早慶、学習院、成蹊・・・進学塾代表が教える! 知っておきたい「内部組」事情、避けた方がいい家庭
日本の受験界において、首都圏で独自に発達したエリートコースがある。大学付属校だ。
早稲田や慶應、MARCH(明治、青山、立教、中央、法政)には、系列の中学校や高校があり、一部は小学校も設置している。一度入学できれば大学まで、ほぼ無条件で進学が可能だ。
「付属校といえば、かつては大学受験を避けられることが、最大のメリットだと捉えられていました。ところがAIの登場で学力の捉え方そのものが変わりつつあるいま、一貫教育の魅力があらためて見直されています」
そう語るのは進学塾VAMOSの代表で、『AIに潰されない頭のいい子の育て方』などの著者である富永雄輔氏だ。
開成や桜蔭のような「東大進学者数を競う進学校」にはない独自の魅力があるという大学付属校。その強みについて聞いた。連載全3回の最終回。
一番入りやすいのは◯◯受験
小学校、中学校、高校のどこから入るのがいちばん入りやすいか。よく受ける質問です。
多くの教育関係者が口を揃えるのは「男子は高校受験」が有利ということ。首都圏では、学力の高い子の多くが中学受験で私立の中高一貫校に進みます。そうした子たちは高校受験を受けないので、高校受験の競争は中学受験に比べると緩やかになります。また、大学受験のように全国の受験生と争うわけではなく、競争相手は首都圏の中学生に限られます。
入試の形も、狙いを絞りやすくしています。付属高校の一般入試の多くは英語・数学・国語の3教科で、合否は当日の試験で決まり、内申点はほとんど影響しません。5教科の対策と中学3年間の成績の両方が求められる公立高校とは、準備の仕方がまったく異なります。
入試が特殊な分、対策をすれば有利に戦えます。ただし、その対策は簡単ではありません。
受験科目の中で注意すべきは英語です。公立中学の英語の授業を真面目に受けているだけでは、太刀打ちできない水準です。文法や単語であれば短期間である程度対策できますが、リスニングは耳が慣れている帰国生が有利です。
女子の場合は、事情がまったく異なります。
大学付属校の高校は、もともと男子校として設立されたものが多くを占めます。慶應義塾高校、慶應義塾志木高校、早稲田大学高等学院、立教池袋、立教新座、明治大学付属中野などがそれにあたります。高校から入れる付属校の選択肢は、いまも男子のほうが圧倒的に多いのです。
一方、女子が入れる付属校は数が限られます。立教女学院や香蘭女学校のように女子に人気のある学校は、中学からの一貫教育を基本としており、高校からの募集を行っていません。共学化した付属校も増えましたが、男女別に定員を設け、女子の枠を少なくしている学校が少なくありません。
高校から女子を受け入れる早慶の付属としては、慶應義塾女子、早稲田実業、早稲田大学本庄高等学院などがあります。ただ、いずれも募集人数は多くなく、限られた枠に成績上位の女子が集中します。慶應義塾女子の偏差値が首都圏の高校のなかでも最上位に位置しているのは、その表れです。
つまり、高校受験が有利だという話は男子にあてはまるもので、女子にとってはむしろ中学受験のほうが門戸は広いことになります。女子校系の付属校も共学の付属校も中学から生徒を募集しているので、選べる学校の数は比べものになりません。女子で付属校を考えるのであれば、中学受験から準備を始めるほうが現実的です。