高市首相の“目詰まり説”に現場社長が異論「認識とのズレはかなり大きい」

中東情勢の悪化により、ナフサ由来資材の供給が困難になり、さまざまな業界が混乱状態にある。ただ、高市早苗首相は、資材不足の主要因として「目詰まり」を挙げており、その解消に向けて動いていると再三説明している。実際のところ、「目詰まり」の影響はどれほど大きいのだろうか。今回、主に鳶工事や鍛冶工事、基礎工事などを手がける、東京都大田区に本社を置く建設会社「株式会社野谷組」の代表取締役社長であり、SNS総フォロワー30万人を数える“野谷のオヤジ”こと野谷朋也氏に、政府の認識や求める政策について話を聞いた。(聞き手・望月悠木)
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「目詰まり」は本当か?
――高市首相は資材不足の主要因として「目詰まり」と考えています。実際のところ、「目詰まり」の影響が大きいのですか?
少なくとも現場感覚では、その認識とのズレはかなり大きいです。そもそも、大手ですら資材が不足しています。一応、大手はメーカーとの関係性が、中小零細企業よりも良好な傾向が高いため、ある程度は調達できています。
それでも「必要量を十分確保できている」という状況では決してありません。実際には、「優先的に回してもらって何とか現場を止めないようにしている」という状態に近いです。
大手がそういった状況であれば、規模の小さい企業はさらに厳しい。資材不足で、なおかつ大手に資材が優先的に流れるため、町場の工務店や小規模施工会社には、そもそも材料が回ってこないケースも増えています。現場では「発注はしているが納期未定」「次回入荷時期が分からない」という話も珍しくありません。
――高市首相は「改善に向かっている」といった前向きな発言をシーンも多いですが、現場の認識とは大きな差がありそうですね。
そうですね。また、今回の問題は「値段が上がっている」だけではなく、「高くても手に入らない」という点が深刻です。実際、塗料や防水材、接着剤などナフサ由来の資材では、メーカー側から出荷制限や受注制限がかかるケースも珍しくありません。現場としては、お金を出せば解決する段階ではなくなりつつあります。
一応、現場では“どこかで流通が止まっている感覚”は確かにあります。ただ、その原因も単純ではありません。中東情勢の悪化による原油・ナフサ関連の供給の不安定化に加え、メーカー側の生産調整、物流コストの高騰、将来的な不足を警戒した先行発注や在庫確保など、複数の要因が同時に重なっている印象です。
そのため、現場レベルでは「一時的な目詰まりだから、そのうち戻る」という楽観的な空気はあまりありません。むしろ、「今後さらに悪化するかもしれない」という警戒感のほうが強く、「改善に向かっている」という言葉には違和感を覚えます。