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株で勝てる人ほど「自分の予想」を信じない。著名トレーダーが、買う前に“売り時”を決めるワケ

窪田剛

 「株は買える。でも、いつ売ればいいのか分からない」ーー個人投資家にとって、買い時以上に難しいのが「売り時」だ。

 含み益が出れば「もう少し上がるかもしれない」と欲が出る。反対に含み損を抱えると、「いつか買値まで戻るはず」と売却を先延ばしにしてしまう。

 こうした行動は、本人の意志が弱いから起きるわけではない。行動ファイナンスの世界では、値上がりした株を早く売り、値下がりした株を長く持ち続ける傾向を「ディスポジション効果」と呼ぶ。

 米国の研究者テランス・オディーンが約1万口座の取引記録を調べた研究でも、投資家が損失より利益を確定したがる傾向が確認されている。

 では、感情に左右されずに売るには、どうすればよいのか。

 乱高下が続く相場の中、投資家・トレーダーの窪田剛氏に、利食いと損切りのルールを伺った。インタビュー連載全2回の第1回。

(2026年6月8日取材)

目次

なぜ投資家は「正しいタイミング」で売れないのか

ーー利益を残したい気持ちは同じなのに、なぜ多くの人が売る場面で失敗してしまうのでしょうか。

 人間は、利益が出ると早く確定したくなる一方、損失はできるだけ認めたくない生き物です。少し上がったところで売ってしまう「早売り」と、下がっても手放せない「塩漬け」は、正反対に見えて、根っこは同じなんですよね。

 だから、相場が動いてから自分の感情と相談しても、なかなかうまくいきません。大切なのは、売却をその場の判断に任せず、あらかじめルールにしておくことです。

ーー具体的には、どの段階で出口を決めるのでしょうか。

 私は株を買ったあとに、「いつ売ろうか」と考えることはほとんどありません。買う時点で、「ここまで下がったら損切りする」「こういう値動きになったら利益を確定する」と決めているからです。

 多くの人は、目の前の株価だけを見て一喜一憂します。ただ、買う理由は考えていても、売る条件までは決めていない。それでは、いざ株価が動いたときに欲や恐怖が入り込んでしまいます。

 出口を決めずに買うのは、目的地を決めずに車を走らせるようなものです。どこで降りるのかまで考えて、初めて一つのトレードになります。

天井を当てず、利益を伸ばす売却ルール

ーー予想通りに株価が上がった場合は、どこで利益を確定させますか。

 私は「トレイリングストップ」の考え方を使います。株価の上昇に合わせて、撤退する価格も少しずつ引き上げていく方法です。

 例えば、1000円で買った株が1200円まで上がったら、撤退ラインを1100円に上げる。さらに1500円まで上昇したら、今度は1400円を目安にする。

 こうしておけば、上昇が続く間は保有しながら、流れが変わったときには一定の利益を残して売却できます。

 米証券取引委員会(SEC)やFINRAも、トレイリングストップを、株価が有利な方向へ動くのに合わせてストップ価格を追随させる注文方法と説明しています。(取材者補足)

 ただし、設定した価格で必ず売れるわけではありません。相場が急落した場合には、注文が発動した価格と実際の約定価格がずれることもあります。

 便利な仕組みではあっても、万能ではないという前提は必要ですね。

ーー利益を早く確定しすぎる後悔も減らせそうですね。

 そうですね。利益確定そのものが悪いわけではありません。ただ、上昇の流れが続いているのに、「せっかく利益が出たから」という理由だけで全部売ってしまうのはもったいない。

 自分で天井を当てようとせず、値動きに合わせて撤退ラインを上げていく。そうすれば、欲張りすぎず、早く降りすぎることも防ぎやすくなります。

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この記事の著者
窪田剛

実業家、株式トレーダー。 1981年、長野県生まれ。 大学卒業後、専門商社のベンチャーに就職。経理・経営企画・IPO関連業務に携わり、東証マザーズへの上場を経験。その後、学生時代から取り組んでいた株式トレードを専業として独立する。オンライン株式スクールの「株の学校ドットコム」および「カブケーションズオンラインスクール」で講師を務める。 トレードを一から解説した著書『株の学校』シリーズ(高橋書店)は累計30万部を突破。eスポーツや宇宙事業、医療関連企業に出資するほか、福島県における雇用創出支援、アフリカ・ガーナのスタートアップへの出資など、エンジェル投資家でもある。

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