「イラン侵攻でどれだけ株価が落ちても、1年以内に回復する」登録者40万人のFPが語る「有事に強い資産防衛」戦略

中東情勢の緊迫化を伝えるニュースが連日報じられ、「オイルショックの再来だ」「先行きが不透明だから、株は売却して現金化すべきでは」と不安を抱える投資家もいるかもしれない。
実際、日本は原油の最大95%を中東に依存しており、ガソリン代から始まり電気・ガス、日用品へと波及していくなどの警戒も高まっている。
だが、「中東の地政学ショックで一時的に株価が下がっても、半年〜1年以内には回復します」と冷静に語るのが、チャンネル登録者40万人超、YouTubeチャンネル「騙されない金融学」を運営するファイナンシャルプランナー鳥海翔氏だ。
なぜ国に大規模な備蓄があるのに、ガソリン価格は真っ先に上がるのか。原油価格はいまや100ドル超の水準に達し、市場は警戒局面に入っている。では、ここから本当に警戒すべき“株安シナリオ”とは何か。
今回は鳥海氏に、断片的なニュースや市場の恐怖に振り回されず、いかなる危機でもブレない“有事に強い資産防衛戦略”について話を伺った。インタビュー連載全2回の第1回。
目次
ガソリン価格が上がっても、日本人は困らない理由
ーー中東情勢の緊迫化をうけて、「オイルショックの再来だ」「早くガソリンを入れに行かないとモノがなくなる」と不安を煽るような声も耳にします。
結論から言うと、明日いきなりガソリンが物理的に消えるといった心配は不要です。
中東が荒れると聞くと、供給が止まる不安が先にくる人が多いですが、日本には国家備蓄があり、だいたい8カ月分(約254日分)は確保されているからです。
今回いちばん現実的に起きるのは、供給不足よりも先に“価格が動くこと”です。
ーーとはいえ、備蓄が8カ月分もあるのに、ニュースが出ると店頭のガソリン価格はすぐに上がりますよね。消費者からすると「在庫があるのに、足元を見た便乗値上げではないか」と感じてしまうのですが…。
そう見えてしまうのも無理はありません。ですが、石油会社も“いまタンクにある分をいくらで仕入れたか”だけで値段を決めているわけではないのです。
次に仕入れる原油が高くなる見込みなら、売値を上げないと次の仕入れで赤字になってしまいます。市場は常に将来の調達コストを先取りする形で動きます。
備蓄はあくまで非常時のためのものであり、日々の価格は次の仕入れコストで決まると分けて考える必要があるんです。
ーーガソリン価格が上がるのは直感的にわかりますが、「日本は中東から遠いし、自分の生活全体にはそこまで影響しないだろう」と楽観視する意見もあります。
それは少し危険な見方かもしれません。
今回の最重要キーワードである「ホルムズ海峡」は、世界の石油消費の約20%が通る、いわば大動脈です。
そして日本の石油の中東依存度は最大95%に達します。ここが緊張するだけで、日本は世界でもトップクラスに生活コストへの影響が出やすい国なのです。
原油そのものの値段だけでなく、運ぶコストまで含めたエネルギーコスト全体が上がることで、生活への影響は確実に広がっていきます。
インフレはすでに始まっており、時間差でさらに広がっていく
ーーなるほど。では、具体的にどのような順番で私たちの生活に負担が広がっていくのでしょうか。「いずれ落ち着く」と待っていればよいのでしょうか。
エネルギー価格の上昇によるインフレは、すでに始まっています。ただ、その影響は一気に出るのではなく、時間差で生活全体へ広がっていきます。
最初に反応しやすいのが「ガソリン」で、次に遅れて「電気代・ガス代」に波及し、最後に物流費や包装費が上乗せされる形で、「食品・日用品」がじわじわと値上がりしていきます。
2022年のロシア・ウクライナ侵攻時も、日本のガソリン価格は数カ月で約10%(約17円)上がりました。
当時は国の補助金があったため185円前後で済みましたが、実態としては200円近くまで見えていたはずです。
この時間差インフレの順番を覚えておけば、ニュースの断片的な情報に振り回されにくくなります。