影響力増す中国・・・ケニアやウガンダで10年以上現地取材の国際協力師が考えるフロンティア・アフリカと日本の関係
新興国への分散投資先として、アフリカの名が挙がるようになった。人口は増え続け、中間層も広がり、6%台の成長を続ける国も出てきている。
ただ、その数字が何に支えられ、どこまで行き渡っているのかを説明できる投資家は少ない。54の国は産業構造も制度も歴史も異なるにもかかわらず、日本では長く、アフリカという一語でまとめて語られてきた。
アフリカを私たちはどう分析したら良いのか、経済の発展やその阻害要因はどこにあるのか。投資家が知っておくべきアフリカ経済の実像を、東アフリカを中心に10年以上にわたり現地取材を続けてきた、フリーランス国際協力師の原貫太氏に聞いた。連載全3回の最終回。
中国の経済支援はメジャーリーグ級、地位低下の日本ODA
前回お話ししたように、この大陸は外から何度も形を変えられてきました。そして現在、その役割を最も大きく担っているのが中国です。
港湾、鉄道、道路、発電所、通信網。国の骨格にあたるインフラを、大陸のあちこちで同時に整備しています。「資源の権益を得るかわりにインフラを建てる」という関係性の構築が、その基本的な戦略です。
たとえばモンバサとナイロビを結ぶ鉄道の建設には、中国企業と中国資金が大きく関与しました。内陸国の輸出入がモンバサ港に集まっていることは前回申し上げましたが、そこから内陸へ延びる動線に中国が深く入り込んでいるということです。一方で、モンバサ港そのものや周辺の道路整備には、日本のODAも関わっています。
都市部の幹線道路にも中国の資金と技術が入っています。市場に並ぶ日用品の多くは中国製で、街を歩けばアジア系というだけでニーハオと声をかけられます。アジア人イコール中国人という認識が成立してしまうほど、日常に浸透しているということです。
現地で活動する日本人のあいだでは、中国は大リーグ、日本は草野球だ、という冗談が交わされます。関与の規模がそれほど違う。実際、日本企業のアフリカ進出は撤退に終わる例も少なくありません。
コバルトや銅の一大産地であるコンゴ民主共和国では、2000年代から、中国企業が鉱山開発の権益を得るかわりに道路や病院などのインフラを整備するという形の大型契約が結ばれてきました。近年は、欧米企業が保有していた鉱山の権益を中国企業が買い取る動きも進んでいます。
こうした流れに対して、欧米側も巻き返しに動き始めました。象徴的なのがロビト回廊と呼ばれる計画です。コンゴ民主共和国南部の鉱山地帯から、大西洋に面したアンゴラのロビト港までを鉄道でつなぎ直すもので、将来的には内陸国のザンビアまで延ばす構想が示されています。植民地時代に敷かれた路線を再整備し、大西洋側へ鉱物を運び出す動線を確保するという内容です。
背景にあるのは、コバルトや銅といった重要鉱物の供給を中国に依存しすぎているという危機感です。これらの鉱物は、電気自動車のバッテリーやスマートフォン、データセンターの設備に欠かせません。産地から港までの経路を誰が押さえるかが、そのまま産業競争力に直結します。
こうした資源需要を背景に港や鉄道が急速に整備され、沿線の人たちの生活や仕事なども急速に変化しつつあります。