佐賀の地、ふたたび。羽生結弦と私たち、その新しき絆の地…『REALIVE』アンコール公演決定に寄せて(2)
すべて、忘れてはならない
『Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd“RE_PRAY”TOUR 佐賀公演』
もう2年以上も前の話だが、忘れてることなど到底出来ない。
そうだ、能登地震からも2年半。思えば、あのときは羽生結弦自身にも理不尽で悪質な一部メディアによるバッシングがあった。
すべて、忘れてはならない。いや、忘れられるわけがない。
あの日の佐賀の団結を私は北欧神話の『SAGA』にある、ハーラル美髪王のもとに駆けつけたベルセルクのような私たち。オーディンの力を授けられた戦士のように、みなその身で、眼で、心で、佐賀に集結した。
世界中から、羽生結弦の元へ来た。
そして、私たちは勝った。佐賀もまた、私たちの約束の地――故郷となった。
その佐賀で『Yuzuru Hanyu“REALIVE”an ICE STORY project』のアンコール公演が11月28日、29日にSAGAアリーナで開かれる。
あの日の記憶――私はいまも忘れない。いや、忘れることなど誰ができよう。羽生結弦という存在が『RE_PRAY』によってさらに昇華したこと、その地の中に間違いなく、佐賀というこの国を変えた維新の原動力の地があったことは決して偶然ではない。
歴史が新しい命によって維がれていく
早稲田大学を卒業した羽生結弦からすれば、創立の父である大隈重信もまた佐賀の生まれであり、母校の故郷ともいえる。早稲田佐賀中学・高等の子たちもその大隈の志をこの維新の地で受け継いでいる。
羽生結弦もそうだ。羽生結弦のアイススケートは革新であることは何度も書いたが、この佐賀の地になぞらえれば維新と呼んでもいいかもしれない。
維新は「周雖旧邦其命維新」という中国の詩経にある言葉だが、紀元前1046年頃に生まれた周という国は秦に滅ぼされるまで、西周から東周にわたり約800年間も続いた。ちなみに『キングダム』という作品はこの東周から春秋戦国時代をベースに架空の物語として描いている。
訳すなら「周はとても旧い邦だが(雖)まだまだ其の新しい命によって維がれていく」といった意味である。ある意味、フィギュアスケート100年の歴史が羽生結弦という新しい命によって維がれていく、まさに維新だ。
佐賀ではその維新を成し遂げた大隈らを七賢人と呼ぶが、私はその中でも江藤新平が好きだ。江藤は西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允、大村益次郎、岩倉具視と共に維新十傑でもある。もはや佐賀という枠にとどまらない偉人である。
江藤は日本の三権分立を進め、裁判所を作り、法の下の平等と人身売買(遊郭などの江戸時代の債務奴隷制)の廃止という現代では当たり前の制度を整えたが、西郷隆盛や板垣退助と共に政府を辞して1874年に武装蜂起(佐賀戦争)、佐賀城を占拠するが大久保利通の軍に敗れて処刑された。のちに西郷隆盛が西南戦争を起こすことになる、3年前の出来事であった。