損切りは? 撤退は? 3億円超運用の投資家が教える「カタリスト投資」と「質の高い投資」
2025年4月から2026年6月まで、1年2カ月にわたって走り続けた日本株。日経平均株価は6月に7万2831円の天井をつけましたが、そこから上値が重い展開が続いています。
3億円以上の資金を運用する個人投資家のkenmoさんは、この相場をどう見ているのでしょうか。
得意の「カタリスト投資」とは何なのか、そして、サプライズやカタリストを織り込んでいるかを、どう判断しているのか伺いました。インタビュー連載全2回の最終回。
新TOPIXスタート!注目すべきは?
ーー10月からは新TOPIXがスタートしますね。
今年8月にTOPIXへの組み入れ会社が選別され、10月に発表されます。組み入れから漏れる銘柄は、10月末、1月末、4月末、7月末と四半期ごとに、2年かけて計8回、8分の1ずつウェイトが低減されていきます。ただし2027年10月に再評価があり、そこで基準を満たせば低減は止まります。
TOPIXから漏れる銘柄はTOPIXファンドの売り圧力が強いのではないかと多くの投資家が避けていたのですが、一周回って、安すぎる銘柄が非常に多くなっている印象もあります。
新規に組み入れられる銘柄はTOPIX買いを期待されて株価が逆に上がりすぎ、PER的には高くなっています。一方で、漏れるのではないかと懸念されている銘柄は、業績はしっかり出ているのに、需給要因で相対的に割安に放置されています。
そうした会社の中には、今年はボーダーを割ってしまったけれど、来年8月の判定に向けて株価を上げて組み入れられるように頑張るという、すでに目線を前に向けている会社が非常に多くあります。ボーダーを超えて「やれやれ」と安堵している会社よりも、来年8月に向けて業績を立て直し、株主還元もしっかりやって株価を上げていこうという目線の会社が、IR取材をしていると増えている印象です。10月、1月、4月、7月の4回のタイミングでTOPIXファンドからの機械的な売りは出ますが、その売られたタイミングで、あまりにも安すぎる銘柄を仕込んでいくというのが、下期以降の戦略だと個人的には考えています。
投資家の「質」を見極めるには
ーー前回の取材で、自分が買った後にどんな人が買ってくれるかを想像することが大事だとおっしゃっていました。投資家の質を見極めるために、どんな思考をたどっているのでしょうか。
株を買う理由は人それぞれですが、一番リテラシーが低くて一番弱い層というのは、SNSで「この銘柄が良い」と勧められていたから「買った」という人たちです。
LINEグループに入ったら教祖様のような人がいて、Aという銘柄は絶対上がると言うので買ったら、実際に上がった。この教祖様は素晴らしいから次もついていこうと思い、Bという銘柄を勧められたので買ったら、それも儲かった。これは間違いないから次はロットを増やそうというスケベ心が働き、Cという銘柄がいいと言われたのでフルレバで全力買いしたら大暴落し、破産して終了。そういうシナリオです。
ファンダメンタルズを一切見ず、銘柄名だけで売買している人たち、チャートも見ないで銘柄名を聞いて買う人たちは、売ることを一切考えていません。買うことだけを考えている人たちが一番弱い投資家です。キオクシアなどは、まさにそういうリテラシーの低い投資家も含めた全員参加型相場でしたね。
ーーでは、その反対で、いわゆる「質の高い投資家」の条件を教えてください。
質の高い投資家は、ファンダメンタルズを見て、みんなが怖くなって株を売っているタイミングで信念を持って底を拾いに行く人たちです。「この銘柄は投資リテラシーのピラミッドのどのあたりの層の人たちが買っているのか」をイメージしながらやるのは大事です。
読者の皆様もご存じの通り日本株だけをやっている人たちというのは確実にいて、3700社、3800社ある中のどれかを買っているんです。それが今AI半導体なのか、直近では自動運転絡みなのか、特に短期投資家の資金は回遊魚のようにぐるぐる回っていきます。資金が完全に抜けて誰もいなくなるということは基本的になく、日本というマーケットのどこかにはいます。