「あなたの体は6000万円の優良債券です」資産3億円の投資家がFIRE後も“あえて働き続ける”意外すぎる理由
「FIRE達成=労働からの完全な解放」そんな夢物語を信じて安易に仕事を辞めた投資家たちが、次々と想定外の資金ショートに追い込まれている。
長年の目標額に到達し、晴れて自由を手に入れたはずの彼らが、なぜわずか数年で相場から退場してしまうのか。
米国株投資スクールFFCの代表講師であり、YouTubeチャンネル「ライオンじゅんの米国株FIREが最強」でも発信を続ける“ライオンじゅんさん”こと、金盛潤一氏は「完全に労働収入をゼロにするのは、金融戦略として非常に危険な行為です」と警鐘を鳴らす。
自身も32歳でダブルFIREを達成し、現在3億円規模の資産を運用する金盛氏。
今回はそんな彼に、引退後に資産が底をついて地獄を見る人と、達成後も順調に資産を増やし続ける人。両者を分ける決定的な「お金の使い方」と「相場下落時の防衛策」について伺った。インタビュー連載全2回の最終回。
目次
「週40時間のヒマ」が生活費を爆発させる
ーー目標額を達成して完全に仕事を辞めた後、想定外の資金ショートに陥る最大の原因は何でしょうか。
一番の失敗要因は「時間が余って暇になりすぎる」問題です。毎日満員電車に揺られている会社員時代は、「一生家でダラダラ過ごしたい」と誰もが妄想します。
しかし、いざ完全に無職になってみると、週7日間ずっとインドアで過ごすのは精神的にかなりきついものです。
よほどゲームや映画鑑賞に没頭できる特殊な方でない限り、普通の人間は社会とのつながりを求めて必ず外に出たくなります。
結果として、アウトドアやアクティビティに向かい、想定していた以上に生活費が跳ね上がってしまうケースが後を絶ちません。
平日の昼間から暇を持て余してカフェを巡り、ランチに出かけ、趣味のコミュニティに参加する。毎日が休日のような生活を送れば、当然ながら毎日「休日価格」の出費が続きます。
これを数字で客観的に考えてみましょう。
仕事がなくなり「週40時間の空白」が生まれたことで、暇つぶしのために1日3000円の余計な出費が増えたとします。月に直せば約9万円、年間で108万円の支出増です。
有名なFIREの指標である「4%ルール」に当てはめた場合、年間108万円の支出を不労所得だけで安全に賄うには、追加で「3000万円」ほどの元本が必要になります。
完全に労働を辞めて時間が余ることは、それだけで数千万円規模の資産を食いつぶす強烈なリスクがあるのです。
「収益順序のリスク」を知らない人は破滅する
ーー達成後、すぐに配当などのインカムゲインで生活し始めるのは危険なのでしょうか。
はい。FIRE後も資産が右肩上がりで増え続ける方は、達成直後に資産収入だけで生活しようとはしません。
いちばん強いのは、目標達成後もゆるく働き続け、最初の5年から10年は「資産(元本)に一切手をつけない」とマイルールを決めている方です。
これには明確な金融理論の裏付けがあります。投資の世界で最も恐れられている「収益順序のリスク(Sequence of Returns Risk)」です。
株式市場の長期的な平均リターンが年利5〜7%だとしても、それは毎年一定の利益が出るわけではありません。
もしFIREを達成して完全に仕事を辞めた直後の数年間で、リーマンショックやコロナショックのような大暴落が起きたらどうなるか。
株価が20%、30%と目減りしている最中に、日々の生活費のために元本を取り崩してしまうと、資産のベースが致命的に縮小します。
その後に相場が回復しても、取り崩した元本は二度と戻らないため、複利の力は働きません。FIRE初期の暴落と取り崩しが重なることは、資産寿命を急激に縮める最悪のパターンなのです。
一方、生活費を労働収入でカバーし、ポートフォリオを数年間放置できれば、この収益順序のリスクを完全に回避できます。1億円の資産は相場の成長に乗って1億5000万円、2億円へと爆発的に拡大していくでしょう。