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「レジ袋有料化」「子ども保険で社保値上げ」「GX賦課金のベース提言」…小泉進次郎氏が国民の負担を強く求めてきた歴史

 自民党総裁選が幕を明け、小泉進次郎議員に注目が集まっている。しかし、国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「小泉進次郎が総理になっても増税路線が継続するだけ」と警鐘をならす。日本の国民負担率は45%。一体、小泉氏はこれまでどんなことをしていきたのか。小泉氏の「増税遍歴」を解説するーー。

目次

泉進次郎氏の増税実績は「レジ袋有料化」

 小泉進次郎氏の政治家としての経歴は、常に増税に向けた歩みであったと言っても過言ではない。

 皆が知っている小泉進次郎氏の増税実績は「レジ袋有料化」だ。元々レジ袋を有料・無料で配ろうが、それは民間事業者の勝手である。しかし、政府が有料化を義務付けた行為がレジ袋有料化だ。現在、このレジ袋有料化は塵も積もれば山となり、全ての国民に小売店で膨大な事務作業を強いている。

 しかし、レジ袋は廃プラスチック全体の約2%に過ぎず、レジ袋代わりにゴミ袋を購入するorエコバックのほうが環境負荷が高いなど、そもそもやっても意味がない行為だ。なんと小泉氏自体もメディア上でレジ袋有料化自体が効果が少ないことを認めており、その本来の趣旨が国民の意識改革である旨を述べている。まるで国民全員が買い物するたびに、小泉氏による「レジ袋は必要ですか?マスゲーム」をさせられているようだものだ。

 さらに、小泉進次郎氏はレジ袋の有料化を決めたのは、前任者の原田大臣であったと主張しているようだが、それは言い訳に過ぎない。小泉進次郎氏が環境大臣在任時、レジ袋有料化検討小委員会の審議は継続しており、小泉氏がレジ袋有料化を止めようと思えば何時でも議論が中断できる権限があった。前任大臣の仕事をそのまま受け継いだことを言い訳にするなら新任大臣など必要ない。そして、小泉氏がレジ袋有料化を黙認した上で、更にその宣伝PRにまい進したことは事実である。

 小泉氏による増税はレジ袋有料化だけではない。彼は環境大臣時代に日本経済に致命的な打撃を与えかねない大増税を推進した。そして、その増税は2023年5月岸田政権下で「GX推進法」に基づくGX賦課金(いわゆる炭素税)という形で結実している。

 小泉進次郎氏は総裁選討論会で「炭素税を仕込む」と主張していたが、後述の通り、小泉氏本人の努力によって炭素税は創設済だ。後任の西村環境大臣もGX賦課金は炭素税と明言(2022年11月大臣記者会見)しており、小泉氏が原稿を読むだけの腹話術人形だとしても、自分が推進して成立済した増税法案の内容くらい覚えていてほしい。

 GX賦課金とは、いわゆる炭素税の一形態であり、2028年度から、化石燃料の輸入事業者等に対して、輸入等する化石燃料に由来する二酸化炭素の量に応じて、化石燃料賦課金を徴収するものだ。10年で20兆円規模のGX経済移行債の返済原資となるものであり、年換算で消費税1%弱に相当する。当然だが、この大増税は当然に国民生活にエネルギーコストの上昇として転嫁されることになる。

GX賦課金のベースとなった小泉氏の提案

 小泉進次郎氏は2020年10月閣議後記者会見で、「カーボンニュートラル(排出実質ゼロ)に資する方向で制度設計を考えたい。これは環境省が主導していく」と明言した。翌年、2021年ダボス会議で、カーボンプライシング(≒炭素税)について再び言及し、経済産業省と連携しながら検討を進めるものとし、2月1日に中央環境審議会での議論を再開している。2021年3月の環境省での記者会見でも同検討に「炭素税」を加えるのか、という質問に「含まれる」と明確に回答している。

 そして、小泉氏が積極的に推進したカーボンプライシングの議論をベースとして、グリーンによる経済成長戦略(バラマキ補助金)と組み合わせる形で、そのバラマキの原資として決められた大増税がGX賦課金だ。まさに、このGX賦課金による大増税は小泉進次郎氏の労作と言えよう。その結果として、電気代は確実に上昇し、国民生活は更に厳しくなるだろう。

 小泉進次郎氏はレジ袋有料化やGX賦課金推進などの愚策を実行する以前から、増税に前向きな姿勢を示し続けてきた。2013年小泉進次郎氏は内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官に就任したが、同10月首相官邸で記者団に対して復興法人増税の前倒し廃止に反対する意見表明を行った。復興法人税は、2012年に開始され、2015年まで実施される予定の増税であった。復興法人税は消費税増税に伴って2014年に1年前倒し廃止されることになり、小泉発言はそれに反対するものだった。

社会保険料増額に繋がる政策提言

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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