「絶対デビューさせたいんすよ」――話題のドキュメンタリーで光る大倉忠義のプロデュース力…その一言で腑に落ちた、ファンがジュニアの“わちゃわちゃ”に惹かれる理由
150人を超えるジュニアたちが目指す「CDデビュー」。その可能性を誰よりも信じ、舞台裏から支えているのが、SUPER EIGHTの大倉忠義だ。トップアイドルとして20年以上第一線を走りながら、近年は『timelesz project』への参加や後輩のライブ演出など、“育てる側”でも存在感を強めている。
では、自身も決して順風満帆ではないアイドル人生を歩んできた大倉は、まだ何者でもないジュニアたちの何を見て、どうその才能を引き出しているのか。ドキュメンタリー番組『POTENTIAL 大倉忠義』から、長年アイドルシーンを見つめてきた明日菜子氏が、そのプロデュース力の秘密を紐解く――。
みんかぶプレミアム連載 「令和のアイドル ヒットの条件」
どん底も栄光も知る20年「酸いも甘いも味わった」大倉だからこそ寄り添えるデビューへの険しい道
「今なんか、その成長過程の子たちが、そこの時点で評価されるみたいな。いや、可能性をもっと信じてあげてよみたいなね、感じはありますよね」(『POTENTIAL 大倉忠義』1話)
「あいつらにはあんま言ってないんすけど、絶対デビューさせたいんすよ」(2話)
トップアイドルとして20年以上第一線を走り続けながら、後輩たちの育成にも奔走するSUPER EIGHT・大倉忠義の“プロデュース業”に迫ったドキュメンタリー番組『POTENTIAL 大倉忠義』(Netflix/Amazon Prime Video)が、とてもおもしろかった。関東・関西のジュニアが一堂に会した「ジュニア STAR to FESTIVAL 2026」をはじめ、3つのジュニア公演に密着しており、その舞台裏で大倉が後輩たちに託す言葉や想いを拾い上げていく構成になっている。そこに映っていたのは、“デビュー”を目指す150人を超えるジュニアたちと向き合い、彼らの可能性を誰よりも信じる大倉の姿だ。
まずは、アイドルとしての大倉について書いておこう。2024年2月にグループ名を改めたSUPER EIGHTは、いまやNEWSに次ぐSTARTO ENTERTAINMENTの年長組だ。同年にはデビュー20周年を迎え、アニバーサリーイヤーを締めくくる『超DOME TOUR 二十祭』では全8公演で計38万人を動員。いまなおドームを埋めるトップアイドルであると同時に、STARTO社における“関西”というひとつの系譜を確立させたパイオニアでもある。
グループ最年少の大倉は、未経験だったドラムを必死に習得して、グループへの加入を果たした。いまでこそセンターに立つことも多いが、同じグループには当時からすでに高い人気を誇っていた渋谷すばる、錦戸亮、横山裕らがおり、なかなか日の目を見ない悔しい時期も過ごしてきたのである。
やがてグループは、独自のコミカル路線を武器に『ズッコケ男道』や『無責任ヒーロー』などのヒットを重ね、一躍全国区へと駆け上がった。ところが、その後は人気メンバーの脱退が相次ぎ、長年親しまれたグループ名を改めるという大きな転機も経験するなど、その歩みは決して順風満帆ではない。デビューをつかむまでの険しい道のりも、グループとして成功する喜びも、その先で活動を続けていく難しさも、大倉は人一倍味わってきた。
タイプロの空気を一変させた愛ある喝「一人も入ってほしくない」に込められたtimeleszへのエール
そんな大倉の“プロデューサー”としての手腕が広く知られたきっかけは、Netflixで配信された『timelesz project』だ。“仲間探し”でありながら、timelesz自身が審査する側に立ったタイプロは、序盤こそ手探りの部分も多く、一般公募で集まった候補生たちも、ほかのオーディション番組と比べれば、エンジンがかかるまでにかなり時間を要した。
第三次審査の見学に訪れた大倉の「僕がtimeleszだったら、一人も入ってほしくない」という一言は、まさにタイプロの流れを変えるひとつの転換点だっただろう。事務所で長く歌い継がれてきたSMAPの「SHAKE」や嵐の「Monster」を披露した候補生だけでなく、timeleszの3人の意識をも一変させたのである。
トップアイドルと最年少7歳。圧倒的なキャリアの差を「言葉」で埋める手腕
では、『POTENTIAL』の話に移ろう。そもそも、STARTO社におけるジュニアグループの熾烈なデビュー競争は、King & Princeの時代から長らく続いてきた。先日デビューが発表されたKEY TO LIT然り、誰がいつその切符を手にするかは、本人たちでさえ想像がつかない。正直に言うと、いまのジュニアは、大倉の頃とは比べものにならないほど、活動の幅が広がった。単独で音楽番組やCMに出演し、アリーナツアーまで敢行するなど、もはやデビュー組との境界線がどこにあるのかわからない。それでも、彼らが一様に目指すものはただひとつ。「CDデビュー」なのだ。
大倉のプロデュースにおいて、まず特筆したいのが、伝わるまで“言葉を尽くす”姿勢だ。