「円だけの保有だけではもう限界」‥歴史的な円安相場で分かった、FX投資の新しい形
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2022年の円安って、どれだけ凄いの?
連日ニュース等で報じられている通り、2022年の為替相場では、近年まれに見る急激な円安が進行しました。極端な円安進行による物価高が家計を圧迫していることもあり、その影響を実感している方も多いでしょう。さらに、自分の資産保護の観点から「(相対的に)価値が下がってしまった円を、このまま持ち続けて良いのか?」と不安に感じる方も増えたのではないでしょうか。そこでこの記事では、ドル円相場の過去の推移および未来の展望を整理しながら、これからの時代に適した資産形成方法を考えます。
2022年の歴史的円安とは、どれほどのスケールだったのでしょうか? それを明らかにする前に、まずは2022年より前の約20年間のドル円チャートを確認します。ドル円チャートは、ドルまたは円の価値が変動することにより、上がったり下がったりを繰り返すのが特徴です。その推移の中で、大きな値動きの方向性(トレンド)や、その転換点となる高値や安値が注目されます。
ドル円チャート月足(2000年1月~2021年12月)
チャートに示した3か所の高値・安値には、次のような背景がありました。
- 2002年2月 135円高値(米国の「強いドル」政策による円安でつけた高値)
- 2011年10月 75円安値(リーマンショック後の世界的な金融危機でつけた安値)
- 2015年6月 125円高値(アベノミクスによる円安でつけた高値)
2000年以降のドル円相場は、明確な上昇、下落の動きを見せていましたが、2017年以降のここ数年は値動きが落ち着き、横ばいともいえる推移に終始していました。そんな「凪相場」から、2022年にどんな大荒れになったのかがひと目で分かるのが次のチャートです。
ドル円チャート月足(2000年1月~2022年12月)
先に述べた125円、135円の高値を、一気に上回っていったのが分かります。2022年1月は1ドル約115円でスタートしました。そこから3月には約7円上昇、4月には約8円上昇、6月には約7円上昇、8月と9月にはともに約6円上昇と、怒涛の勢いで円安が進行したのです。凪相場だった2020年は年間で約11円の値動き、2021年は約13円の値動きでした(年間の高値と安値の差)。この数値と比較すると、今回の急上昇がいかにインパクトのある出来事であったかが分かるでしょう。
2022年に、外貨預金、FX、FX積立に投資していたら?
では、こんな歴史的相場で投資していたら、どれくらい資産が増えたのでしょうか? ここで示す例はあくまでも仮定の話ですが、外貨預金、FX、FX積立でどのようにお金が増えていくのかについてのイメージがつかめるでしょう。ちなみに、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットの運用利回り(年利)が約20%といわれています。つまり、元本が1年で1.2倍になるというのは、プロの世界でも凄いことなのです。これを理解した上で、次のケースを読み進めてみてください。
<外貨預金した場合>
日本円を外貨に換えて預金するケースです。2022年の1月、1ドル115円のときに115万円分のドル預金を開始した場合について考えてみましょう。10月の1ドル150円のときにそれを円に戻したら、150万円になります。10か月で35万円の利益であり、元本が約30%増えています。
<FXの場合>
証拠金を元手に、外貨の売買を通じて為替差益を狙うFXのケースです。証拠金100万円を口座に入金し、115円のドル円を5万通貨取引した場合について考えてみましょう。150円に上昇したところで決済すると、175万円(売買の差額35円×5万通貨)の利益になります。FXはレバレッジ取引ができるため、このように元本を175%も増やすような運用ができます。
ちなみに、この取引のリスク面をみると、約100円まで下落(下落幅15円)した場合に証拠金維持率が100%となり、ロスカット(強制的にポジションがクローズされる)が執行される可能性があります。
<FX積立の場合>
一般的なFX取引は、レバレッジを利用してリスクを負いながらハイリターンを狙うものですが、それとは一線を画する内容でコツコツと積み立てながらスワップポイントを狙う戦略もあります。ドル円が115円だった2022年1月から毎月10万円、レバレッジ3倍で積み立てた場合について考えてみましょう。10か月後の150円になったときには、買付合計金額1,00万円に対して、5万5584円のスワップポイント(預金の金利のようなもの)が得られます。これは年利約5%で、預金に比べると非常に大きな利回りです。
さらに、FX積立では保有ポジションの為替差益も期待できます。簡易的なシミュレーションの条件として、115円から毎月3.9円ずつ上昇して、10か月後に150.1円となった値動きを考えてみます。レバレッジ3倍で毎月10万円を積み立てると、最終的な為替差益は約40万円にもなります。スワップポイントと合計すれば100万円の投資額が145万円強となり、45%以上の利益を上げています。
定期的に定額を買い付ける方法(ドルコスト平均法)は、価格が高いときには少なく買い付けし、価格が安いときは多く買い付けすることで、ポジションの平均取得単価が引き下がります。これが為替の変動リスクを低減させるため長期投資と相性がよく、仮にドル円が下落しても為替差損が抑えられ、上昇すれば為替差益が得られます。とはいえ、FX積立でも証拠金維持率をコントロールしないと、ロスカットになってしまう可能性はあります。そうならないためには、口座に入金した証拠金のうち、一定の割合を買い付けに使わず残しておく必要があります。
※スワップポイントは、2022年12月22日時点の外為どっとコム「FX積立シミュレータ」により試算(本来は日々変動しますが、変動しないと仮定)。また、積立のシミュレーションは、毎月3.9円ずつ上昇し、10月には変動しなかった場合を想定。
2023年、ドル円相場はどう動くのか
2022年のドル円相場は大きく円安に動いた1年でしたが、2023年はどうなるのでしょうか? 相場予想の二大方法と呼ばれるファンダメンタルズとテクニカルの両面から、今後の見通しを探っていきます。
<ファンダメンタルズでのドル円相場の見通し>
注目されているテーマは、米国の「政策金利」と「景気後退」です。2022年は米国が政策金利を引き上げる一方、日本はマイナス金利を維持したことから、日米の金利差が拡大し、ドル高円安が大きく進みました。しかし、2022年後半には米国のインフレ抑制策が景気後退に繋がるとの懸念が高まり、2023年には「利上げがストップ」「利上げから利下げに転換」と予想する向きも少なくありません。そうした要因から、ドル安円高が進行するとの意見も多くなっています。このように、ファンダメンタルズの観点からすると、2022年とは打って変わり円高リスクが高まるシナリオも考えておく必要がありそうです。
<テクニカルでのドル円相場の見通し>
過去にドル円が大きく上昇した例として、アベノミクスへの期待から始まった円安トレンドがあります。上昇の起点を2011年10月の75円安値とすると、2015年6月の125円高値まで、約50円上昇したことになります。一方、今回の円安トレンドについて、上昇の起点を2021年1月の100円とすると、2022年10月の150円高値まで、こちらも約50円上昇したことになります。
アベノミクスと今回の円安トレンドの両方で、この50円上昇という動きが見られたのは、偶然ではなさそうです。なぜならば、多くのテクニカル分析では過去のトレンドの値幅を、今回の値動きの目標と考える場合が多いからです。
今回のケースでは、アベノミクスと同等の50円上昇を達成しました。その目標を達成したということは、今後は下落への転換や、方向感のない動きになる可能性が考えられます。実際に、ドル円は150円へ到達した後、10円以上もの大幅な下落を見せました。
では、この下落の動きを下降トレンドへの転換と想定した場合、今後どこまで下がっていくと考えられるでしょうか? 再びアベノミクスの例を見ると、ピークとなる125円高値をつけてから100円まで半値戻し(75円から125円までの半値)しています。今回も同様に半値戻しの水準が目標となるなら、125円(100円から150円までの半値)あたりが一つの目安となります。この125円は、2015年高値の水準と重なるところであり、多くの投資家に意識されていることも、下落の目標となる理由です。
ドル円チャート月足(2012年1月~2022年12月)
不透明な時代だからこそ分散投資が必要
2023年相場の見通しには、さまざまな意見があります。上で紹介したものは、あくまでも現時点の材料で考えられる可能性の一つです。これからもどんどん出てくる材料によって相場のテーマは入れ替わり、それによって円高にも円安にも振れる可能性があることを理解しておきましょう。
相場は、先行きが不透明なものです。だからこそ、一つの資産に集中するのではなく、分散して投資する考え方が重要です。例えば「資産を円とドル(などの外貨)に分散する」という考え方には優位性があります。円とドルの資産を両方バランス良く持てば、円の価値が低いときはドルの価値が高くなり、円の価値が高いときはドルの価値が低くなるので、資産全体の価値の目減りをヘッジ(相殺)できるわけです。
先に挙げた外貨預金、FX、FX積立は、いずれも外貨への分散投資が可能な商品ですが、その中でも特に投資初心者が取り組みやすいのはFX積立です。FX積立は、通常のFXよりもリスクを抑えつつ、外貨預金よりも多くの利益が得られるように設計されているからです。
FX積立の魅力としては、「少額から外貨を積み立てられる」「相場分析や取引の手間が省ける」「投資経験の差が出にくい」「貯蓄性が高い」「相場が上昇局面・下落局面のどちらで始めても問題ない」といった特徴が考えられます。外貨投資に対して高いハードルを感じている方でも、気軽に始められるでしょう。外為どっとコムのFX積立なら、通貨によっては約100円からスタートできるので、まずはお試し感覚で始めてみるのもよいでしょう。