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海外メディアが報じた「日銀・植田のフクロウ路線に待ち受ける黒田バズーカの後始末」

 早くも「日本のバーナンキ、ドラギ」などの異名が広まり、国際水準の頭脳を持つ新総裁の誕生に、日本のメディアは総じて好意的だ。だが国際水準の報道では、どう見られているのだろうか。みんかぶプレミアム特集「植田和男研究」第5回では、ジャーナリスト・小倉健一氏が、新総裁誕生に対する海外メディアの論調を追った。

目次

慎重で曖昧な回答が目立った植田和男氏の所信聴取

 4月に任期満了となる黒田東彦・日銀総裁の後任として、政府は植田和男・東京大学名誉教授を起用する人事を国会に提示した。2月24日に衆院、27日に参院で行われた所信聴取では、現在の大規模な金融緩和(政策金利を下げたり、資金供給量を増やすこと)を継続する姿勢を示す一方、景気の過熱には留意する考えを示した。具体的な発言を拾うと、現在の大規模な金融緩和を「適切」と評価。議員からの質問に対しても「現在の金融緩和はメリットが副作用を上回っている」と答え、金融緩和の継続姿勢を改めて示した。

 他方で「副作用なども考えて、より持続性の高い金融政策の仕組み、緩和の仕組みを考えていかないといけない」と述べている。物価上昇(インフレ)率2%の目標については「安定的、持続的な2%インフレにたどりつけば、賃金・雇用が安定的、持続的に改善する」「結果的にインフレ率が目標を大幅に上回ってしまうリスクを常に注意して政策を運営していくべきだ」と、黒田総裁と比較して慎重な語りだったのが特徴的だろう。

 植田氏の一連の発言からは、中長期的に金融緩和を続けたいのか、そうでないのかについては明確な態度が見えにくい。植田氏のニュアンスだけで解釈すれば、黒田総裁が過去10年続けてきた金融緩和重視路線、2016年に開始したイールドカーブ・コントロール(国債を大量に買い入れて低い金利を維持すること、YCC)から、経済情勢を見ながらの柔軟路線への転換を模索していくということになろう。

黒田路線の継承か否定か…植田日銀2つの選択肢

 引き締めがすぐには始まらないと捉えた市場からは、安堵の声が広がっているが「柔軟路線」「現実路線」という方向性のぶれやすい曖昧路線への変換とあっては、中長期的には未知数の部分が大きいということだ。

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この記事の著者
小倉健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立。現在に至る。 Twitter :@ogurapunk、CONTACT : https://k-ogura.jp/contact

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