ホストクラブ内勤でも20代で月収100万円。知られざるホスト界隈のお給料事情を暴露

 歌舞伎町などの歓楽街で、煌びやかなスポットライトを浴びるホストたち。しかし、その華やかなステージを裏側から支え、店舗の命運を握る「内勤(ないきん)」という職業を知る人は少ない。プレイヤー(ホスト)が「個」の力で売上を競うのに対し、内勤は教育、採用、経理、店舗運営のすべてを統括する、いわばクラブの「司令塔」だ。

 かつては自身も人気プレイヤーとして平均手取り月収80万円を稼ぎ出していたAさん(26歳)。彼はなぜ、現役を退き、地味で過酷とも言われる裏方の道へと進んだのか。本稿では、大学中退と親との絶縁、そして夜の世界での挫折と再起を経験したAさんに、ホストクラブ経営の深部と、知られざる「内勤の給与体系」について赤裸々に語っていただいた。全2回の第1回。

 みんかぶプレミアム連載「あなたの給与明細 見せてください」

目次

「大学を辞めるなら勘当だ」19歳、住む場所を求めて夜の世界へ

 僕がこの世界に入ったのは19歳の時です。もともとは理系の大学に通っていました。父が電気工事の会社を経営していて、いずれはそこを継ぐつもりで入学したんです。でも、いざ勉強を始めてみると、専門的な内容がどうしても面白いと思えなかった。結局、1年で「もう辞める」と親に告げました。

 当然、親は大反対です。「大学を辞めるなら勘当だ」と突きつけられましたが、若かった僕は「じゃあ、家を出ます」とそのまま飛び出してしまった。お金も家もない。そんな状況で「すぐに働けて、住む場所(寮)がある仕事」を探してたどり着いたのが、ホストクラブでした。

 最初はプレイヤーとして活動を始めました。3年半ほど現役を続け、月々の平均収入はだいたい80万円くらい。多い時はもっと稼いでいました。20代前半としてはかなりの高給ですが、どこかで「自分が売れるだけでは、この先、本当の意味で必要とされる人間にはなれないんじゃないか」という不安も感じていたんです。

 ちなみに父は、僕がホストをしていることを人づてに知っているようです。僕を捜し回っていた時期もあったと聞いています。でも、今さら帰るつもりはありません。父の会社を継ぐ道は捨てましたが、僕は僕の場所で、「人を動かし、店を経営する」という父と同じ苦しみと喜びを味わっています。

月収80万のプレイヤーから、手取り25万の「裏方」へ転身した理由

 プレイヤーを引退し、内勤に転向してから今で5年目になります。転向を決めた一番の理由は、「人を育てる面白さ」に気づいたからです。

 プレイヤー時代、研修や後輩の指導を任されることがあったのですが、僕が教えた子がどんどん売上を伸ばしていく姿を見るのが、自分の売上を上げるよりもずっと嬉しかった。当時の店には教育に特化できる人間がいなかったので、自分がマネジメントに回ることで、店全体を大きくできるんじゃないかと考えました。

 もう一つは、将来性です。プレイヤーとして売れ続けるのは体力も精神も削られます。でも、店舗運営や経営のノウハウを身につければ、30代、40代になってもこの業界で、あるいは他の業界でも「必要とされる人間」でいられる。目先の大きな金よりも、自分の「人間力」や「仕事のスキル」という資産を積み上げたいと思ったんです。

 内勤になって最初の方は、正直、給与面でのギャップはありました。現在、僕の固定給は月30万円ほどで、そこから諸々引かれて手元に残るのは25万円くらいです。プレイヤー時代に比べればガクッと下がります。しかし、内勤には内勤なりの「稼ぎ方」があるんです。

内勤マネージャーのリアルな収支。固定給+αで「月収80万円」を維持する仕組み

 「内勤は稼げない」と思われがちですが、僕の場合はプレイヤー時代の指名客が今も残ってくれているので、その売上の歩合がプラスアルファとして入ってきます。

 具体的には、自分の客の総売上の30%がバックされます。この歩合が月に50万〜60万円ほどになるので、固定給の25万円と合わせると、月の手取りはだいたい80万円前後に落ち着きます。自分の誕生月などのイベントがあれば、1人で100万〜150万円ほど使ってくれるお客様もいるので、その月はさらに跳ね上がりますね。

 もちろん、これは内勤としてはかなり特殊なケースかもしれません。通常、内勤は裏方に徹するため、自分自身の売上を持つことは少ないからです。でも、僕のように「運営もできて、売上も持っている」というポジションを築くことで、プレイヤー時代と同等か、それ以上の収入を維持しながら、経営のスキルを学ぶことができています。

 仕事内容は多岐にわたります。キャストの教育やスカウトといった採用業務、SNSでの集客戦略、店舗のデザイン関係、さらには経理や店の方針決定まで、店舗運営のすべてに携わっています。17時半に出勤して、営業終了後の深夜1時半すぎまで店に立ち、それ以外の時間もSNSで求人対応をする。拘束時間は長いですが、自分の判断が店の売上に直結するヒリヒリ感は、プレイヤー時代とはまた違った中毒性があります。

 ただ、この仕事には特有のリスクもあります。僕たちは会社員ではなく「業務委託」という形なので、社会保険や厚生年金はありません。税金の申告もすべて自分で行う必要があります。また、店は飲食業ですから、一生安泰という保証もどこにもありません。そうした不安定さと隣り合わせだからこそ、自分自身に「店を動かす力」がなければ、生き残っていけない世界なんです。

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