いよいよ勝負の夏だ! 中受プロが教える夏期講習の前に知っておくべき「合格の最短ルート」

中学受験の天王山、夏がやってくる。学校がなく、まとまった時間が取れる夏休みは、苦手克服にも基礎固めにも絶好のチャンスーーそう期待する親も多いかもしれない。
しかし、個別指導塾Growy教務部長の濱野拓哉氏は警鐘を鳴らす。「あれもこれもと詰め込もうとする家庭ほど、どの学習も中途半端になって終わります」。
夏を制するために必要なのは「足し算」ではなく「引き算」だ。何を削り、何に集中するかーーその判断が、難関校合格への分岐点になる。夏期講習が始まる前の心構えとは。全3回の第2回。
目次
「削る」決断が成績を上げる。やるべき学習の見極め方
前回は夏期講習前の心構えと、学習対象を絞ることの重要性についてお伝えしました。今回は科目別の準備と、親御さんにできるサポートについて、具体的に掘り下げていきます。
夏前の準備で最初にすべきことは、学習対象を絞ることです。塾から配られた夏期講習のカリキュラム表を手元に用意し、扱う単元を一つひとつ「全くわからない」「なんとなくわかる」「解ける」の3段階で仕分けしてみましょう。
ここで注意してほしいのが、「なんとなくわかる」を「解ける」と混同しないことです。説明を読めば理解できるが、自力では手が動かないーーそういった単元は「全くわからない」に近い状態と考えてください。模試や小テストの答案を引っ張り出して、繰り返し間違えている単元を洗い出してみましょう。同じ単元で何度もつまずいているなら、理解が定着していないサインです。
削るべきは「今の自分の実力に見合っていないもの」です。難関校を目指す家庭ほど、焦りから新しい教材や学習を継ぎ足してしまいがちですが、1時間悩んで結局解けず解説を読んだーーそんな学習から得られるものはほとんどありません。基礎ができていない状態で発展問題に取り組んでも定着しない。まず自分の実力に合った問題を確実に解けるようにすることが、夏期講習での学びを本物にします。
親がすぐにでも引っ張り出すべき教材はこれだ
夏前の準備で、親御さんにぜひやっておいてほしいことが一つあります。子どもの模試や小テストの答案を、今すぐ引っ張り出してください。
小学生が自分の苦手を客観的に把握するのは、思いのほか難しいものです。「なんとなくわかる」と「全くわからない」の区別がつかず、実は理解できていない単元を「できる」と思い込んでいるケースは珍しくありません。また、苦手な単元ほど向き合いたくないもの。子ども任せにしていると、気づかないうちに目を背けていることもあります。
答案を広げてみると、繰り返し間違えている単元、同じところで何度もつまずいている問題が見えてきます。次に、夏期講習のカリキュラム表と照らし合わせて、講習中に扱う単元と苦手単元が重なっているかどうかを確認する。重なっている単元が、今すぐ手をつけるべき箇所です。
夏期講習でこの単元を学習するまでに最低限の土台を作っておかなければ、この日の授業は”ただ聞いているだけ”の授業になる可能性が非常に高いです。
ただし、バツがついた問題を解き直すだけでは不十分。たとえば社会で鎌倉時代の問題が8割バツになっていたとします。この場合、一問ずつ解き直しても得られるのはその問題の答えだけあり、2〜3日も経てばすっかり忘れてしまっている可能性が高いです。
本当に必要なのは、鎌倉時代という単元全体を15〜20分かけてテキストで読み込み、時代の流れを頭に入れ直すことです。点で知識を補うのではなく、全体像を把握し直す。バツを直すことと、単元を理解し直すことはまったく別の作業であり、この見極めが夏前の準備の肝になります。
こうした判断を親だけで正確に行うのは難しいのが正直なところです。受験のプロであれば、答案一枚を見るだけで「この子はここが根本的に抜けている」「この単元は夏期講習で扱うから今は触らなくていい」といった判断を瞬時に下せます。塾の先生やプロの家庭教師に一度相談し、夏前の学習範囲を確定させてもらうことも受験戦略として有効です。