家賃「月3万円値上げ」の要求、実は応じなくてもいい 不動産屋が絶対に教えない「普通借家」の強い権利
金利上昇やインフレに伴い、賃貸物件で相次ぐ「家賃激増」の要請。大家や不動産屋からの圧力に押され、言われるがまま値上げに応じる賃借人は少なくない。だが、その提示は本当に飲むべきものなのか。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏が、大家と不動産屋の利害関係や「普通借家契約」に守られた賃借人の法的権利をひもとき、理不尽な値上げに対抗するための正しい知識を解説する。
みんかぶプレミアム連載「牧野知弘 不動産を斬る!」
金利上昇とインフレで「家賃値上げ」が加速 賃借人を直撃するコスト転嫁の構造
新築はおろか中古でも住宅を買うのが難しいこのご時世。賃貸物件に住んでいる人たちの間で最近話題になっているのが「家賃の激しい値上げ」です。
金利が上がるとなぜ家賃が上がるのでしょうか。多くのアパート、賃貸マンションの大家は銀行からおカネを借りて物件を建設、所有しています。ただ賃貸用のローンは住宅ローンのような緩い条件ではありません。期間が区切られ、借り換えが発生する、変動金利で金融情勢によって金利が上がる、そんな状態に晒されているのです。利上げの時代には既存ローンの金利が上がってしまう構造にあるのです。さらにインフレで物件の管理コスト、修繕コストもうなぎ上りです。大家側の立場でいえば、家賃の値上げとなるわけです。
最近では「月額1万円、いや3万円の値上げを要求された」とか「値上げに応じなければ今すぐ出て行ってくれと言われた」などという強烈な要請に怯える賃借人の声も耳にします。
管理手数料5%が生むインセンティブ 不動産屋が常に「大家の味方」になる理由
多くの人は、プレッシャーに負けて唯々諾々と値上げを認めてしまいます。今さら引っ越そうと思っても募集賃料の高さに驚かされ、引っ越し代を考えれば値上げに応じるしかない、などといって判をついてしまうのです。
大家と賃借人の間を取り持つ不動産屋は多くの場合、大家の味方です。大家からは物件の賃貸管理報酬を貰っています。この報酬の多くが受取賃料総額の5%などとあらかじめ料率で決められています。値上がりしたほうが不動産屋も儲かるのです。大家からも「もっと値上げしてこい!」くらいのことを言われているケースも多いでしょう。
だから彼らは本当のことを言いません。実は賃借人であるあなたはこの理不尽とも思える家賃の値上げに対して、多くの場合では全面的に応じる必要がないからです。