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高市政権が中国と多少揉めたとしても、トランプ政権にとって大半のことは許容範囲内である理由…習近平、トランプはいま、高市政権をどう捉えているのか

(c) AdobeStock

 米国共和党事情について詳しく、第一次トランプ政権発足を言い当てた経験もある国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏が、高市政権が米中に対して取るべき外交戦略について説くーー。

 みんかぶプレミアム特集「高市首相の正念場」第6回。

目次

初会談ではトランプ米大統領に鮮烈な印象を残した高市首相

 トランプ・高市関係は日本の安全保障協力に関するステージを大幅に引き上げるものだ。

 2024年の総裁選挙後から共和党保守派・MAGA派の識者らから「高市はどのような人物か」という質問が相次いだ。高市総理は米国から関心が高い人物であったが、高市政権が発足後に新たに打ち出した政策は、米国から更に良い意味でも悪い意味でも注目されている。

 高市総理はトランプ大統領との初会談で鮮烈な印象を残した。その上で、同総理が安保三文書の見直しを打ち出したことは大きい。これは米国の国家防衛戦略と連動したものになることが想定される。

トランプにとっても、高市首相の台湾有事に関する発言は想定外だったはず

 しかし、直近では、台湾有事に関する軽率な発言を野党によって引き出されたことなどは、トランプ政権にとっては予想外の事態であったはずだ。高市総理の発言は既出の内容であったが、米中合意のタイミングでの出来事であり、トランプ大統領にとってはプランには無かったやや煙たい出来事だったことだろう。

 今後、日米関係の中長期展望について、どのような推移を辿るのであろうか。これは日本にとって死活的問題であり、本稿ではその見えてきたポイントを指摘していきたい。

米国は台湾に関しては「曖昧戦略」を取り続けてきている

 日米の安全保障上の利害は基本的に一致しており、中国のインド太平洋地域への軍事進出を阻止するという日米同盟の役割は不変である。

 ただし、台湾有事は依然として極めてセンシティブな問題であることは間違いない。

 米国は台湾に関しては「曖昧戦略」を取り続けてきている。米国において台湾政策に関する意見が割れているからだ。トランプ政権に極めて近いシンクタンクであるアメリカ第一主義研究所が昨年5月に発刊した安全保障に関する文書では「台湾の独立を守る」という文言が使われている。これはかなり踏み込んだ主張であり、その意向もあったから、今年2月には国務省HPから「台湾の独立を支持しない」という文言が削除された経緯がある。

 しかし、これは米国国内でも必ずしも十分にオーソライズされている認識ではない。実際には他の保守派シンクタンクの中には台湾防衛に対して懐疑的な主張を持つ人々も多い。たとえば、台湾に親中の国民党政権が誕生した場合どうするのか、そのための代替プランも必要なのではないか等の議論は尽きない。したがって、過激な発言で知られるトランプ大統領は、政権復帰後に台湾問題については「曖昧戦略」から外れた言動はしていない。

習近平はいま、高市首相と日米関係について何を考えているのか

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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