【夏期講習】「偏差値55」から難関校合格のためにすべきこと・してはならないこと

中学受験の天王山、夏がやってくる。学校がなく、まとまった時間が取れる夏休みは、苦手克服にも基礎固めにも絶好のチャンスーーそう期待する親も多いかもしれない。
しかし、個別指導塾Growy教務部長の濱野拓哉氏は警鐘を鳴らす。「あれもこれもと詰め込もうとする家庭ほど、どの学習も中途半端になって終わります」。
夏を制するために必要なのは「足し算」ではなく「引き算」だ。何を削り、何に集中するかーーその判断が、難関校合格への分岐点になる。全3回の第1回では、夏期講習が始まる前の心構えを掘り下げる。
目次
9月の志望校別クラスへ。夏期講習中に意識すること
大手塾では夏明けから志望校別対策講座がスタートします。「その講座に入れるかどうか」が、親御さんにとって夏最大の関心事になっているご家庭は多いのではないでしょうか。
結論から言えば、9月時点で志望校別対策講座に入れていないということは、その学校に求められている力がまだ足りていないーーそれが客観的な事実です。志望校別対策講座に入れる子というのは、その学校への合格の可能性をある程度秘めている子。そういう意味で、夏の終わりにそこへ入れるかどうかは、一つの重要な目安になります。
ただ、「講座に入ること」を目標にすること自体が、落とし穴になりうります。基礎が不安定なまま無理に入室を目指すと、過去問演習を重ねても点数が伸びないどころか、第2志望・第3志望の合格さえ危うくなることがあります。地盤がグラグラのまま上に積み上げても、崩れるだけです。
志望校別対策講座に入るために必要なのは、夏期講習終了まで(8月末まで)基礎をしっかりと固めることです。難しい問題に手を出すより、今の自分の実力に見合った単元を確実に仕上げていく。その積み重ねが、9月以降の対策講座で力を発揮できる土台になります。
夏期講習を逃すと取り返せない
夏期講習について、まず一つ誤解を解いておきます。
夏期講習は、基本的には新しい知識の導入はありません。どの塾も基本的に「復習」がメインです。6年生であればこれまでに習った単元を総ざらいしながら、秋以降の志望校対策につなげていくーーそれが夏期講習本来の位置づけです。
授業の中心は「問題演習と解説」です。問題を解き、解説を聞くことで理解を深め、知識を定着させていく場である以上、「この単元でそもそも何を意識すべきか」という基礎概念の説明は、ほとんど行われません。
基礎が身についている子にとっては、授業を通じて理解がさらに深まる有意義な時間になります。しかし基礎概念が身についていない状態で臨むと、授業を「聞いているだけ」で終わってしまいかねない。演習をこなしても、何も積み上がっていかないのです。
たとえば算数の「相似」を扱う授業があったとして、ピラミッド型・砂時計型・蝶々型という基本図形の種類や、面積比が相似比の二乗になるという知識がゼロの状態では、解説を聞いても消化できません。理解できないまま次の授業へ進み、気づけば夏期講習が終わっていたーーそんな家庭が毎年見られます。
だからこそ、夏期講習が始まる前に「全くわからない」状態の単元をなくしておくことが重要です。難しい応用問題が解ける必要はありません。たとえば「相似の基本図形の種類は知っている」「旅人算で最低限線分図を使って解くことができる」ーーその程度の下地があるだけで、授業での解説の吸収率は大きく変わります。基礎概念が頭に入った状態で演習に臨むことで、授業が「聞いているだけ」から「理解を深める時間」へと変わるのです。