これは専門家でも分かりませんし、私が取材したIT会社の社長たちも「なぜこんなに良い会社なのに評価されないのか」と言っています。そして、その社長たちでさえ、AIによるパラダイムシフトがどこまで行くかは理解しきれておらず、社長としてのポジショントークもあるので、そのまま乗せられて買うとバリュートラップにかかります。
いま私の理論株価チャートを見ていただくと、IT銘柄の多数に「バリュートラップ注意報」がついているはずです。それが評価されていない印になっているので、注意が必要です。
たとえばSI大手でいえば、野村総研やオービック、サービス系大手ではリクルートHDなどを見るとよく分かります。

この半円チャートは、理論株価の内訳を表したものですが、野村総研の株価が理論株価をこれだけ下回るのは、この10年で初めてのことです。一瞬だけ下回ったのが、コロナショックの時ですが、現在の状況は、相対的には、あのコロナショックの悲観の底よりも、AI革命の方がIT株にとっては逆風が強いと言えるでしょう。



日本のSIer大手やITサービス大手で業績は絶好調、理論株価もぐっと上がっている企業であっても、多くの銘柄は、株価は冴えず、バリュートラップ注意報が出ています。
バリュートラップとは、割安だと思って買っても、ずっと割安のまま放置されたり、今後も評価されなかったりする株価が本来あるべき企業価値まで評価されない傾向にある割安株のことです。安全に行くなら、バリュートラップ注意報が消えるまでは、割安になったといっても、買わない方が良いでしょう。
ただし、もしも、AIが逆風でなかったとしたら、これは天与の買いチャンスになります。米国テック大手では、人からAIに業務を移管することで、人件費を削減し、さらなる高収益化への流れが始まっています。同じことは、いずれ日本でも起こるでしょう。これから高収益化して、理論株価が何倍にもなるIT企業が理論株価よりも割安で放置されていると考えると、投資家としては腕の見せ所ではないでしょうか。
実は、少し前までの銀行株がまさにそうでした。10年ぐらいはバリュートラップ注意報がついていた印象です。全く物色圏外に放置されていた地銀株(チャートは横浜FGとひろぎんHD)なども、ゼロ金利解除をきっかけにようやく上がり始めました。逆に、これからIT株が銀行株のように長年低迷する可能性も否定はできません。それぐらいAI革命のインパクトは強く、逆風銘柄は上値が重いのです。


私が四季報に付箋を貼っていく投資法では、新高値を更新している銘柄を拾うので、こうした銘柄は最初から候補に入りません。逆張り派の方は、注意が必要な領域ですね。