【IRインタビュー】26年2月期1Qの当期純利益は、前年同期比で248%の大幅増益!絶好調の訳とは?

バリュークリエーション株式会社(9238)は、顧客のマーケティング課題を解決するマーケティングDX事業と「解体の窓口」を中心とした不動産DX事業を展開している企業である。
26年2月期1Q決算は、各段階利益が期初計画対比で極めて堅調な推移となっており、当期純利益に至っては、進捗率50%となるロケットスタートとなった。好業績の背景と今後の成長戦略について、新谷晃人社長にお話を伺った。


目次
26年2月期1Q決算は、各段階利益が期初計画の上振れを期待させる水準となり、極めて好調な推移となりましたが、好調の要因について教えてください。
弊社は、マーケティングDX事業と「解体の窓口」を中心とした不動産DX事業を提供しています。マーケティングDX事業では、高水準の継続率(約97%)を維持しつつ、社数を伸ばせたことに加えて、2件の事業買収に伴う効果及びそのPMIが順調に進捗していることが主な要因です。
創業来、17年間取り組んできたマーケティング施策に関するナレッジと、Webのコンサルから、クリエイティブやLPの制作に至る各工程を一気通貫で提供可能な点に強みがあります。10年以上お付き合いのある取引先もあり、確実に成果を出すことで、顧客の信頼を勝ち取り、売上高を伸ばし続けています。
マーケティングDX事業は、人材の確保が肝になりますが、弊社の場合、風通しがよく、コミュニケーションが取りやすい組織を築けている点も強みであると思います。比較的若い従業員が多く、女性の比率も6割程度となっています。男女問わず育休を取得した社員全員が職場復帰を果たすなど、子供を最優先に考える子育て世代が戻ってきたいと思ってもらえる組織を作れています。
不動産DX事業は、空き家問題に端を発した解体需要が旺盛であることに加えて、「一般建設業」許可取得によって、弊社が一次請けの解体業者として法人案件獲得(BtoBtoBモデル)が可能となり、大手のコンビニエンスストア等の受注を獲得したことが主な要因です。
空き家問題に関する市場の関心度が高まっていることから、26年2月期1Qでのユーザー申込数は、51,109件(前年同期比83.5%増)となりました。潜在住宅を含む住宅の解体市場規模は、約9.2兆円であり、非住宅解体市場規模は約8,600億円となっていることから、今後も「解体の窓口」に対する問い合わせ件数は大きく増加していくことが予想されます。

また、昨年度より、BtoBtoBモデルの解体事業を開始しましたが、こちらも非常に好調に推移しています。コンビニエンスストアやドラッグストア等の法人需要に加えて、4月23日にリリースさせて頂いた千葉県松戸市の商業施設である「セブンタウン常磐平」のテナント内装解体工事受注のようなケースも今後増加することが見込まれます。
人手不足を契機に、解体費用の上昇が顕著となっており、各社コストの適正化を迫られています。また、解体業に新規参入する事業者も増加しており、工事品質の低下に伴う近隣住民からのクレームが発生しているケースも散見されます。弊社のプラットフォームを活用することで、解体費用を抑制しつつ、安かろう、悪かろうの業者ではなく、信頼できる解体業者に発注可能となるため、多数の法人から、多くの引き合いを頂いている状態です。
6月18日にリリースされた「お墓じまいの窓口」について教えてください。
従前よりお伝えしてきた通り、「解体の窓口」のみならず、様々なニーズに応えるプラットフォームサービスへと発展させるべく、「××の窓口」シリーズ第二弾として、「お墓じまいの窓口」をリリースさせて頂きました。墓じまい(会葬・永代供養・遺言整理など)に関する悩みや課題を解決するプラットフォームであり、自治体や寺院との調整、必要書類のナビゲーションなど、複雑かつセンシティブな終活プロセスをサポートするライフエンディング領域でのサービスとなっています。
「解体の窓口」を通じて、空き家解体を検討するユーザー様は、実家のお墓の整理など、ライフエンディングイベントの一環として、空き家解体を検討されるケースが多く、「お墓じまいの窓口」は、「解体の窓口」とのシナジーが大きい領域であると考えています。上述の通り、「解体の窓口」は、累計で5.1万件の申し込みを頂けるサービスへと成長していることから、解体のみならず、墓じまいに関連するサービスを提供することで、キャッシュポイントが広がると考えています。
今後も、解体希望顧客のニーズに真摯に向き合い、周辺領域へと事業を多角化していきたいと思っています。今回、ライフエンディング領域として、終活に関わるサービスを開始させて頂きましたが、さらなる飛躍に向けて、随時新たなサービスをリリースしていく見込みですので、今後もご期待頂ければと思っています。
暗号資産(ビットコイン)を法人で購入された理由や狙いについて教えてください。
3月12日にリリースさせた頂いた通り、余剰資金の一部を運用手段の一つとして、一時的にビットコイン等の暗号資産に投資させて頂いております。
なお、中長期的には、ビットコインを活用した決済手段の多様化にチャレンジしていきたいと考えています。弊社は、BtoB(マーケティングDX事業)、BtoC(不動産DX事業)両方の事業を有しており、顧客の業種や規模も千差万別です。顧客ポートフォリオを考慮すると、暗号資産を例に、新しい決済手段に対するニーズが生まれる可能性があることから、弊社も暗号資産の保有を通じて、ナレッジを蓄えていければと思っています。
すでに、大手金融機関がビットコインETFを申請しており、欧米を中心に、積極的に暗号資産を保有する上場企業も台頭しつつあります。価格変動が激しい点には十分注意を払い、事業成長に必要な成長資金の確保を最優先した上で、暗号資産を保有していければと思っています。
株主還元の方針について教えて下さい。
25歳で起業しましたが、経常利益で黒字化を継続させ、今日まで事業を拡大して参りました。マーケティング業界に対して、華やかな印象をお持ちの方も多いと思いますが、実際は、コツコツと地味な積み重ねを続けることが求められる事業です。
株主還元も同様に、着実に事業を伸ばした上で、コツコツと増配を続け、株主の皆様の期待に応えていきたいと思っています。今年度(26年2月期)は、7.0円の配当(配当性向12.4%)を予定しています。昨年度の配当は、6.5円でしたので、小幅ながら増配を実施する予定です。

なお、今後は、収益性が高い不動産DX事業が一段と拡大する見込みであり、「お墓じまいの窓口」を例にさらなるプラットフォーム化を進めていく方針です。成長投資を最大限実施し、売上高、利益の拡大を最優先した上で、株主の皆様にも着実に還元していきたいと考えています。
中期財務目標について教えてください。
売上高、売上総利益共に、2030年2期まで、20%成長を継続させる方針です。また、事業ミックスを改善させ、2030/2期には、収益性が高い不動産DX事業の売上総利益が占める割合を50%まで引き上げていきたいと思っています。収益性が高い不動産DX事業中心の企業へ転身することで、株価のバリュエーションも上昇させられればと思っています。
マーケティングDX事業は、収益性を維持しつつ、10%成長を堅持していく方針です。労働集約的な事業のため、売上高の規模が大きくなると、成長率を維持することが難しくなる事業ですが、M&Aを駆使しつつ、非連続的な成長も含めて、10%成長は十分達成可能な水準であると思っています。
なお、同事業は、安定成長のキャッシュカウという位置付けです。同事業から得られたキャッシュフローを不動産DX事業の成長投資に充てることで、両輪の成長が可能であると考えています。上述の通り、法人需要の獲得や、「××の窓口」シリーズ拡大によるプラットフォーム展開等、成長投資余地は大きく、さらなる飛躍に向けて様々な仕込みを進めている次第です。
最後に投資家へのメッセージ
まだまだ割安だと思っています。今後も、事業成長を通じたキャピタルゲインに加えて、着実な増配を通じて、投資家の皆様のご期待に応えていきたいと思っています。引き続き、皆様の応援を糧に、事業拡大を進めていきますので、今後ともどうぞ、宜しくお願い致します。