FXの失敗が「金融教育」になる? 資産3億円投資家が若者に“小さな損”を勧めるワケ
「FXで一気にお金を増やしたい」「少ない元手でも、レバレッジを使えば大きな利益を狙えるのではないか」——。
若い世代がFXに関心を持つきっかけは、SNSや動画だけではない。近年は、FX取引を題材にした『FX戦士くるみちゃん』のような作品が話題になるなど、これまで投資に縁のなかった人がFXを知る機会も増えている。
とはいえ、FXはレバレッジをかけて大きな金額を動かせる分、損失も膨らみやすい。金融教育の観点から見れば、初心者が気軽に始めるにはハードルの高い取引にも思える。
そんななか、投資スクール『Financial Free College』代表講師で、自身も33歳で純資産3億円を築きFIREを達成した“ライオンじゅんさん”こと金盛潤一氏は、リスク耐性のある若者について「一度、損をする経験にも意味がある」と話す。
なぜ、あえて若いうちの「失敗」を肯定するのか。そして、「投資」「トレード」「投機」「ギャンブル」は、どこが違うのか。FXへの関心を入り口に、お金を増やす前に知っておきたい金融リテラシーについて伺った。インタビュー連載全2回の第1回。
身をもって学ぶ機会
ーー金融教育の入り口として、FXに興味を持つのは悪くないということですか。
人によりますね。リスク耐性の高い若い人であれば、経験として触れてみること自体は悪くないと思っています。
私自身、学生時代に麻雀やギャンブルをしていて、そこから信用取引やレバレッジ取引に興味を持ちました。「手っ取り早くお金を増やしたい」と考えて、失敗した経験もあります。
でも、その失敗が、いまのリスク管理の土台になっています。
FXも、成功するためというより、「こういう取引をすると、お金は本当に減るんだ」と身をもって学ぶ機会になる面があります。
ーー最初から損を前提にするのは、少し極端では?
大切なのは、失っても生活に影響しない金額にとどめることです。
5万円なのか、10万円なのか、20万円なのかは人それぞれですが、いきなり資産の半分をつぎ込むようなことはしない。少額で経験すれば、レバレッジの怖さや、自分がどの程度の損失まで耐えられるのかがわかります。
お金を持ってから初めて大きく失敗するより、元手の小さい若いうちに失敗したほうが、取り返しはつきやすいですよね。
初心者がFXで退場しやすい最大の理由
ーー少額なら、初心者がFXをやっても大丈夫でしょうか。
少額でも油断はできません。FXの怖さは、レバレッジをかけられる点にあります。
日本でも高い倍率で取引できますが、金融リテラシーが足りないと、自分がどれだけのリスクを取っているのか理解しないまま売買してしまいます。
しかも、初心者にとって損切りは難しい。損失が出ると、「ここまで下がったのだから、そろそろ戻るだろう」と考えて持ち続けてしまう。そこでポジションを買い増せば、損失は一気に膨らみます。
私は、一般の人にFXを積極的に勧めるつもりはありません。
とくに40〜50代で、これから老後資金を作らなければならない人には勧めにくいですね。なぜなら失ったお金を取り戻す時間が、若い人ほど残されていないからです。
ーーそれなら、最初からFXをしないほうが安全では?
安定志向の人なら、それで構わないと思います。NISAのつみたて投資枠などで、長期の資産形成を始めるだけでも十分です。
私が気になるのは、FXで失敗した結果、「投資は全部ギャンブルだ」と思い込んでしまうケースです。FXでお金を減らし、怖くなって5年、10年と金融市場から遠ざかってしまう。それがいちばんもったいないと思っています。
FXと長期投資は、どちらも「お金を運用する行為」に見えますが、中身はまったく違います。その違いを知らないままFXを始めるから、「投資=危険」という誤解が生まれるんです。