トリプル安が現実化する局面・・・短期売買強者が教える「資産を守り抜く」ポートフォリオ
乱高下が続く日経平均株価とS&P500。両者はどちらに向かうのか、どんなシナリオを立てれば戦えるのか、多くのトレーダーが血眼になって日々マーケットと向き合っていることでしょう。
23年のキャリアを持ち、短期売買の強者である村居孝美さんに、どのように戦うのか、語っていただきました。
みんかぶプレミアム特集「あなたはどうする? 円安・金利上昇局面の稼ぎ方」第4回。
ベテラントレーダーの「金利」の捉え方
ーー高市早苗内閣の政策と長期金利上昇の関係を、投資家目線でどう整理していますか。
高市政権の財政政策の積極姿勢と、日銀のインフレ警戒との衝突は、いわば「ねじれ」だと考えています。2040年度までに官民総額370兆円超を投じる投資ロードマップが打ち出され、食料品の消費税率を2年間限定で1%へ引き下げる方針が決まったことで、市場は「国債の増発が避けられない」と判断し、国債売り、つまり金利上昇が加速しました。かつて英国で歳入の裏付けがないまま大規模減税を強行しようとして市場のトリプル安を浴びた「トラス・ショック」の日本版ミニチュアとして警戒されている状況です。
ーーこれは「良い金利上昇」と見ているのか、それとも「悪い金利上昇」と見ているのか、どちらでしょうか。
これまでの私の経験からいま感じるのは、現在の長期金利上昇は「悪い金利上昇(財政インフレ型)」の側面が強まっており、非常に危険な兆候だと捉えています。
良い金利上昇では、企業が儲かり、設備投資のために資金需要が高まって金利が上がり、株価も一緒に上がっていきます。一方、悪い金利上昇は、国の借金増大や、コストプッシュ型の悪い物価上昇を抑えるために金利が上がるもので、株安と債券安を伴います。いまの日本は、後者のリスクを強くにじませているように感じています。
ーー円安と金利上昇が同時に進む今の状況は、過去のどの局面に似ていますか。
1990年前後のバブル崩壊直前期、トリプル安の局面に酷似しています。日銀の連続利上げと通貨防衛の失敗、市場のコントロール喪失という点が非常に似ています。ただし決定的な違いもあって、1990年当時は「行き過ぎた好景気を抑えるための金利上昇」だったのに対し、いまは「経済が脆弱なまま、構造変化に突き動かされている金利上昇」だということです。日本経済の基礎体力と、金利が上がる構造的な理由がまったく異なります。
長期金利はどこまで行く?
ーー長期金利は今年度中にどのあたりまでを想定していますか。
新発10年物国債利回りは2.6%〜3.2%のレンジをメインシナリオとして想定しています。下限の2.6%は、日銀の国債買い入れオペによる需給の下支えが機能する限界ラインです。
上限の3.2%は、10月の日銀会合・展望レポートで2027年に向けた追加利上げ方針が明確化し、さらに米国の金利がインフレ再燃で高止まりした場合に、一気に売り込まれ得る水準です。
そして、日本の株式市場のバリュエーションが理論的・構造的に維持できなくなる「株が壊れる絶対防衛ライン」は3.5%だと見ています。ここに達してしまうのは考えたくない域ですね。いまは、そこへ行くか行かないかの瀬戸際だと思います。
ーーきっかけになりそうなのは、やはり10月末の日銀会合ですか。
そうだと思っています。追加利上げとなれば、金利上昇を嫌気して株価が大きく調整する可能性があります。金利が上がりすぎたから株価が崩れるというねじれた構図です。
ただ、そこから先が読みにくいんです。これまでの経験則なら、株安で海外勢が日本株を手仕舞う円売りが出て円安に動くはずですが、今回はそうならない気もしています。株価が崩壊したら、円キャリー取引の巻き戻しが起こって、むしろ円高に振れるかもしれません。
結局は当局がどう対処するか次第で、この辺りは正直、読み切れない部分です。